第17奏:五線譜の先の目標と課題
今後の目標だったりを決めようとしていたところ、イヴに「綾乃ちゃんは今後どうしたい?」と言われ、綾乃はまず、やるべきことを話しはじめた。
「まずは、この前のライブでやった『再生の詩』を完璧に完成させよう」
「え? ライブで披露できたからあれでいいんじゃないの?」
イヴの問いかけに、綾乃は首を横に振りながら真剣な表情で言葉を続ける。
「あの日のライブは曲自体、突貫工事過ぎる。私含め、全員が曲を弾きながらミスをかなりしていた。聴いてくれた人からは拍手をもらえたけど、あれは決して完璧じゃない。あの日の演奏で満足は出来ない」
イヴと琴音は言葉を失い、何も言えず、綾乃の言葉に静かに耳を傾ける。
「そして、とりあえずは当面の目標としてライブに出ること。そのためには、ある程度の実力が必要になる」
綾乃はそう言って二人のことを見つめ、自分の胸に手を当てた。
「私にも、課題はいくつもある。でも、それは二人にも言えること。イヴはギターを弾きながら歌うのを両立できるように、琴音も周りの音に合わせようとする癖を直さなくちゃいけない」
二人は、綾乃の言葉に真剣な表情で頷く。
「あと、もう一つ。出来ればドラムも欲しい」
綾乃の言葉に、イヴと琴音はキョトンとした顔で互いに見合わせる。
「え、ドラム? なんで?」
イヴが尋ねると、綾乃はまっすぐな目で答えた。
「私たちの音楽には、まだ足りない音がある。ドラムがいれば、曲に厚みとグルーヴが生まれるし、ベースとドラムは、音楽の土台を作る“リズム隊”。リズムの核になる、確かな音が必要」
綾乃の言葉に、イヴはぐっと拳を握りしめると、勢いよく立ち上がった。
「よし! 決めた!」
イヴは、まっすぐな瞳で綾乃と琴音を見つめる。
「曲を完璧に弾けるようにしたり、ドラムを探すのもそうだけど、やっぱり私にとっての目標はあのライブハウスで、またライブがやりたい! そしてたくさんの人に私たちの音楽を聴いてもらって、最高のステージにしたいんだ!」
イヴの言葉に、綾乃と琴音は顔を見合わせるるがすぐに頷いた。
三人のバンド活動は、まだ始まったばかり。
しかし、彼女たちの前には、明確な目標と、それを達成するためのたくさんの課題が立ちはだかっていた。
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