表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Sounding Dreams - 再び巡り逢う音 -  作者: 蒼月 美海
青き魂の音

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/90

第21奏:奏でるための目標

 屋上での話し合いを終えた三人は、学校近くの音楽スタジオ『サウンド・スパーク』へ向かった。

 受付で手続きを済ませ、扉を開けると、そこにはギターアンプやドラムセットが所狭しと並べられている。


「すごい……! なんだか、一気に本格的になった気がするよ!」


 イヴが元気いっぱいに叫ぶと、スタジオの中にその声が響き渡った。


「まずは、楽器の準備とウォームアップしてもらって、そこから前回のライブでやった曲を弾いてみようか」


 綾乃の提案に、イヴと琴音は頷く。

 そのまま綾乃は、ベースケースからベースを取り出し、チューニングを始めた。

 それに続いて、琴音もキーボードを軽く触れながらメロディを刻み、イヴも声とギターのチューニングを始める。

 しばらくして、綾乃が顔を上げるとイヴも琴音も準備ができたのか目が合った。


「……よし、いこう」


 綾乃の声に二人は頷く。

 そして三人は、前回のライブで演奏した「再生の詩」を弾き始めた。

 弾き始めると、前回のライブとは違い、それぞれの音に迷いはなく、イヴの歌声は伸びやかに響き、琴音のキーボードは優しく寄り添う。

 綾乃のベースは、二人の音をしっかりと支え、力強く曲全体を引っ張っていた。

 曲が終わると、三人は顔を見合わせて大きく頷く。


「うん、前よりもずっといい音だね」


 綾乃の言葉に、イヴと琴音は嬉しそうに頷く。


「ウォーミングは終わったから、ここからが本番」


 綾乃は、そう言うと真剣な表情で言葉を続けた。


「今日は、それぞれの課題を克服するための練習をしよう」


 イヴは、ギターを弾きながら歌うことに慣れていない。

 琴音は、周りの音に合わせる癖がある。

 そして綾乃自身の課題は、以前、自分が弾いていた頃の感覚を取り戻すこと、長くベースに触れていなかったため、指が思うように動かず、頭で描いた音が、まだ完璧に表現出来ていないのだ。

 三人は、それぞれの課題を克服するため、ひたすら練習を繰り返した。

 イヴは、ギターのコードを鳴らしながら、歌詞を何度も口ずさみ、琴音は、自分の音をしっかりと主張できるよう、キーボードの音量を少し上げ、メロディを力強く弾き続けた。

 綾乃は同じフレーズを何度も何度も繰り返し弾き、少しずつ、以前の自分へと近づくようにしている。


「ふぅ……」


 一時間ほど経った頃、綾乃が汗をぬぐいながら、深いため息をついた。


「もうちょっと休憩しようか」


 綾乃の言葉に、二人は安堵したように頷く。

 静まり返ったスタジオの中で、三人はペットボトルのお茶を飲みながら、それぞれの課題と向き合っていた。


「まだまだ、課題だらけだけど……なんか、すごく楽しいね」


イヴがぽつりと呟いた。


「うん……一人で弾くよりも、ずっと……」


 琴音もイヴの言葉に続く。

 綾乃はそんな二人の言葉に、ただ静かに微笑んだ。

 三つの音が、一つの音楽へと変わっていく。

 それは、彼女たちの未来を照らす、希望に満ちた音の道標だった。

最後まで読んで頂き、誠にありがとうございます。

よければブックマークとご感想、お待ちしております。


毎日午後5時30分に更新しております。

次回の更新は、第22奏:夢の音はまだ途中、9月7日日曜日午後5時30分です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ