9 計画通り
二人から信じられないような事を聞いて、ラブホに入ることなんて出来なかった。
ひかり達を置いて、一人で帰ってきてしまった。
三人とも、俺以外に付き合ってる男が居た。
なんで……。
何でこんなことに……。
三人と付き合うなんて、無理だったのか……。
俺はあの時、誰かを選べばこんなことにならなかったんじゃないか?
俺が間違っていたんだ……。
もう……三人と付き合うなんて、無理だ。
けど、三人を責める事なんて出来ないよな。
俺だって、三人と付き合ってたんだ。
彼女たちに俺とだけ付き合えって言っても、説得力ないよな。
そりゃそうなるよな。
もう嫌だ。
別れよう。
耐えられない。
「あら?どうしたの?元気ないわね?」
汐里か。
いい機会だ。
「汐里、俺と別れて欲しい。」
「え?どうしたの?急に。」
「俺以外に付き合ってるヤツがいるんだろ?四人も。」
「は?それ、ひかりさんか日菜子ちゃんから聞いたの?」
「ああ。ひかりも日菜子も、俺の他に彼氏がいた。汐里もそうなんだろ?」
「……ちゃんと話がしたいの。今日、私の家に来れる?」
「話?何を話すって言うんだ!もうたくさんだ!!」
「待って!お願い!!最後でもいいの!!」
「……わかった。最後な。」
「ええ、それでいいわ。」
そうして放課後、汐里の家へ。
「で?俺以外の彼氏自慢でもする気か?」
「……私は駿以外に彼氏なんていないわ。」
「嘘つくんじゃねえよ!ひかりも日菜子も、言ってたんだよ!」
「なんて?」
「汐里には俺の他に四人彼氏がいるって!!みんな俺とする前に、他の彼氏と経験済みだって!!!」
「……じゃあ、試してみて?」
「は?」
「私は処女よ?本当に。」
「うそだ!!」
「だから、試してみて?」
「た、試すって……。」
「わ、私も初めてだから、出来れば優しくして?」
「え?ま、マジで?」
「うん。だから、ね?」
もう俺はやけくそだった。
優しく出来たかなんてわからなかった。
今のこのどうしようもない気持ちを、汐里にぶつけてしまった。
事後、汐里のベッドのシーツには、赤い染みがあった。
本当だった。
汐里は処女だった。
「ね?私初めてだったのよ?」
「あ、ああ。けど、どうなってんだよ?」
「うん。ごめんね?ちゃんと話せば良かったね……。」
「どうして二人はあんな風に?」
「私たちが付き合って四ケ月くらいの頃かな。ひかりちゃんが、駿が三人と付き合ってるんだから、私も他の人と付き合ってもいいよね?って言ってきて。」
「え?」
「日菜子ちゃんもその頃、他の人からアプローチされてて。二人を止められなかったの……。」
「そんな……。」
「ごめんね?それで、駿とだけ付き合ってるのが私だけ、ってなったら、揉めるかなって思って……。」
「それで二人に嘘を?」
「ええ。そうよ。」
「そうか……。まあ、三人と付き合ってる俺が、俺以外と付き合うなとは、言えないよな……。」
「そうね……。それで、どうするの?」
「二人とは別れようと思う。」
「そう……。」
「ああ、辛いんだよ、結構。」
「そうね。わかった、駿がそうするって言うなら。あ、あの私とは……?」
「汐里さえよければ、俺の彼女のままで居て欲しい。」
「いいの?」
「ああ、俺、汐里に救われたよ。汐里の事が好きだ。」
「ありがとう!!嬉しいわ!」
「そうか、そう言ってくれるなら嬉しいよ。」
「ええ、これからもよろしくね?」
「ああ、こちらこそ。」
「今日は泊っていく?明日まで両親は帰ってこないから。」
「いいのか?じゃあ、そうしようかな。」
いろいろあって疲れた……。
シャワーを浴びて、夕食を済ませると眠くなってきた。
「ごめん、めっちゃ眠い……。」
「いいわよ?ベッドに行きましょう?」
「悪いな……。」
ベッドに横になるとすぐに睡魔が襲ってきた。
お休み、汐里……。
「あの二人相手だと無理かと思っていたけど、何とか上手く行ったわ。ごめんね?ひかり、日菜子ちゃん。でも流された貴方達も悪いのよ?まあこれで、駿も複数の女の子と付き合おうなんて、二度と思わなくなっただろうし、結果オーライってところかしら。これからは私だけを見てね?お休み、駿。」
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