第四話 剣を手に入れた後、隠れた秘境を見つけた俺たち家族は引っ越しを決意する!!
部屋に入った時はまだ気分が悪くて元気のない母さんだったが、休んで元気が戻ってから予想通り父さんと光は母さんからこっ酷く叱られた。いい気味だぜ!
可愛い我が妹も大分マシになってきているので、そろそろ先に進もうかな〜
武器に関してはステータスが一番高い俺が剣を持つことになり、父さんにバールとノコギリを、光にドライバー二本セットを渡した
母さんが持って来ている金槌、美優が持って来ているつっかえ棒は役に立つ時は来るのだろうか?
鉄の剣に関しては能力などの詳細を調べる事は出来ず、外見から見定める事しかできない
どんな物かと言われると漫画などによく出てくる様な、鞘にちょっとした模様が掘られ、ベルトには留め具が付いている普通の剣だ
これはたすき掛けにベルトを回して背中に背負う様にして身に付けることが出来た
そしてゴブリンを倒してレベルアップし、剣を装備した状態の俺のステータスがこれだ
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名前:加藤 康介(16) チュートリアル中
レベル:4 ジョブ:なし
能力:体力F-、筋力F-、魔力G、敏捷F-、魅力F-、運F-、総合力F-
装備:寝間着、スニーカー、鉄の剣
スキル:なし
魔法:なし
称号:先駆者
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………俊敏と魅力がF-になっただけなんだけど、他の変化してないF-とかGの能力は全く変わらないのだろうか?
さっぱり分からないし調べる術もないので諦めてほっとくしかない
それよりもゴブリン部屋を出て先に進まないとな!
次に現れたのは扉のない部屋だ
警戒しながら中に入って様子を見るが前の二つの部屋と同じで、明るくなりデコボコしてて広いだけだ
ただ、違いがあるとすれば出口?の方に扉があるのと部屋の真ん中に湖があるくらいだ
そして、物珍しい物を見たらじっとしていられない奴が一人!
「やったー!水だ!喉乾いてたんだよ!!」
光が湖へ一人駆けて行く
「ちょ、ちょっと光!そんなの飲んで大丈夫なの!?危ないから止めときなさい!」
母さんから声がかかるけど、もちろん光はこんな注意を受けても大人しくするハズがない
……ズズズ……ゴクゴク…!
「美味い!この水飲めるよ!!凄く澄んでて底が見える!」
湖の水を飲んだ光からそんな声が返ってきた!
「そんなに綺麗な水なら大丈夫そうだな父さんも喉乾いていたから飲ませてもらおう」
父さんが湖へ移動するので俺も釣られて行くことにした
「んじゃ俺も〜。笑」
「はぁ、仕方ないわね。美優、私たちもお水でも飲んで休憩しましょうか」
母さんもなんだかんだ喉乾いてんじゃん。笑
「うん、分かった。この部屋はなんなんだろうね?」
妹が一人つぶやくが誰も返事を返す雰囲気じゃないので、仕方なく俺が声をかけてやることにした
「んぐ…今は情報が無さ過ぎるんだし、あまり考えても意味はないと思うぞ?あの出口の扉からしてチュートリアル終わりが一番有力なんだろうけどな」
「そうなのか?」
父さんが期待の目で俺を見ながら声をかけてきた
「……多分。ボス部屋とかだと今の俺たちじゃハッキリ言って最悪だけどね…」
今のこんな戦力でボスに勝てるとは思えない俺は冷静にこちらの戦力を分析しつつ答えた
「これからはどうするの?この…ダンジョン?のチュートリアルってゆうのも終わりが見えてきたんだし、上の様子も気になるから一度地上に出てみない?」
そう母さんから提案される
「そうだな。俺も母さんに賛成だな。家が無事なら着替えも欲しいし、シャワー浴びたい」
父さんもどうやら賛成の様だ
「だな、レベルを上げる為にも俺も賛成かな」
本音はシャワーを浴びたいのが一番だけどレベル上げを強調して言っておく…まだまだこれくらいだと不安だよ!
「んじゃ休憩終わったら上に戻ろうぜ!」
光は一刻も早く上に上がりたいようだな…ムフフ…
「あの子が無事かそんなに気になるのか!そうかそうか!頑張れよ若者よ!!」
当然、俺は弟をおちょくる。笑
「ちょっと兄ちゃん!そんなんじゃないからな!!?」
まぁ、こんな感じで喋りながら皆で休憩して何事もなく地下倉庫を抜けて地上に上がり、車庫から出てみると、ブロック塀が崩れてたり家の壁が少し崩れていたりしたが我が家はまだ比較的新しいから無事だったのかもしれない
避難する時は深夜だったから気付かなかったんだよね
というのも玄関に回る序に他の家を見てたら斜め向かいの家が崩れて悲惨なことになっていたのだ
家の鍵を閉めていなかったようで光が我先にと家へ入り、俺も皆と家の中に入った
中の様子は…靴箱は備え付けなので崩れてはない、リビングもテレビが倒れていただけだった
キッチンは食器棚が倒れて向かいのシンクにもたれかかる様になっていた
話し合ってそれぞれが部屋で必要な物をカバンなどに詰めに行き、再度リビングに集まる事になった
俺はパソコンやモバイルバッテリー等のAV機器、マイ枕に着替え、下着くらいなので大した荷物にもならず、キャリーバッグと大きめのカバンだけで済み、リビングに降りたがまだ誰も居らず暇を持て余すのもなんだからキッチンへ行き、割れた食器やコップなんかを踏まない様に、足元に気を付けながら保存食やミネラルウォーターを探してはリビングに出したりしている間にゾロゾロと次第に皆も集まりだしたので手伝ってもらった
それから母さんはガスの元栓などのチェックをしながら風呂のお湯が使えるか試しに行き、すぐに「駄目だったわ」と肩を落としながら戻ってきた
風呂はなしか…あ、簡易トイレは地下倉庫にあるから其方は問題なかったんだがそれでもやっぱり辛いよな〜
皆で協力してそれぞれが集めた荷物を一度、地下倉庫に持って行きあとは布団をバケツリレーの要領で運んだ
地下倉庫に運んだ荷物を整理したが洞窟のせいで狭くなっており、皆が布団を敷いて満足に寝られるだけのスペースがギリギリ足りない事に気付いた
「またいつ地震がおきるか怖いし、避難所は混んでるだろうしねぇ」と母さんがボヤいているが、まったくもってその通りだ
あんなプライバシーも守られない所でゆっくり気を休めるハズがない
だから避難場所にも使えるこの地下倉庫を作ったんだろうしね
てゆーか、これだけの災害なんだから国や自治体から災害支援金とかもらえるんじゃないのだろうか?笑
約2500万円のローンとかチャラにしてもらえないのかな〜とか僅かながら期待して思ったりもしたが、まぁ無理だろうね
さて、ロクなスペースはないのは分かっているけど、俺は両親に声を掛けて地上に上がり他に必要な物がないか1人チェックしに行った
先ずは家の中。二階の全ての部屋を細かい所まで見て回ったが何も無かったので一階へ…包丁類とかまな板、片手鍋、フライパン、カセットコンロをキッチンで見つけ、それぞれを新聞などで包装して袋や箱に入れて玄関に持って行く
次にリビングを見に行ったがウェットティッシュや救急箱くらいしか持ち出せる物は見つからなかった。
とりあえず集めた物を二回に分けて地下倉庫に持って行ってお母様から「そんなに持って来て何処に置くのよ」と至極当然なことを言われたが「ダンジョンの階段を降りた所に置いておけば良いじゃん」って言ったらそれなら良いと言われたので一人ダンジョンの階段を降りた所に置き、また地上に上がった
ちょっとは休めって?俺はこうゆう災害時、何故か動いてないと不安になる性分なんだよ!動けるうちにやれる事はしておきたいって本能が訴えるんだよ!
そんな訳で車庫内や車の中にも使える物はないか探してたら車の予備のバッテリーが見つかり、父さんを呼んで何かに使えないか聞いたが、どうやって繋げるのか何に使えるのかが分からないと言われた
使えないオッサンだな。うん、それが俺の父上だ。笑
うーん。他に何かないかなぁ…
親に声を掛けて今度は近くのコンビニに行ってみることにした
リビングで自分の財布と自転車の鍵を取りいざ近所のコンビニへ!
自転車で約五分の所にあるコンビニに着いたが入り口の自動ドアが割れて粉々になってる
店内も棚が倒れたり商品が散乱していて酷い有様だ…
店内に入り、棚を直しながら入り口の所にあったカゴに乾電池や菓子、バランス栄養食を中心に詰め込み、次にミネラルウォーターを持てるだけ自転車のカゴに直接入れてレジに税込合計価格分のお金をと思ったけど、少し小銭が足りなくてやむ無く多めにお金を置いて家に帰った
車庫に買い物カゴとミネラルウォーターを運び入れていた時、近所の静けさが気になって周辺の家のインターホンを何度か鳴らし回るが誰か居るような人の気配がない
やはり皆は避難所に行ったんだろうなぁ…我が家族達は今後どうするつもりなのだろうか?相談してみようかな
父さんと母さんに買い物カゴを渡しながら話をして、勝手に持って事を少し怒られたが代金をレジに置いて来たのならこんな緊急事態だし仕方ないと、とりあえず貰ってきた物だけは有難く頂戴して、もう勝手な行動はしない様にしようという事になったが食料や飲料問題をどうするのか聞いたら、飲水は手間がかかるけどダンジョンの湖を使う事になった
そこで話を聞いていた光が「それなら荷物全部ダンジョンの湖のある部屋まで運ばない?」と言い出した
両親も妹もあそこなら安全そうだからと渋々了承した為、ダンジョンの中で生活することになったのだが、そうなれば水を掬う桶や割れてなかった食器、洗い物をする為の桶やスポンジ等も必要だし手洗いを済ませる為の穴を掘らないといけなくなるとのことで二つの班に別れて行動する事になった
先ず俺、父さん、光の三人で地下倉庫にあるスコップ等の荷物を運ぶ
母さんと美優の二人が家の中で桶や洗剤等の回収や他に使える物なんかの捜索と花壇に置いてある穴掘りに必要な普段使っている少し古くなったスコップを取りに行く
モンスターを見たくないんだろうな…苦笑
三人でダンジョンに荷物を運ぶのは良いが恐らく
、またモンスターは出てくるだろう
そうなれば当然荷物が邪魔になる事は容易に想像出来る
これも話し合いで父さんと光が荷物を運びながら扉を抑える係になって俺が戦闘する……やっぱりこうなるのかよ…
三回目のダンジョンアタックだが異変は最初の部屋のネズミ退治でおこった
一回目よりも数は多いとは思うが、二回目よりも少なくなってるのだ。その事は一回目も俺と同行した光も気付いた
「人数でモンスターの数が変化するとか訳わかんねぇよ!」
光は怒っているが、人数でモンスターの数が増減するなら俺としては助かるんだけどな…
「確かに辛いがそれが分かっただけでも収穫じゃないか?」
父さんはこの程度の情報で満足してるよ
「そうだなぁ。体力に余裕がある時は五人で行ってレベル上げをした方が良さそうだよな。
母さんと美優はずっとレベル1のままなのは危険な気がするし」
さりげなく母さん達のレベル上げも提案してみるが
「大きいネズミで怖がる二人だぞ?戦えるか?」
父さんが当然の様にこんな事を言う
「それでも二足歩行する人間に近いゴブリンの様なモンスターよりはネズミはマシな気がするけど?」
と俺が言うと光が声をあげてくれた
「あ〜なるほど。確かにその方が良いな!流石兄ちゃんだ!」
「ん、仕方ないな…後で話をしてみよう」
父さんも考えた後に妥協してくれたので少しずつでもモンスターを倒させよう!
湖の部屋に荷物を置き、二回目の荷物を取りに地下倉庫へ行ったら母さんと美優がもう既に必要な物を回収して戻って来ていた
俺たちの考えを父さんに伝えてもらい、嫌がる二人を説得しているが、それでも俺たちに倒してくれと拒絶しながら言う
もう仕方ないかと思い俺が動く事にした
母さんだけを呼び、車庫に上がった所で「パート先の副店長の高橋さんと不倫してるの皆に言おうか?」と言ったらめちゃくちゃ動揺し、渋々だけど了承した
それでも何か態度が気に入らなかったので「俺たちだって気分は悪いし嫌だけど戦ってるんだよ。母さんと美優の今後の安全の為に言ってんだから、それぐらいやってくれよ」と強めに言ってやった
父さんが何か問題起こしたりしたら消費者金融の話もいつかしてやろうと思う。笑
地下倉庫に戻って母さんを説得出来た旨を父さん達に話したら妹の美優も仕方なさげに了承してくれた。美優は好きな人をバラすくらいしか弱みがないのでどうしようかと思ったがこうなってくれて良かったと思う
それから男勢三人が中心になって荷物を運び、母さんと美優には交代でネズミ、ゴブリンを俺たちも手伝いながら狩らせて湖の部屋で休憩させた
これで二人がレベルが2に、光と父さんはレベル4になった
あ、俺は5になって能力が全てF-になったくらいで他は何も変化無しだったよ
残りの荷物は俺たち三人だけで荷物持ち兼扉を抑える係二人、戦う係一人に分けてローテーションしながら4往復し、更にレベルアップもした所で引っ越しも終わった
みんな疲れ果ててしまっているが、それよりも全員が返り血で汚れているので重たい体に鞭打って湖で水を汲み、持って来たボディタオルで皆で体を洗い、バスタオルで拭き洋服も着替えた
あ…タオル干す物がない…また何か持ってこないとな…
母さんと美優が気を利かせてシャンプーやポディソープ等の詰め替えなんかも持って来てくれていたのが非常に有難かった。
そして、なによりも可愛い妹の美優の全裸もバレない様にしっかりチラ見して脳内メモリーに記録しておいたので俺は終始興奮しっぱなしで抑えるのが大変だったぜ!笑
何が大変なのか?そんな野暮なことは聞くなよ
それと、くれぐれも言っておくが俺はシスコンじゃないからな!!
ただ女の子の※を覗き見出来て喜んでるだけだ!
今日はこのまま休む事になり、軽食を摂りながら皆で壁際に並んで布団を敷いて横になった
端から母さん、父さん、俺、美優、光の順だ
明日からは壁の近くに手洗い用とゴミ捨て用の穴を掘らないといけない
肉体労働になるのでしっかり体を休めておかないとな