第24奏:新しい出会いの音
ライブハウス「RESONANCE」のバックヤード。
凛の案内で、三人は楽屋へと入っていった。
(……この前に来た時、余裕がなくて全然気付かなかった)
綾乃は、前回ライブで来た時のことを思い出す。
あの時はイヴや琴音のこと、そしてステージの準備で頭がいっぱいになり、周りの景色など目に入れる余裕がなかった。
改めて楽屋を見回すと、壁には数々のバンドのサインが書かれており、使い古された機材が所狭しと並べられ、独特の匂いが充満している。
「オーナーは夕方には来るから、それまでここで好きにして待ってな」
凛はそう言い残すと、楽屋から出て行った。
三人は、お互いの顔を見合わせる。
「なんだか、静かだね」
イヴはそう言って、自身の両手をぎゅっと握りしめる。
「大丈夫だよ」
綾乃は、微笑みながらイヴの肩をポンと叩いた。
「私たちは、もう一人じゃないから」
琴音もイヴに優しく微笑みながら頷く。
三人は椅子に腰掛け、静かにオーナーを待った。
しばらくして、我慢ができなくなってきたのか、新曲の練習をしようと提案しかけたイヴだったが、この場所の雰囲気に飲まれ、自然と静かになる。
「ねえ、イヴ。オーナーってどんな人なの?」
しかし、静かな部屋にいて我慢できなかったのは綾乃も同じ。
綾乃はイヴに尋ねた。
「えっとね、すごく優しい人だよ! 私の歌を最初に聴いてくれて、応援してくれたんだ」
イヴは、顔を輝かせながら答える。
「そうなんだ……」
イヴの言葉が抽象的過ぎてオーナーのことがあまりよくわからなかったが、彼女らしい言葉に、綾乃は少し安心したのか、軽く笑いながら頷いた。
やがて、夕方になり、楽屋の扉が開く音がする。
「ただいまー!」
元気な声と共に一人の中年の女性が凛と一緒に楽屋に入ってきた。
三人は突然のことに固まってしまい、驚いてしまう。
女性はエメラルドグリーンの髪を揺らし、華やかな衣装に身を包み、凛の隣に立ち、三人のことを見つめていた。
「……凛から連絡は来てたけど、まさかイヴちゃんたちが来るとはね。この前の君たちのライブ、すごく良かったよ」
その女性の言葉に、三人は顔を見合わせる。
「……あっ! 綾乃ちゃん、この人がライブハウス『RESONANCE』のオーナー、白石恵美さんだよ!」
イヴは驚きが入り混じった声で、綾乃に紹介する。
この新たな出会いが、新たな物語の始まりの音だとは今の三人には知る由もなかった。
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