1’海底監獄
「あのー北見さん、ここは何処なのでしょうか?」
薄暗く灯りのついた石畳の階段を降りながら問いかけた。
「ここは海底監獄だ。島全体が監獄となり島の地下まで続いている」
私の問いかけに答えてくれた人は、外見は50代くらいの男性、北見重四朗さん。これから私の配属先の上司だ。
私、初山静莉は最近『咎人取締局』に配属となった新人である。
海底監獄は、全8階層にもなる。上4階層は比較的軽い罪で捕まった奴らがいる。下になるにつれて凶悪な犯罪者が投獄されている。
そして、北見さんは付け足すように行った。
「これからお前にはとある奴に会ってもらう」
私はそれを聞いた途端緊張感が走った。
なぜなら、ここは海底監獄。犯罪者達が投獄されている所なのだから。
そんな所で私に会わせたい人がいる?
「会わせたい人とは誰ですか?」
「会えば分かる」
気になりながらも私は石畳の階段を降りていく。階段を降りていくカッカッカッと鳴り響く足音が不気味に聞こえてくる。
「‥‥北見さん少しよろしいでしょうか?」
恐る恐る尋ねてみると
「構わない。何を聞きたい?」
「それでは、まずそれでは何故私みたいな新人がこのような所に連れてこられたのでしょうか?それで誰に会わせたいのでしょうか?」
北見さんに気になっていることを尋ねてみると‥‥
「まず最初の質問だが、君みたいな新人を何故連れて来たかと言うとだが、訓練所の先生や同僚から君の噂をいくつも小耳にはさんでいたからなのだが相当腕が立つどのことだな」
「あ、ありがとうございます!」
この人が意外と新人の私を高評価している事に嬉しいさのあまり声が少し裏返ってしまった。
「それに、君は『咎人』を心のそこから憎み、恨んでいるとの事だからその悪行を見逃さなく、目を離さないと思ったからだ」
『咎人』というのは、ここ海底監獄から連想されるとおり犯罪者だ。
ただし、『異端』と呼ばれる力に目覚めた人達が、その力を悪用し、犯罪を犯した者達のこと。
そして、私は北見さんの言葉に違和感を感じていた。
(「悪行を見逃さない」というのは分かる。だけど「目を離さない」というのはどういうことだろうか?)
考えながら階段を降りて行くと
「着いたぞ」
その言葉に私は緊張感を持った。
自分では淡々階段を降りているつもりだったが着いた先は、海底監獄の最下層第8階であった。
ここに投獄されている咎人達は、罪を犯しまくりもう地上の日を浴びる事が出来ないくらいの懲役をくらった奴らがいる場所。
「本当にここなんでしょうか?」
「ああ、そうだ」
北見さんはそう言いながらも歩みをとめない。
私はというと、正直足取りが重い。
こんな所で会わせたい人がいる。ふざけているのか?と心の中で思っていた。辺りを見回すと少ない人数だが檻にいる咎人達が面白そうにこちらを見ていた。
「ここから出せ」「女がいる」「なんだなんだ?」などという自分の欲望、願い、単純に私達が何故ここにいるのか不思議に思っている奴らもいる。
「痛っ」
辺りを見回しながら歩いていたら急に止まった北見さんにぶつかった。
止まった先を見てみると1つの檻があり、中を見てみると男が退屈そうに座っている。
「久しぶりだな。汛」
久しぶりという言葉に反応してかこちらを見ながら答えた。
「久しぶりだな。北見」
どうやら北見さんは汛という男と知り合いのようだ。この男が私に会わせたい人だというのか。当然ながら面識がない以前に誰だかすらも知らない。もしかしたら、相手が私の事を知っていたりと考えながら北見さんに尋ねようとすると
「突然だが汛、お前にはここから出てもらう」
それを聞いた瞬間、本当に突然の事で汛は少し驚いていたがその後は、ニヤニヤとしていた。
私はというと自分を忘れたようにこのように叫んでいた。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーー」
「何を考えているんですか!アホなんですか!ここは海底監獄の第8階層ですよ。もう地上の日浴びる事がないとも言われているくらいの咎人達がいる所なんですよ!」
驚き、怒り、恐怖、表面には表せないような感情が込み上がっている。
「うるさい。上司に向かってなんて言葉使いなんだ」
そう言われて私は我に返る。
「すみませんでした」
北見さんに向かって私は深く頭を下げた。
しかし、内心は荒れ狂っていた。
「俺が何の考えもなくこの男をここから出すと思っているのか?」
「いいえ」
確かに海底監獄の最下層なんかにいるような男を何の考えもなく出すわけがない。
この男を出すのに何か条件を付けるに決まっている。身体の中に爆弾を埋め込んで違反したら爆発させるなどという考えが頭に浮かんだ。
北見さんを少し見くびっていたみたいだ。
「俺が何をこの男にするか気になるか?」
「はい!」
どんな事を条件にするのか想像もつかないが、きっととてつもなくキツイのを課せられるに違いない。この監獄の最下層いる男なのだから。
「それはな‥‥‥‥‥」