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第七話 初めてのダンジョン生活③

三段ボックスを抱えてダンジョンに戻って来たんだけど、これ持ち運びにくくてちょっと邪魔なんだよなぁ


何に使うのかを俺は知らないけど、最初から必要な物だけ持って行っとけば良いのに…



階段を降りて武器を回収した後、ネズミ部屋に着いたので俺が扉を抑えて詩音ちゃんにネズミを倒させる


レベルアップした?え?まだ?…まぁ二人分だけしか出なかったんだから仕方ないのかな?

次のゴブリン部屋で交代しながら倒してたら詩音ちゃんもレベルアップした


予想外な展開もあったけど、彼女が出来てリア充の仲間入りを果たした俺は完全に浮かれてしまっていた


血まみれで疲れた体を引きずりながら二人は歩き、湖の部屋に戻った俺たちは母さん達に三段ボックスを渡したのだが、その時に詩音ちゃんが「あの!こ、康介君とお付き合いさせて頂く事になりました!今後とも宜しくお願いします!」

と意味の分からないご挨拶をして固まってしまった俺は皆からめちゃくちゃからかわれた


「どっちから告白したの?」とか「もうキスはしたのか?」とか俺メインで質問責めにあい、俺からは何も語らず逃げに徹したが全部詩音ちゃんが受け答えをしてしまっていた


祝福の言葉の中で唯一、俺の弟である光は「クソっ!」と小声で悪態をついていた…って!いやいや!!詩音ちゃん!?何全部喋ってんだよ!詩音ちゃんのお母さんからも「ウチの詩音をよろしくね」とか言われたわ!チックショー!!


ハァハァ…そんなことがありながらもずっと俺のポーカーフェイスは健在ではあったが、心の中では動揺しっぱなしの荒れっぱなしだった



……それにしても、よくもまあこんな災害にあいながらも俺たち加藤家と早見家は凄く楽しそうに、生き生きとしているものだ


この雰囲気がずっと続けば良いのにとふと思った

ま、そんな事は有り得ないんだろうけどな…



あの地震は何処が震源地なのかも被害はどれくらいなのかも情報が何も無い今では何も分からない

俺たちの友人や知人は大丈夫なのだろうか?

ずっと心配だったが最悪の事態を考えてしまっていた為に余り考えない様にしていた

だが、俺たちはここでこんなにも元気で居るんだし、これからは何処かできっと生きていると信じてみようと思う



避難場所もなく困っている友人達が居たら何とか助けてやりたいしな。その為にもここでの生活基盤を磐石なものにして少しでも安定した平和な生活が送れる様にする

その為にも先ずは穴掘りだ!


トイレ用と水浴びした不要な汚れた水を流す溝と穴を用意しなければ

キャッキャしてた女性陣も暫くしたら落ち着いてそれぞれ作業に戻っていった


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

side 光


う、嘘だ!…兄ちゃんが玲奈ちゃんの姉ちゃんと付き合う事になったとかいきなり過ぎるだろ!

何処でフラグがたったんだよ!?

母さん達も喜び過ぎだよ!

俺も玲奈ちゃんと付き合って皆に喜ばれてえよ!

ていうか、兄ちゃんどうやって詩音姉ちゃんに告白させたんだよ!?

好きな子を落とす秘訣とか!それを俺にも教えてくれぇぇぇ!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


俺はステータスのお陰か任された作業が捗り過ぎて一息つきながら、周りの皆の作業を眺めていると弟の光だけが雑な作業をしてるのを発見した…俺が先を越してしまったから荒れてるのかな?

俺は幸せだからどうでもいいんだけどね。笑

兄が弟などに先を越されるとか許されないのだよ!


レベルアップの効果により強化された俺たちの体力や筋力は微小ではあるが確かに向上しており、目標としていたくらいにまで早めに穴掘りも進みひと段落した



穴が大きくてトイレは壁に沿って何個も横並びで丸見えだし、トイレットペーパーは誰が持ってきていたのか新聞紙の上に置かれている

新聞紙ありがたいです


水浴び用の穴はしっかり水を吸ってくれるのかまだ分からないのでこれから試していかないといけない

パーテーションでも良いから仕切りが欲しいもんだな


あとは男女で別れたり、トイレは使用する時に全員に報告する事になったりとまだまだ決めないといけない事も沢山ある

皆が見える所でいきなりズボンとか脱げないしね…


もちろん食料問題や治療問題も急いで解決しないと誰かが体調不良になってからじゃ栄養食も薬関係も少ないので手遅れになる


やっぱりこっそりとスーパーやデパートに行って、色々と回収してくるとかしてでも何とか確保したいところなんだが母さん達に許可されない気がするんだよなぁ

…このままじゃ詰みかもしれないし、やっぱり一度相談してみよう!

このままじゃ皆揃って共倒れだ!

俺は休憩をしている母さん達に近付き、先程まで考えていた事を話した

昨日迄だったら俺たち一家だけだったが、早見一家も加わった今とは消費する量も事情も違うのだ!


「…そうね……出来るなら食料だけじゃなくてやっぱりお薬なんかも欲しいわよね…」

母さんも昨日までとは事情が違う事を理解してくれてる様だ。良かった…


「本当ね…あれこれ言いだしたらキリがないけど、今後の事を考えると必要な物がいっぱいあるわよね…」


「ねえ、お父さん。車で行って無事に戻って来れると思う?」


「うーん、道路がどうなっているのかが分からないから何とも言えないな

人数も少人数で行かないと物資を確保しても車に載せきれないし」

父さんが何を期待しているのか俺の方をチラリと見てくるので仕方なく誰でも思いつく妥協案を出すことにした


「普通に考えれば俺と父さんか、父さんと母さんだな」


「康介、あなた大丈夫なの?生理用品とか女の子は大変なのよ?」


「あぁ、さっき俺が早見さんの家に他の物を取りに行った時にメーカーも確認したから問題ないよ

それに今はいちいちそんなの気にしてる場合じゃないだろ」


「あ、そ、そうなの?それなら大丈夫そうね。じゃあ、お父さんと康介は明日にでもお願い出来るかしら?」


「あぁ、分かった」


「合点承知之助っ!」


…………………………………………………………。


「兄ちゃんやっちまいやがったな!あはははっ!」


「……あ〜!光の好きな女の子が誰か言いたくなってくる病が再発したー!」


「やめろーーーーーー!」


光は俺に向かって掴みかかって手で俺の口を無理矢理塞ごうとしてくるが身長もステータスも上の俺が弟に負ける要素が全く見当たらず、片手で頭を抑えてやるだけで光の手は空を切り俺の体に触れる事すら出来ない


「…光、いい加減に諦めろ。お前じゃあ一生俺には届かない」ニヤニヤ


「ふざけるなー!俺より背が高くて腕が長いだけじゃないかー!」


「はっはっはっ!そうだ。そしてそれこそが貴様が永遠に届くことのない世界との差だ!」


「今日も絶好調ね、バカがとどまるところを知らないわ…」

あら…母さんにめちゃくちゃ呆れられてる。笑

我等が母上は諦めとも呆れとも受け取れる発言をし溜め息をつく


「あはは!康お兄ちゃんも光君もおもしろいね!」


「ブププッ……!そんなの光君が大きくなったら変わらないのに…それが世界との差って…」

玲奈ちゃんと詩音ちゃんに好評なら俺はそれで良いかな


「グギギッ!に、兄ちゃん…今にみてろよ!絶対大きくなって俺が世界を手に入れてやる!!」


「漸く本性を現したか魔王!笑」


「誰が魔王だよ!」


「世界を手に入れてやる!とかモロに魔王的発言じゃねぇかよ!笑」


「クソう!覚えてろよ!!」

あ、光が突っかかっろうとするのを止めて俺から離れた


「モブが言いそうな発言なんかするなよ。笑」


「うっせー!笑うなー!!」

タッタッタッ…諦めた光は負け惜しみを言いながら駆けて俺から遠ざかった。あらら


「これで世界に平和が戻ったな…長く厳しい戦いだったな…」


「今の世界がどんな状況かも分からないこれのどこが平和なのよ…バカバカしいわ、夕飯の準備でもしましょ…」


「あ、私も手伝うわ」

母さんと早見おばさんが夕飯の準備に向かい、詩音ちゃんもそれに続く


「それなら私もお手伝いする!」


大変な事になっている人達がいるかもしれないのに呑気なものである



因みにこの日の夕飯は早見一家と合流出来たお祝いも兼ねてカセットコンロで鍋の水を沸かし、インスタントラーメンを腹いっぱい(12袋)食べ、その後はゆっくり休憩をとりながら布団の並べ順をどうするかの話し合いがもたれた

というのも早見一家が増えただけでなく、両家にとっても喜ばしい事にカップルが誕生したからである


唯一、俺だけは一緒に並べなくてもいいと言って抵抗はしたのだが、あっさりと却下されてしまい抵抗虚しく端っこで俺と詩音ちゃんの布団を並べられてしまったのだ


最終的に順番は詩音、康介、晴夫、美由紀、光、早見母、玲奈となった。


その結果を聞いた光は内心で《何でオバサン二人に挟まれて寝ないといけないんだ!》とずっと文句垂れていたに違いない。笑


寝る前に男と女で別れてトイレ、水浴びをして穴の中の水の吸収具合をそれぞれで観察してもらいながら歯磨きも終わらせた


ダンジョンに掘った穴に流れ落ちた水もしっかり吸収されていたのも確認出来たので問題もなさそうだという結論が出て、この日は就寝した


……そう俺以外はな!

だってそりゃそうでしょ!

こんな状況で童貞の俺がぐっすりと寝れるハズがないだろう!?

ずっと興奮が止まらねぇんだよ!


左を見れば俺の初恋の美少女が布団をくっ付けて寝ていて、右を見ればだらしのない加齢臭漂わせるオッサンの寝顔…これってばどんな拷問なんだよ!?


「はぁ…」深く溜め息をつきながら目を瞑り無理矢理寝て俺たちの平和な一日が終わった

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