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Sounding Dreams - 再び巡り逢う音 -  作者: 蒼月 美海
青き魂の音

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31/87

第30奏:心の傷と、3人の音

 ライブハウスを出た三人は、それぞれの家へと帰路につく。

 しばらくして、綾乃のスマートフォンの通知が鳴り、確認するとそれは『イヴ、琴音、綾乃』というグループチャットからのメッセージだ。


イヴ: 美月さんの言葉、正直、怖かったよね……


琴音: うん……。でも、私も頑張る…! イヴちゃんの歌に、もっと自分の色を乗せられるように!


イヴ: うん! 私も、魂の入った歌、歌えるように頑張る!


 二人のメッセージのやり取りを、綾乃はただ見つめていた。

 美月から、「本当に、その音を鳴らしたいの?」という言葉が頭の中で何度もリフレインしていたからだ。


(……また、同じことを繰り返しちゃうのかな)


 綾乃の脳裏には、前のバンドの記憶、当時の苦しみが美月の言葉によって鮮明に思い出されていた。

 次の日。

 スタジオに入った三人は、早速楽器を構えた。

 しかし、綾乃の音は、いつものように力強く響かない。


「綾乃ちゃん、どうしたの?」


 イヴが尋ねるが、綾乃は下を向いたまま何も答えない。


「綾乃さん、大丈夫?」


 琴音は、心配そうに声をかける。


「ごめん……ちょっと、集中できない」


 綾乃はそう言ってベースを置き、部屋の隅に座った。

 イヴと琴音は、瞬時に綾乃の異変に気が付く。

 二人は綾乃の隣に座り、ただ静かに彼女に寄り添おうとしていた。


「……私、怖いの」


 すると、綾乃はポツリとつぶやく。


「また、失敗するんじゃないかって……」


 綾乃の言葉に、イヴと琴音は顔を見合わせた。


「大丈夫だよ」


 イヴは綾乃の手を優しく握り、まっすぐな瞳で見つめる。


「もう、綾乃ちゃんは一人じゃない。私たちがいるから」


 琴音も、イヴの言葉に続くように力強く頷く。


「私たちは昨日、一緒に最高の音楽を創るって決めたんでしょ?」


 その言葉に綾乃の目から、大粒の涙がこぼれ落ちた。

 それは今まで我慢していたものが溢れ出すかのように。


「うん……」

 

 今まで溜めてきたものが止まらない。

 綾乃はその場で何度も大粒の涙を流し、鼻をすする。

 そして二人はただただ、綾乃のことを優しく見つめていた。

しばらくして、綾乃は再びベースを手に取った。


「行こう、二人とも」


 綾乃の言葉に、三人の音は心の傷を癒すように、静かに、そして力強く重なり合おうとしていた。

最後まで読んで頂き、誠にありがとうございます。

よければブックマークとご感想、お待ちしております。


毎日午後5時30分に更新しております。

次回の更新は、第31奏:魂を宿す五線譜、9月16日火曜日午後5時30分です。


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