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キラー・キルマン  作者: ゴリラっパンダ
9/15

9’特技発揮①

「おはようございます」

「おはようございます」


 エントランスで挨拶をしている清掃員がいる。そう、私だ。

 モップを片手に、タイルを拭いている。なぜ私がこんなことをしているか?ってそれは昨日の事。





「その点に関しては私に任せてね」


 汛はいい予感がしていない感じだ。


「お前、何をするつもりだ?どうやって会社を調べるんだ?」

「それはね、外からダメなら中からやるしかないでしょう」


 聞いても教えてくれないのなら、自分で調べるまで。

 社長が何を隠しているのかあばいてやる。


「だから、会社に潜入調査をする。そして、小樽社長が何を隠しているのか調べる」

「じゃあ、その間は俺は何もする事は無いな。

 まぁ、頑張れ」





 そんな事もあり、今は潜入調査中。

 設定は、中年のおばさんがパートをしにポタージュカンパニーで清掃している感じだ。

 清掃員に変装しているのは、会社員よりこっちの方が情報が手に入りやすいと、判断したからだ。

 それに変装は私が磨いてきた技術の一つでもある。


「おはようございます」「締め切り今日までだ」「取り引き先が、」「あいつキモイ」


 などの会話が耳に入ってくる。中には上司の悪口らしきものも混ざっていた。

 だが、大抵は今日の仕事についてだったり、日常の社交辞令だったりする。

 いろんな階の部署を回っていると噂を耳にする事もある。


「この前また人が殺害されたらしいわよ」

「またですか。これで四人目じゃないですか」

「怖いわよね」


 殺人事件の話題をしている社員もいる。

 それもそうだろう。同じ会社の社員が四人も殺害されたというのだ、気にするなと言われても無理だ。

 中には面白い噂もあった。


「小樽社長と秘書が出来てるって噂知っているか」

「嘘だろ。俺結構三笠さんタイプだったのになぁ」

「お前じゃ無理だって、諦めろ」

「だよな」


 小樽社長と三笠さんが出来ている?確か小樽社長には奥さんがいたはず。

 これを隠していた?でもこれは特に殺人事件には関係がなさそう。


「最近よ、殺害された人達がさ、小樽社長を脅していたらしいよ」

「まさか~。そんな事ないでしょう。だってあの四人は優秀で社長にも気に入られていたらしいしね」


 清掃のため部署を移動しながら聞いていると、噂がたくさん流れていた。

 まさか、小樽社長と三笠さんができている事をネタにあの四人が脅していた?それだったら小樽社長だけでなく三笠さんも怪しくなってくる。

 私が考えながらトイレ掃除をしているとまた噂をしている社員が来た。


「ここの所、経理部がさ結構忙しくてさ」

「どうしたんだ?」


 どうやら経理部の人とあと一人が来たみたいだ。


「なんかさ、精算しているとさお金が帳簿とたまに合わない時があるんだとさ」

「それって、横領されているってことか?やばくね」

「めっちゃやばいよ。しかも次の日に確認してみるとちゃんとお金が帳簿とあっているんだとよ」

「怖くないか」

「すっごい怖いよ」


 今度は、会社のお金を横領している噂か。この会社にもさまざまな問題があるんだな。

 確かに不思議だな。前の日に合っていなかった帳簿が次の日には合っているなんてどうなっているんだ?

 まさか誰かが書き換えているのかもしれない。


「トイレ掃除も終わったし、そろそろ戻りますか」


 トイレ掃除も終わった事だし清掃員の控え室に戻って行く。

 控え室に戻ると他の所を清掃していた人達も戻ってきていた。


「あら、今終わったところ古山さん」

「はい、今やっと終わったところです」


 話しかけてきたのは同じパートの従業員だ。

 古山さんとは私の事だ。この会社でパートをするにあたって偽名を使わせてもらっている。

 初山静莉という本名は小樽社長や三笠さんにもバレてしまっているのに本名で仕事をするはずがない。


「初仕事はどうだった?大変でしょ?」

「とても大変でした。なんせこんなに大きな会社ですからたくさん掃除する場所があるので」

「そうよね。特にエントランスのタイルはとても大変なのよ。白くて汚れが無いようにしなさいって会社の人に言われているのよ。入口で会社が分かるとか言っているの」


 初仕事は想像以上に大変だった。隅々掃除をしてホコリや汚れの無いようにするには入念な事が必要なのだ。

 新人の私には会社の顔とも言われているエントランスは任されない。当然のことなのだ。

 なのに、本業では咎人の監査人の大役が回ってきた。それを考えると、上の人達が何を考えているのか分からない。


「ねぇねぇ聞いた。社長と秘書が出来ているっていう話」

「それね驚いたわ。あと経理部の帳簿が合わないらしいわよ。知っていた古山さん」

「そうなんですか」


 すみません。知っています。

 そう言うと情報が欲しくてこの会社に来たんだからね。

 おばさんになってくると噂話が好きになってくるのかな。


「でもこういう話もあるわよね。殺害された四人が会社のお金を横領していたって聞いたわよ」

「うそー。あの四人が」

「そう、あの四人がよ。私が清掃していたらそう言っている人もいたもの」


 そういう話が欲しかったのよ。あの四人に関する情報が。


「その話詳しく聞かせてください」


 私は興味津々に聞いてみた。


「あら、古山さん興味があるの?でもあまり詳しい事は知らないわよ」

「大丈夫です。できる限りの事を教えてください」


 大体の話でいい。そこからはその情報を徹底的に調べあげるのだから。

 その話はこの事件解決に繋がっているかもしれないのだから。


「殺害された四人がこの会社のお金を横領していたかもしれないって話しね。しかも経理部の帳簿も書き換えていたらしいしね」

「横領してしかも帳簿の改ざんをしていたか」

「私が聞いた限りではこれくらいしか知らないわよ」

「いいえ、ありがとうございます」


 会社のお金を横領していた事に殺害された四人が関係していたのなら調べる必要が出てきた。

 詳しく調べてみるか。




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