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キラー・キルマン  作者: ゴリラっパンダ
8/15

8’会社へ

  ポタージュカンパニーの前まで来ている。会社を探すのは、苦労しなかった。

  なぜなら、都心部の大通り沿いにあって、しかもとても大きな会社だからだ。

  思いのほか、有名な会社だという事を認識した。


「ここがポタージュカンパニー。すごく大きいわね」

「おい、さっさと行くぞ」


  中に入ろうと進むと自動ドアが開き、入ると白いタイルがズラっと敷かれて、汚れの一つも無い。上をむくとどこまで続いているか分からない吹き抜けになっている。


「すみません。社長に会うことは出来ますか?」

「失礼ですけども、どちらの方でしょうか?」

「失礼しました。私は咎人取締局の初山静莉といいます」


  エントランスの受付の女性に社長との面会を伺った。失礼ながらも、自分の名前を名乗るのを忘れていた。


「失礼しました。少々お待ちください」


  慌てた様子で電話を取り、確認してくれている。

  その間、ソファーに座って待とうと思っていたら、汛はもう堂々と座っていた。私が受付の女性と話している時には座っていた事が予想出来る。

  受付の女性が電話を置き、こちらへと向かってきた。


「大変お待たせしました。社長がお会いするとの事ですのでお待ちください」

「はい、ありがとうございます」


  そう言うと仕事に戻って行った。辺りを見回しても人通りが多かった。みんな仕事が忙しいのだろう。

  しばらくすると女性が近づいて来た。


「あなた方が取締局の方でしょうか?」

「咎人取締局の初山静莉といいます」

「私はポタージュカンパニーの社長の秘書をしています、三笠といいます」


  三笠と名乗った女性は、首回りの開きやスカートの丈に気を使い、肌の露出が少ない服装。髪が後ろでまとめられて、すっきりとした印象がある。


「そちらの男性も取締局の方でしょうか?」

「はい。そんな感じです」


  言えないよな。まさかここに咎人がいるなんて言えない。あやふやに答えると三笠さんは不思議そうな顔をしていたが、分かってくれたみたいだ。


「では向かいましょう。社長はあまり時間が取れないので」


  さっそうと歩き始めてエレベーターに乗り込んだ。どうやら最上階に向かっているみたい。

  そうとうな時間乗っているのに全然着く気がしない。高層ビルのような会社なのだから当たり前なのかもしれないが本当に全然着かない。


「着きました。こちらへどうぞ」


  やっと着いた。とても長かった。

  最上階に着くと、下の階のように慌ただしく人の出入りが無い。どうやらここには社長室しかないみたいだ。


「社長、取締局の方々をお連れしました」

「あぁ、入ってくれ」


  社長室の扉を二回ほどノックをして聞くと、短い返事が帰ってきた。

  中へと入ると窓際の机で仕事をしている男性がいる。三笠さんがソファーに座ってくださいと仕草をしたので、座らせてもらった。


「すみません。仕事が溜まっていまして。私はポタージュカンパニーの社長をしています、小樽宗近と言います」

「私は咎人取締局の初山静莉と言います」


  小樽社長は丁寧に名刺を差し出した。お互いの自己紹介が終わり、本題に入った。


「早速ですが小樽社長、先日殺害された四人について聞きたいのです」

「殺害された四人については残念に思います。彼らは当社でも有名な社員でしたから」


  予期せぬ殺害にあった四人に心を痛めている感じがする。社員を大事にしているのだろう。


「では、人間関係に問題はありませんでしたか?」

「プライベートの事は本人達に任せていましたから分かりませんね」


  社員達のプライベートは本人達に任せている会社だという事も分かった。


「そろそろよろしいでしょうか、まだ仕事がありますので」


  大きな会社だから仕方ないことではあるが、そんなに慌てて仕事に戻ろうとしなくてもいいのではないのだろうか。


「失礼しました。それでは私達はこれで」


  ソファーから立ち上がると三笠さんが下まで送ってくれるとの事だ。

  また長い時間エレベーターに乗りエントランスに着くと、


「それでは私はここで失礼します」

「今日はお忙しい中時間をつくって頂きありがとうございます」


  私達を送り終えると、仕事に戻るために挨拶をしてくれた。エレベーターに向かおうとした時。


「あ、ちょっと待てください」

「どうしましたか?まだ何か?」

「これ一応私の連絡先です。何かを思い出したり、困った事があったら連絡してくださいね」


  秘書の三笠さんに連絡先が書かれた紙を渡した。受け取ったらそれを胸ポケットにしまい、一礼し戻って行った。


「何で秘書の奴に連絡先を渡した?それなら、社長でもよかったんじゃないか?」

「私には小樽社長が何かを隠していると感じたわ。だからその近くにいる秘書の三笠さんに連絡先を渡したの」


  汛の指摘は最もなものだった。こういう場面では社長に何か思い出したりしたら連絡してくださいと連絡先を渡す所だが渡さなかった。

  先程の小樽社長の慌てようには隠し事があるように感じられた。

  だから秘書の三笠さんに渡したのだ。


「お前は社長を疑っているのか」

「疑っているほどではないけどね。まぁ、隠し事があるんじゃないかなって」

「そうだとしても情報が足りない。まだこの会社を調べる必要がある」

 

  何を隠しているのかが分かれば、殺害された四人の共通点が分かってくるはずだ。

  そのためにも、ポタージュカンパニーについてより詳しく調べる必要がおおいにでてきた。


「どうやって調べるんだ?」

「その点に関しては私に任せてね」


  自信満々に胸を張り言ったのに、汛の表情からすると、心配というよりか、いい予感がしてない感じだ。

 




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