2 四人でデート?
「ねえねえ、駿!これとこれ、どっちが似合う?」
「ええ?俺に聞かれても、女の子の服なんてわかんねえんだけど……。」
「駿先輩!これ可愛くないですか?!」
「あ、ああ、可愛いんじゃないか?」
「私普段こういうの着ないんだけど、どう?似合ってるかしら?」
「え、あ、ああ。そういうのもいいんじゃないかな?」
放課後、四人で隣町のショッピングモールにやって来た。
ひかりと前に約束していた、買い物に付き合うってヤツだ。
ひかりが服を選んでいると、日菜子と委員長もそれぞれ服を物色しだした。
俺に意見を求めてくるんだが、俺はそんなにファッションに明るくない。
「駿の好みでいいの!どっちがいいか教えてよ!」
「あ、そうなのか?じゃ、じゃあ、こっちかな?」
「そう?じゃあ、これにしようかな?」
「お、おい、それでいいのかよ?」
「だって、駿はこれが良いんでしょ?」
「まあ、そうだけど。」
「じゃあいいの!」
ひかりが会計を澄ましている間、日菜子と委員長はまだ服を探していた。
「平日の放課後だと、時間が足りませんよ、駿先輩!」
「そうね、じっくり選びたいのに、もうこんな時間。」
「私も先輩に服選んで欲しいです!」
「あ、それなら私も!今度休みの日に付き合ってくれないかしら、三谷君?」
「あー!ズルい!私も私も!」
「え?ま、まあ、いいけど……。」
「決まりね!」
「絶対ですよ?駿先輩!」
「わ、わかったよ…。」
「お待たせ!みんな!」
「お、おう。」
「そろそろいい時間ね。帰りましょうか。」
「そうですね!」
そう言って日菜子と委員長とは別れた。
「もう!本当は駿と二人で来たかったのに!」
「ごめんって。埋め合わせはするから!」
「そう?なら今度の土曜日、映画観に行こ!」
「今度の土曜?わかった、いいよ。」
「約束だからね?!今日買った服着ていくから!」
「わかったって!」
ひかりと一緒に帰りながら、今週の土曜日、映画を観に行くことになった。
これってデートかな?
ひかりとは小学校からの付き合いだ。
なんとなくひかりの気持ちには気付いている。
俺もひかりの事は好きだ。
だが、いざ告白、となると勇気が出ない。
それに、日菜子の事も気にはなっているんだ。
自分の気持ちがはっきりしない。
ひかりとデートを重ねて行けば、ひかりだけを好きになるんだろうか。
これから自然とわかるようになるのかな。
まあ、焦ることは無い、と思う。
じっくり自分の気持ちと向き合おう。