第19奏:それぞれの奏でる朝の音
綾乃が目を覚ますと、窓から柔らかな朝の光が差し込む。
目をゆっくり開けると、壁に立てかけたままのベースがいつもより眩しく見えた。
(……もう、迷わない)
綾乃は決意を新たにするかのように、ゆっくりと体を起こす。
リビングへ向かうと、父が一階の蕎麦屋ですでに蕎麦の仕込みを始めているのか、そばを打つ力強い音と、だしの香ばしい匂いが家中に漂ってくる。
綾乃は、そんな日常の音と匂いに、少しだけ安心感を覚えた。
綾乃は一階の蕎麦屋に降り、キッチンで作業している父親に話しかける。
「おはよう、父さん」
「おう、おはよう。顔つきがなんだかスッキリしてるな」
父親は作業をしながら、綾乃の顔をちらりと見て言った。
綾乃は照れくさそうに笑い、朝食の準備を始める。
その頃、イヴもまた、新しい朝を迎えていた。
「よし!今日も一日、がんばるぞー!」
イヴはベッドの上で大きく伸びをすると、窓の外に向かって叫んだ。
新しい曲、新しい目標、新しい仲間。イヴの心は、期待と希望に満ち溢れていた。
(早く、琴音ちゃんと綾乃ちゃんに会いたいな!)
イヴは、新しい曲のメロディを口ずさみながら、制服に着替える。
一方、琴音は静かに朝食を食べていた。
(綾乃ちゃん……本当に、またバンドやってくれるんだ……)
琴音は食卓に置かれたパンを眺めながら、昨日の公園での出来事を思い出していた。
イヴの明るさと、綾乃の真剣な眼差し。
二人の存在が、自分の背中を強く押してくれている。
(もっと、上手くならなきゃ……)
琴音は、パンを口に運びながら、心の中でそう誓った。
三人は、それぞれの場所で、それぞれの思いを胸に、新しい一日をスタートさせた。
新しい音を奏でるために。 新しい物語を紡ぐために。
彼女たちの未来は、まだ始まったばかりだ。
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