3 ひかりとデート
「お待たせ!駿!」
「お、おう。俺も今来たところだから。」
「ど、どうかな?この間買った服!」
「……可愛い。」
「えっ?」
「か、可愛いって言ったんだよ!」
「ほ、ほんと?へへ、御世辞でも嬉しいよ!」
御世辞なんかじゃない。
ひかりと休日に出掛ける事はあっても、駅でわざわざ待ち合わせ、なんて事はしたことがなかった。
改めて客観的にひかりを見ると、やっぱり可愛いんだな、と思う。
いつもそばに居る感じだから、ひかりを女として意識する事が少なかったのかもしれない。
改めて見ると、って感じだ。
「どうしたの?ボーっとして。」
「い、いや、なんとなく見とれてた。」
「え?うそ?ほんとに?」
「あ、ああ。」
「や、やだな、なんか照れちゃうよ。い、行こ?駿!」
「お、おう、そうだな。」
ちょっとぎこち無くなってしまったが、映画館へと向かう。
「今日観る映画ってどんなヤツなんだ?」
「えっとね、恋愛映画なんだけど、結構評判良いヤツだよ?」
「恋愛映画……。あんまり観ないなあ。」
「そうだよねー。けど、今日観るのは友達から凄くお勧めされたの!」
「そうなのか。まあ、たまにはいいかな。」
「私だってあんまり恋愛映画は観ないけどねー。」
「そうだよな、ひかりはアクションか、ホラーだもんな。」
「まあ、たまにはね?」
映画館にて。
「ねえ、駿?あ、あのね?手、繋いでもいい?」
「え?ま、まあ、いいけど。」
「ありがと!へへっ。はい!」
「お、おう。」
手を繋ぎながら映画観るなんて、初めてなんだけど。
やべえ、手汗とか気になる。
映画は凄く面白かった。
すれ違い、お互いの想いとは裏腹な展開になったが、最後はめでたく結ばれる、という結末だった。
「良かったねー!駿、この後ご飯行かない?」
「おお、行こう行こう!」
ファミレスに着いて、席に座る。
「ひかりの友達のお勧めってホントだったなあ!」
「だねー!私も半信半疑だったけど、面白かった!」
「あのまますれ違ってダメになっちゃうんじゃないかって思ったけどな。」
「うんうん、すれ違いは悲しいよねえ!……うん、悲しいよね。」
「?どうした?映画に感情移入しすぎたか?」
「そうかも。……ねえ、駿、聞いて欲しいことがあるの。」
「聞いて欲しい事?何?」
「あ、あのね?えーっと……。」
「うん?」
「わ、私ね?駿の事が好きなの!」
「……えっ?」
「ずっと駿の事が好きだったの!」
「あ、え、そ、そっか。」
「うん。だ、だから、その、すぐに返事しなくてもいいから、私の事考えて欲しい。私は駿と付き合いたいの。」
「お、おう。」
「私の事、一人の女の子として、考えて欲しい。」
「わ、わかった……。」
そりゃあ、ひかりの事は好きだ。
でも……。
そのまま何とも言えない雰囲気のまま、ひかりと別れた。
俺は……。