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第八話 ダンジョンの攻略法!?

翌朝、俺と父さんは朝イチで物資を確保する為、皆より二時間ほど早い早朝五時前に目を覚ました

早起きの理由は悪人達が起きて活動を始める前に動きたかったからだ


静かに着替えて準備を終えた俺たちはダンジョンを出て、父さんが車の鍵を取りに行っている間に俺はシャッターを静かに開ける



ルートは昨日の話し合いで決めているので後はスムーズに事が進む事を祈るのみである

父さんが車のエンジンをかけ、某国内メーカーの電気自動車は静かに動き走り始めた

はじめに行くのは一番近くの大型スーパーだ

運が良ければここでかなりの食料を確保出来る。そうなれば他のスーパーやコンビニへ行く必要がなくなるだろう


道中は所々ブロック塀が崩れてUターンを余儀なくされたり、事故車が道を塞いでしまい回り道をさせられたりと少し遠回りしたが近くなので、まぁ数分で辿り着いた


一応父さんには車の見張りを任せ俺は一人店内へ入る

店内は商品棚が倒れてめちゃくちゃになっている所もあるが、ここの常連である俺はどこに何があるのか把握しているので暗い中を懐中電灯と買い物カゴを手に迷わずに進む


地震でめちゃくちゃになってしまったからなのか、まだそれほど人が入った様子はなく、商品もかなりの量が残っている

俺はカゴを床に置くと棚に置かれた米、土鍋、カセットボンベ等を回収して一度車に戻り父さんに話しかけた


「米がかなりあったから父さんも回収するの手伝って」


「…!分かった」

俺は父さんと静かに声を掛け合って二人は店内へ入った


何往復もして店内の米が置いてある棚へ着き米を合計200キロほど確保し、次に缶詰や調味料、インスタント食品等を中心に車に運び込んだ


これで車のトランクと後部座席の一部はいっぱいになったが、康介はまだ足りないとばかりに花売コーナーにて野菜の種や栽培キット一式を持ち出し、後部座席へ運んだところで満足気に車に乗り次の目的地である大手全国チェーン店の薬局へと車を走らせた


この時も様々な障害物(事故車&死体あり等)を避けながら道を行き予定通り衛生製品、薬やマスクに救急セット、生理用品とほぼ必要な物は回収した


康介はここで別行動して物資を回収して回りながら一つの棚をあれこれと見て悩み、男性用避妊具を密かに二箱ポケットにしまいこんだ

それを父、晴夫は少し離れた棚の隙間から覗き見て微笑んでいた事は内緒だ。笑


そして薬局を去った道中の車内では

「ここまで上手く行き過ぎてたら逆に怖くなるよねー」


「お前が面倒を避ける為だって言うから折角早起きしたのに嫌な事を言うなよ」

実は不安になっていたのは康介だけでなく父、晴夫もだった


そして、こうゆう時こそ、その予感は的中する

次の本屋まで500m付近と行った所でそれは現れた


「……何で道路を塞ぐ様にダンジョンが出てきてるんだ…ここ一方通行だからバックしないと…」


「このまま車で突っ込んでダンジョンアタックするのもアリじゃない?」


「仮に、それで階段を下りれたとしてどうやって部屋の扉を引いて開けるんだ?康介が車から降りたら俺は迷うことなくロックするぞ」


「い、いや冗談だから。笑」


「はぁ……とりあえずバックして回り道しよう」


モンスターとは鉢合わせする事なく遠回りしで本屋に行き、サバイバル本や家庭菜園の本などを回収し、最後の目的地ホームセンターに向かって車を走らせる




そして全てを回り終えた二人が家に帰った頃には陽は昇りはじめて明るくなっていた


荷物を裏庭に放置されていた台車と一緒に何回にも分けてダンジョンへ運び込み、俯き顔で表情を暗くしながらネズミやゴブリンを遅いながらも確実にそして丁寧にトドメを刺しつつゆっくりと先へ進んだ


湖の部屋に辿り着いた時には既に他の皆も起きており、顔を洗って朝食を摂り終えて歯を磨いていた


「二人ともどうしたの?暗い顔して」


「ん……何かあったの?」

母さんと光が心配げに俺たちに声をかけてきた


「あ…あぁ…心して聞いてくれ。

実はな、最後のホームセンターからの帰り道に光達の同級生の中田さん一家を見つけたんだ…ネズミに食われた死体で…一家四人とも……」


「そんな……!」

そういや早見おばさん達も交流があったんだったな…今思い出したわ…


「ネズミは俺が剣で殺して仇はとっておいたんだけどな…クソっ」


「……こ、康お兄ちゃん…嘘でしょ…!?」


「………な…中田が…嘘だ…!そそんなのって…ないよ!…グスッ…」

玲奈ちゃんと光は涙を流し、遂には泣き出しながらも信じられないといった様子だ


予期せぬ報告に暫く沈黙が続き、皆が意気消沈しているなか康介が収穫など他にあった事を報告しだした


「…先ず最初に向かったスーパーに関してだけど、食料はかなり手に入った。野菜の種や栽培キット一式も持って来たから、ここで植えて育てられるか試そう。

薬局も一通りの物は確保出来た、だけど問題もあったよ。

次の目的地に向かう途中、道を塞ぐようにして一方通行の道路に横幅のあるダンジョンを地上で初めて見つけた。

次の本屋には遠回りして目的の本も確保したんだけど最後のホームセンターは…確保出来た物と出来なかった物がある。」


「ホームセンター?…他にもまだなにかあったの?」

嫌な予感が脳裏をよぎったのか早見おばさんからの質問に俺は自身の見た光景を思い出しながら答えた


「…はい、ホームセンターを本拠地にしてたガラの悪い奴らと避難?しに来た別のガラの悪い奴らが争ってた。それに何人か人の死体も床に放置されて……うぅっ…」


「康介、無理するな。ここからは俺が話すよ。

康介が言った事は全部本当だったし、更に酷い事にホームセンターにはこの二つの勢力以外にも、ゴブリンが大勢侵入してきて居て…三つ巴の争いになってたんだ」

言葉に詰まる俺の代わりに父さんが答えてくれた


「それって…!」


「……うん、俺と父さんは隠れて様子を見ながらコソコソと慎重に物資を回収してたから無事だったし、少しは工具なんかも回収は出来たけど、いずれ足りない物なんかも出てくると思う。

それとゴブリンもだけど、生き残ってた奴らと殺し合ってかなりの数が死んでたし、それで三つの勢力の奴らのどれかはほぼ壊滅してると思う」

詩音ちゃんの上げた声に俺は続きを話した


「それで、残りのゴブリンはどうしたの?」

母さんは心配そうな表情で俺に先を話すように聞いてきた


「どうもしてないよ。一匹、明らかに普通のゴブリンじゃない大型のが居たから見つかる前に逃げたんだ。

正直、アレとは戦っても全く勝てる気がしなかったよ。

ゲームやアニメでいうところのゴブリンの上位種とかなんだと思う」


「そんなのまでいるなんて…これから先大丈夫なのかな?」

詩音ちゃんはとても不安そうな声で呟く


「そのことで康介と帰りに話し合いをしてたんだけど、皆のレベルが10以上になるまでレベルを上げてからあの扉を開けて先に進もうと思う」


「チュートリアル中でここまでレベル上げるのもおかしな話なんだけど、俺たちはゲームキャラじゃなくて生身の人間だからね。念には念をってやつだよ。

武器になる様な新しい大きなバールとかノコギリなんかも仕入れて来れたしね」

父さんと俺で話し合い考えた事を話していると光が話に入って来た


「……ねえ、兄ちゃん、中田の死体はどうしたの?」


「車に乗せて運べる程の余裕がなかったから、一応近くの民家の庭に運んで隠す様にして置いてある。

墓を作ってやりたいなら先ずは強くなってからだな、道路なんかであんなモンスターの集団に襲われたりでもしてたら俺と父さんもヤバいと思うし」


「…うん」


「光くん…」

落ち込む光に玲奈ちゃんはそっと寄り添い手を握ってあげていた


「とにかく、レベルを上げて生き残る術を持っていないと俺たちもああなるって嫌でも思い知らされたよ。

戦わないと生き残れない世の中になったんだ」


「お兄ちゃん、その…ゴブリンの上位種はどうするの?」

美優にやっぱりそっちが気になるのか


「うん、もっと強くなってから倒せそうなら皆で倒しに行こう。そうしないと、ホームセンターじゃないと手に入らない物がいずれ使えなくなったりして尽きてしまうし」


報告を終え、休憩をしながら交代で着替えを済ませた一行は先日出来なかった分のレベル上げも含めて道を戻り、荷物を運びながらネズミ、ゴブリンを協力して倒し、また道を戻る


これを昼過ぎまでひたすら行い、一度湖へ戻って湯を沸かして交代で体を拭き、着替えてから昼食を食べた

朝から嫌な話を聞いたからか皆は余り食欲もなさそうな感じだ


食後も道を戻ってレベル上げに…となった所で康介はふと思いついた事を試そうと、ゴブリンの部屋を抜けて直ぐに扉を閉め、いつもの様に取っ手にバールをかまして再度扉を少し開けてみると

「グギャギャッ。ギャッギャキャギャ!!」バンバンバン……!


「やっぱりか…!扉は抑えとくから誰か倒して!」


俺の声にすぐ光が反応して、玲奈ちゃんと交代しつつここは倒してくれたが、一体どうゆう事なのかと母さんから尋ねられて説明を始めた


「モンスターのリポップする時間がずっと気になってたんだよ。最初に比べてレベルも上がってペースアップしてるにも関わらず、部屋に来たら必ずモンスターは湧き出てきてるからさ」


「……なるほどな。部屋を抜けて扉を閉めた瞬間にはもうリポップしているんじゃないかと思ったのか?」

父さんも気になっていたのかそう聞いてきた


「そう。んで、これを何回も繰り返せば移動の時間が大幅に短縮出来るよね?」


この方法が見つかってからレベルアップするペースが明らかに早くなり、夕方頃にはもう全員がレベル10に到達していた。


朝に友人の悲報を聞いた母さん、早見おばさん、光、玲奈ちゃんの四人は大丈夫かとずっと心配だったが光はモンスターに対する強烈な殺意を抱く事で乗り越えたようだった


母さんと早見おばさん、玲奈ちゃん達は未だに深い悲しみから抜け出せずにいて、意気消沈しているように見える

それでも、何とか気力を振り絞って奮い立つように戦っていた姿には頭が下がるよ


でも、四人は正直不安だな…光は暴走する可能性があるし、母さんと早見おばさん、玲奈ちゃんは常に誰かが一緒に居てあげてフォローしてあげないと危なさそうだ


父さん、俺、美優、詩音ちゃんも知らない仲ではなかっただけに知っている人の死に少なくともショックは受けている


無理はせずに今日はこれ以上、戦闘を繰り返す必要もないかと思い夕食を食べて休むことにした

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