第22奏:夢の音はまだ途中
音楽スタジオ『サウンド・スパーク』での練習を終えた三人は、汗をぬぐいながら近くのファミリーレストランへ向かった。
「はぁ〜、お腹空いたね!」
イヴは、メニューを広げながら元気いっぱいに言った。
綾乃と琴音も彼女の言葉に頷きながら、疲れた体を癒すように食事を注文する。
しばらくして、注文した食事が運ばれてくると、各々手を合わせて食事を始めた。
「それにしても、綾乃ちゃんのベース、やっぱりすごいね!」
食事中、イヴはそう言って綾乃を褒めた。
「はい、本当に……、前の時よりももっと力強くなってる気がします」
琴音もそれに続く。
綾乃は、照れくさそうに笑いながら、ハンバーグを口に運んだ。
「そういえばさ、みんなのお父さんやお母さんって、何のお仕事してるの?」
イヴが、ふと尋ねる。
「うちの父さんは、蕎麦屋をやってる」
綾乃がそう答えると、イヴは目を丸くした。
「えー! 蕎麦屋!? すごい! じゃあ、今度食べに行ってもいい?」
「うん、いつでもどうぞ」
綾乃は、微笑みながら答える。
「そう言えば、琴音ちゃんのお父さんって、銀行で働いてたよね?」
イヴは、そう言って琴音に尋ねた。
「うん、そうだよ」
「私のお父さんは外資系の仕事をしてるんだけど、私が中学生の時から高校生になるまで、アメリカに行ってたのは、お父さんの仕事の都合だったんだよ」
イヴの言葉に、綾乃が驚いた表情を浮かべると、琴音がそっと口を開いた。
「イヴがアメリカに行くって聞いたときは、すごく寂しかったんだよ。でも、帰ってきたら、元々元気でやんちゃだったのが、なんだか前よりもっと明るくなってて……」
琴音は、遠い目をしながら、微笑む。
そして食事を終え、会計を済ませた後、三人は店を出た。
「次のライブ、どうする?」
イヴは、満月が輝く夜空を見上げながら尋ねる。
「そうだね……、まずは新曲を完成させないとだけど、ライブにも出て経験を積みたいしな」
イヴと琴音は、綾乃の言葉に静かに頷く。
「それじゃあ……この前ライブしたライブハウスに行って、相談してみる?」
イヴの提案に、綾乃と琴音は顔を見合わせる。
「……それ、いいかも」
綾乃がそう言うと、琴音も静かに頷いた。
夜空に浮かぶ月は、まるで三人の未来を照らすように、優しく輝いていた。
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