表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Sounding Dreams - 再び巡り逢う音 -  作者: 蒼月 美海
カケラ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/88

第57奏:最後のドラム

 ライブハウス『Sound Nest』の裏で綾乃と雅は向き合っていた。

 そして先に沈黙を破ったのは綾乃である。


「……あの時、高みを目指すって、言ったじゃないですか」


 綾乃は少女に突きつけるように言い、言葉を続けた。


「貴女は一人で高みを目指すって言ったから、私たちも私たちの音で最高の音楽を創ろうって、決めたんです。なのに、どうして、あなたはステージに立たないんですか……!」


 しかし、少女は綾乃の言葉に、苦しそうな表情で顔を歪める。


「……わたくしは、もう、ドラムを叩くのが怖いのですわ」


 少女は震える声でそう告白をし、カタカタと肩を揺らし始めた。


「あの時……わたくしがあなたにバンドに誘われた日、わたくしは成長しない自分自身への怒りで、ドラムを叩いていましたの。どれだけ練習しても、どれだけ高みを目指しても、完璧な音には届かない。その焦燥感にわたくしは、もう耐えられないのですわ……!」


 そして最後まで言い切ると、少女はその場にうずくまってしまう。

 綾乃は少女の言葉に胸が締め付けられるようだった。

 しかし、綾乃の気持ちは決して諦めない。


「もう一度、あなたのドラムが聞きたい」


 綾乃はそう言うと、少女のドラムスティックをリュックサックから取り出し、彼女の前に差し出した。


「貴女は自分のドラムは完璧ではないと言いましたよね。でも、貴女のドラムで私たちは変わったんです。貴女の音楽で、私たちの心を突き動かしたんです!」


 綾乃の心の底からの想いに、蹲っていた少女の瞳は揺れ動く。


「……わたくしは……」


 少女は顔を上げ、震える手で綾乃の手からドラムスティックを受け取った。


「……行きましょう」


 そして綾乃は少女の手を握りしめ、ライブハウス『RESONANCE』へと走り出す。

 二人がライブハウスに戻った時、『Ablaze』はまだ演奏中のようだ。

 しかし、現在の時刻から見て、おそらくそろそろライブが終わる。

 少女は綾乃の言葉を胸に、仮面や衣装を準備するために、足早で楽屋へと向かうのであった。

最後まで読んで頂き、誠にありがとうございます。

よければブックマークとご感想、お待ちしております。


毎日午後5時30分に更新しております。

次回の更新は、第58話:最後のアンコール10月13日月曜日午後5時30分です。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ