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01 最悪の毎日


 バンッバンッ バババンッ


 部屋の中に銃声が響き渡る。


「 . . . 」


 僕はパソコンに向き合い、無言でゲームを楽しんでいた。

 何も考えず敵を見つけたら左クリック。撃ち、撃ち、撃ちまくる。


 バックグラウンドでは好きな歌が大音量で流れてる。


【ピーンポーン】

 音楽と銃声の中、微かに家のチャイムが鳴った音がした。


「ん?こんなお昼に?誰だ?宅急便かな?」

 

 ふと時計を見ると、もう午後一時を回っている。


「8時からずっとだから...もう五時間もぶっ通しでプレイしてたのか...」


 これが自分の日課。

 ゲームをずっとプレイして、その後自己嫌悪に陥る。毎日、毎回。


 あとで推しのアーカイブ配信見て元気出そ...


「はぁ...」

 ため息を吐きながら階段を降り、モニターへと向かう。


「えっ...」


 するとそこには全く想像していなかった人物が映っていた。


 モニターに映っていたのは 鈴原れい先輩。 

 

 冒険者クラン プラスアルファのトップ。

 みんなも知っているだろう有名なダンジョン配信者が数多く所属するクラン プラスアルファを。


 先輩は元冒険者で、現役時代は日本人冒険者トップ30に入る実力を持っていたすごい人。


 ダンジョンに飽きたから、クランマスターをやってるんだとかなんとか。


「開けて~」

 モニターから気分のよさそうな声が聞こえた。


 やばい、やばい。

 今パジャマだから、急いで着替えないと!


 さっきの自己嫌悪などの嫌な気持ちはきれいさっぱり消え、頭の中はなぜ家に来たのかや、何か出せるものがあったかどうかなどが頭の中をグルグルと回り続ける。


 宅急便ならパジャマでよかったのに!なんか服あったっけ!?


 タンスの元へ急いで向かい、目についた服をつかみ取る。

 パジャマからTシャツ、長ズボンのしっかりとした服に着替え、滑って転びそうにになりながらも急いで玄関へ向かいドアを開けた。


「ごめんなさい。遅くなりました」

 

 顔を上げると、汗ダラダラで今にも死にそうな表情をしている先輩。


「この暑さで外に放置?殺す気??」


 超不機嫌になっていることに気づき、無意識のうちに冷や汗をかく。


「は、入ってください。荷物持ちますよ、冷たいお茶とかいり..ます?」


 急いで先輩を玄関に入れ、持っていた袋を預かる。


「いるにきまってるでょ」


「ですよね~ハハ」


 少し不機嫌な先輩をリビングまで招待しエアコンの冷房をガンガンつけ、急いで大量の氷入りのお茶を作り、持っていく。


 すごい久しぶりに人と話すから会話が続かなくて気まずい...


 こういう時ってない話してたっけ?

 何も思いつかなかったので、家に来た理由を尋ねることにした。


「あの~鈴原先輩、お久しぶりです。なんでこんな時間に僕の家に?仕事はどうしたんですか?」


 久しぶりに人と話すから、距離感がつかみにくい...


「あれ?そんな謙虚な感じだっけ?...まあいいや」


「プハァー」

 持ってきたお茶を一気に飲みほした先輩は、少し''生き返った~''というような顔で自分の質問に答えてくれた。


「今日久しぶりの''休日''なんだよね~。久しぶりに顔を見てみようと思ってね~夜はずっと飲んでダラっとしたいから今の時間なのさ~。へへへっ」


 うん。こんな感じだったわ...けどなんか違和感。

 なんかヘラヘラしてる...これは何か隠してる時の反応だ、まあまあ長い付き合いだからわかる。


「ってことは...あの袋の中身はお酒ですか...」

 さっきの袋、結構重かったんだけど...いったいどれだけ買ってるんだ...


「ばれた?...いる?」

「未成年です」

「ハハッ、ジョークだよ!」

「知ってます」


 昔から何十回もしている、鈴原 先輩との、いつも通りの会話をし、自分に隠していること=本題を尋ねることにした。

 

「で?本題はなんなんですか?」


「ありゃ、やっぱばれた?」


 イタズラを見つけられた子供のような顔をした先輩は本当の来た目的を教えてくれた。

 袋に入っていた高級ワインを開けながら...。


「やっぱり私、嘘つくの下手だね~。...ってなにこのワイン!うっま!..いる?」

「未成年です」


 ハイテンションが少し疲れたのか、おちゃらけるのをやめ、少し真剣モードになり家まで来た本当の理由を話し始める。

 

「単純だよ。君に戻って来てほしいって人が結構大勢いてね。戻るかどうかは君が自分で決めることだし、私も半年ぐらいしたら戻ってくるだろうと思って余裕ぶっこいてたんだけど、もう1年以上たったでしょ?さすがに君の力が必要になってきたんだよ。」


 裏の顔を知っているとはいえ、クランのトップに抜擢される逸材。真剣な時はオーラがすごい。無意識のうちに背筋が伸びる。


 それに鈴原先輩からの「必要としてる」って言葉、家を飛び出して大声で叫びたいぐらい嬉しい。


「それにさ君も知ってるだろ?上級モンスターが増えてるって話。そのせいでSとかAランクのやつらが君を戻せってうるさくて、うるさくて。」


 まぁ、キンキンのお茶を作ってた時に復帰要請かなと予想はしていた。ネットでも最近、上級モンスターがなぜか増えてるって噂されてたし。


 復帰はしたい。元の生活に戻りたいけれどそれはできない。

 

「先輩も元冒険者なんだし体見たらわかるでしょ?引きこもってたんです。多分今ならDランクでも苦戦しますよ...。」

 

 ダンジョンは危険だ。心が脆い状態だと恐怖で動けなくなる。それに引きこもってたせいで筋肉が全くない。

 こんな状態でダンジョンに行ったら、低レベルモンスターにリンチにされるのがオチだ。


 変わりたいとはずっと思ってる、先輩の提案に乗りたい、そう心の底では思ってる。

 でも、だけど、今の自分は弱い。頭の中で君には無理だ、元には戻れないという言葉がこだまする。どうにか止めようとしても止めることができない。


 

 この言葉は3年たった今でもしっかりと記憶に残ってる。


 先輩はふふっと笑いながらこう言ったんだ。


「はぁ、君はバカだね。 君が私のことをよく知っているように私も君のことを知ってるんだよ?」


 そういいながら近づいてくる先輩。そして僕の手首をつかんだ。


「へ?」


 予想外の行動に驚き、固まる。


「君には才能がある。私は君がこのまま堕ちていくのを見たくない。それに君は私に心の奥の気持ちを隠してるだろ?今からすることは少し乱暴だけど数年後、君は私に感謝するだろうね。」


「テレポート」


王道?の現代ダンジョンファンタジーにするつもりです。

1話、2500文字ぐらいになるかな?2日に1回新しいエピソード?を出す予定。期限を決めないと後で後でになってしまうので。

書き溜めてないので、できるだけ頑張ります。

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