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俺たちはこの時、自分たちのいる世界が明らかに自分たちの世界じゃないことを確信したのであった。

月曜日というのは憂鬱ゆううつである。

夢から覚めた俺は、

「あれ?今日休みだっけ、ああ平日か」

と少々絶望しつつ、

朝食食って、歯磨いて、身だしなみして、顔洗って、スマホいじって、学校に出かける。

それが俺、中学1年生:一ノ瀬愛のモーニングルーティーンである。

―名前女かよ。というツッコミは今のご時世あまりよくないといわれている。


そんなことより眠い。

眠い眠い眠い眠い。

授業中に寝たら中学生活ガチで終わるぞ。

そんな不安を抱えつつ、授業に入り


―寝た、爆睡した。

人は寝る時間の約75%がノンレム睡眠(深い眠り)で、レム睡眠(浅い眠り)がその残りを占めているといわれている。

が、多分俺の睡眠は少なくとも100%はノンレム睡眠だったと思う。

ぐらい寝た。


「おい!」

そんな俺の100%睡眠を邪魔してきたのは、深い眠りについていた俺でもわかる。

―隣の席の一乃瀬 僚だ。

えー!?双子ーーー!?

ちげぇよ。漢字違うだろバカタレ。


「なんだよお前…」


「なんだよお前…じゃねえよ馬鹿!もう授業終わっちまうぞ!」


「安心しろ。俺は勉強してもしなくともオール1だ。」


「そういう問題じゃねぇんだよ馬鹿!」


俺らの性格は真逆だった。

僚はまじめで、中一にもなってスマホをまだ持っていないという。

一方俺は死ぬほど成績が悪く、ほぼほぼワルみたいな感じで、三年とかにも余裕で喧嘩を売る(そして勝つ)。

「あーあ、授業終わった」

「そんな嫌な言い方するなよ…。」

「お前が悪いだろ」



そして下校時間になった。

俺は毎日僚と下校する。


「あれ?」


「どうした?愛。」


「いや、俺らは今3階から2階に下りたんだよな」


「そうだろ?」


「いや、それが」


『3階』…壁には大きくそう書かれていた。


「そんな!」


俺らは慌てて階段を下りた。


「嘘だろ…?」


3階、3階、3階、3階。何度降りても3階だった。

「閉じ込められただと…?」

「ど、どうしよう」

俺らは焦りに焦った。


「そ、そうだ!非常階段を使おう!」


「なるほど!」

確かに非常階段なら階数もクソもない。やはり僚は頭がいい。

『開けるな!』そう書かれている非常階段への扉についた。


「この際はしゃーねーな」


「いくぞ!」


「…!?」


「嘘だ…」


「開かない…!」


非常階段は常時開いているはずだ。

というか鍵とかいうものがない。

―俺は言った。


「窓は開くぞ」


「んな無茶な…」


「でもこれしかねえ!」


うおぉぉぉぉ!

俺は飛び降りた。下は草だから、軽いけがで済むだろう。

「いって!」

アブねぇ、骨折は避けた。

俺は近くにあったロープを手に取り、僚のところにぶん投げた。

そして僚も降りることができた。


「あぁ疲れた、何だったんだ今の」


「おい、そんなことより」


俺は違和感に気づいた。


「地面が柔らかすぎる…」


俺は道路の方に行った。


「こっちもだ!」


「なんだ、これ、発泡スチロール…?」


確かに発泡スチロールのような感触である。

そして…


「なんで空がこんなに暗いんだよ、まだ夕方にすらなっていない」


たしかに僚の言う通り、今の時刻は遅く見積もっても昼の3時ぐらいだ。

―なんだこれ、明らかにおかしなことが多すぎる。


「すまん、僚、俺、まだ夢の中かもしれない」


「ああ、そうだろうな」


俺たちはこの時、自分たちのいる世界が明らかに自分たちの世界じゃないことを確信したのであった。

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