第十四話 ホームセンターへ行こう!VS上位種
なんてな!……俺はまだ寝れないんだよ!
会田達を始末出来たからか俺はスッキリした気分でコアの置いてある部屋に父さん、詩音ちゃん、玲奈ちゃんを連れてスキップして行った
他のダンジョンから手に入れたコアをどうすれば良いのかは俺も知らないので皆まとめて教えてもらわないとなー!
「コア、戻ったぞー」
って言いながらコードと暗証番号を入力する
《お帰りなさいませ。》
「他のダンジョンのコア持って帰って来たんだけど、どうすれば良い?」
《はい、そちらのコアを私の上に乗せて重ねる様にして下さい。それで私に吸収されていきます》
コアの言う通りにするとスッと吸収されていった
これ、どうなってんだよ。笑
世界ふしぎ発見だ!
《二つ目のダンジョンクリアおめでとうございます。
……吸収が完了致しました。レベル2のダンジョンを攻略されましたので私に経験値が50入ります。これにより私のレベルが3に上がりました。
新しい機能は追加されませんが、他ダンジョンを攻略されましたのでボーナスでダンジョンポイントが2000P入り、ボーナスとして部屋が一つプレゼントさせて頂きます》
「またDP入ったな。他の部屋もいじる?笑」
「これで…えっと、何ポイントだ?」
父さん、ボケたのか?
「確か…あ、メモしてたの康ちゃん持ってたよね?貸して?……あ、13390Pだよ」
「うん、了解!とりあえず端数の一部の40Pはダンジョンの経験値にしよう。っと…よし…あ、レベル4になった……まぁ今はどうでもいいや…それじゃあ部屋を増やそうか」
詩音ちゃんにDPの残高を聞いた俺は画面を見ながらキーボードを操作していく
ダンジョンポイントの使用一覧から拠点を選択し、台所とテーブルセット8人掛け(1000P)と部屋とリビングの間に廊下18m(500P)を出して私室の足りない分を増やそうとしたら詩音ちゃんが「同じ部屋にしよう」と言ってきた…
少しの沈黙の後、父さんからまさかの「まぁ、良いんじゃないのか?」発言により何故か決定されてしまった
今ある六畳の部屋二つは光と玲奈ちゃんの部屋にして、光の部屋の隣に父さんと母さんの部屋、その隣に俺と詩音ちゃんの部屋がそれぞれ十畳(450P)、更に隣に美優とグリードの部屋八畳(400P)、早見おばさんの部屋六畳(350P)を設置して決定した
俺達の部屋を横に並べて、角部屋である光の部屋の向かいにリビング、台所へ続く扉があり、その隣にトイレが二つと脱衣場、風呂が並ぶ形に移動させた
今はまだ分かりやすく簡単にしといても問題はないので、時期がきたら配置を変えれば良いかな
次にダンジョンも少しいじる事にした
オークを配置している部屋にもう一つ廊下20m(600P)を作りボーナスでもらった部屋を扉の無い状態で繋げた
ここまでで9600Pが残っているので、野菜畑の反対側に米畑と小麦畑を通路を挟んで二列ずつ1m四方(100P)を40個(4000P)分作り、それぞれの苗600本(300P)を生成した。あ…コアで生成したら俺たちで植えなくても畑に植えた状態で出てくるんだな。これは楽で良い!
「なぁ、康介。米や小麦の畑を作るのは良いけど、精米とかはどうするんだ?」
父さんのツッコミに俺は「あ…」と言葉を詰まらせてしまった
「ま、まぁすぐに出来るわけじゃないしまたDPを溜めて魔道具を買おうよ?」
詩音ちゃんのフォローで気を持ち直した俺は「ちょいと調べてみる………」呟きながら精米機らしき魔道具を探していく
「あ…!これじゃないの?」
おっ、詩音ちゃんが見つけてくれた
「うん、これだね。って2000Pか…高いな…後に買おう。それと…気付かなかったんだけど、肥料も売ってるみたいだね。これは買っておいた方が良いのかな?」
俺が判断に迷っていると横から父さんが「米はいらないのは知ってるけど、小麦は肥料必要なのか?分からないな…でも、野菜は必要だぞ」って声をかけてきた
「なら野菜の分だけは買っておこう。
ポチッと…これで1000Pか。これくらいにしとく?」
「俺は良いと思うぞ?詩音ちゃんと玲奈ちゃんはどう思う?」
そこまで会話していた所で隣から母さんがやって来て「雑巾とテーブル拭き用のふきんが欲しい」と言ってきたので、それぞれ10枚セット(100P)で計200P使用して買って渡しておいた
それから、詩音ちゃんと玲奈ちゃんからは特にないと言われ今日はここまでとした
隣の部屋に戻ると、台所や風呂、トイレの部分が湖と繋がっているらしくて、あの便利な生活が戻って来たのか!?と俺たちは急いで見に行った
中に入ってキッチンへ確認しに行くとレバーで水が出るようになっていた!素晴らし過ぎる!!
そこで見当たらない光はどうしたのかと母さんに聞くと既に自分の部屋に戻って寝てるらしい。笑
玲奈ちゃんも眠そうなので先に寝させてあげて俺たちもさっさと寝る事にした
みんな寝坊気味で起床し、スッキリしている様子だが俺はほぼ寝れなかったのでまだまだ睡眠が足りない…
詩音ちゃんと同じ部屋の同じ布団でくっついてきてるのにぐっすり寝れるわけがない!隣の少女がいい匂いで朝方までずっと興奮が収まらなかった……
フラフラしそうになりながらもなんとか耐え、普段通りのポーカーフェイスで朝食兼昼食を済ませた
昨日、帰ってから美優が面倒をみていた子ゴブリンには一応、子供用オムツを履かせておいたんだが、おねしょはしていなかった。生物なんだし排泄くらいはするよね?
皆さんフル装備でやる気満々といった表情で装備品を手入れしながら出発に向けた準備を進める
ホームセンターのゴブリンを倒せたら物資が一気に手に入るから、そりゃ気合いも入るってもんだぜ!
地上に上がり、父さんと母さんには我が家の愛車を出してもらって子ゴブリンを後部座席に乗せて移動を開始する。歩く俺たちの後ろに車が超ゆっくりと追従する形だ
平時に何処かでこれを見てる人が居たら確実にネットに晒されてるんだろな。苦笑
…………ホームセンターに近付くにつれてモンスターとの戦闘が徐々に増えてきている。ネズミ、コボルト、ゴブリン……数は少ないけど、全員で短剣や包丁で解体しているのにめんどくさくなり、雑に取り出し母さんに魔導石を預けてモンスターの死体を蹴って道の端に退けながら歩く
一時間程かかって漸く辿り着いた。車を離れた目立ちにくい所に停め、正面入り口まで回った俺たちの周りには現在かなりのモンスターの死体が転がっていた…
相変わらずグロいよなー。こんなの慣れたくもないのに慣れてしまって嬉しくもないよ!
俺たちが倒したもの以外の死体も転がっているのはきっと誰かがやったのだろう。だけど、周囲に戦った人らしき死体は何処にも見当たらないのは食われてしまったからだろうか?
美優が抱っこしていた子ゴブリンを玲奈ちゃんに預かってもらい、辺りを警戒しながらホームセンターに足を踏み入れると、打ち合わせ通りに素早く動いて全員が買い物カゴを片手に持ち、一階で作業着や安全靴やブーツ、長靴、工具などを回収して母さんに渡してアイテムボックスに入れてもらいつつモンスターを片っ端から排除した
停止したエスカレーターを歩いて登り、二階へ行くと特売品コーナーが崩れていたり人の指らしき物や肉片等が所々落ちている……そう、ここがゴブリンと人が戦闘していた場所なのだ
俺と父さんが前に来た時は反対側にある非常階段を上がって回収していたからどちらにもバレていなかったんだよねー
ここからは全員がカートを使ってカゴを二個運び、洗剤や入浴剤類などを中心に回収してタオル、下着、衣類を回ったら、保存食コーナーでカップ麺、菓子などを、文房具コーナーでは、ノートなど筆記用具の他にホワイトボードやマーカー類をまとめて回収した
カートに子ゴブリンと商品を載せれるだけ乗せて隅っこに隠す様にまとめて置いたら俺たちは三階へ向う
静かにエスカレーターを上って影から周りを見渡し、何処かにゴブリンの上位種が居るはずなのでグリードに先頭を任せて警戒しながら慎重に進む
母さんのアイテムボックスに細々とした物を回収してもらいながら奥へ奥へと進むと、微かにだがモンスターの声が聞こえだした…!
皆と顔を合わせ頷くと武器を静かに抜き、徐々に何かが腐敗した様な独特な匂いが漂ってきた。声を出てしまいそうな鼻のきくグリードに小声で声を掛けて我慢してもらう
昨日で2レベル、今日ここに来るまでに1レベル上がっているのである程度、もし敵の数が多くても大丈夫だと思う
少しずつゴブリン達の姿が確認出来る様になってきた時だった!俺たちの後ろから「グキャギャギャ!」と声がし、慌てて振り向くと同時に他の前方に居たゴブリン達にも気付かれてしまった!
下から上がって来たのか反対側に居たのかは分からなかったが、後ろから来たゴブリンは光がいち早く反応して駆け寄り、即座に倒してくれたのだが前方からゴブリンの集団が襲いかかって来ているのが見えている!
グリードは異臭に気をやられていたか、前方に集中してて気付かなかったのかな?
とにかく一瞬気が逸れてしまったが急いで迎撃準備だ!!
父さんを最前線に大盾を構えてもらい、俺と後方か、戻って来た光が父さんの少し斜め後ろに付き、その後ろに詩音ちゃんと美優、グリード、母さんがその更に後ろに玲奈ちゃんと早見おばさんが続く形で構えた
ドドドドッ!と雪崩の様に押し寄せてくる結構な数のゴブリンの先頭集団に父さんがシールドバッシュを放ち、僅かに吹き飛んだゴブリン達へ俺と光が突っ込み、少し遅れて父さん達も続いて前に出てゴブリンを一気に攻撃し倒して行く
詩音ちゃんは火魔法で周りが焼けるといけないので、杖の打撃と水魔法で、グリードもとりあえずは魔法を使わないで戦ってもらう
時折、横の棚から回り込んで来たゴブリンの対処をしながらジリジリ前へ進んでいると、奥から「グギャギャアッ!」と大きな声が聞こえてきた
他の個体の声とは違う…恐らくあの声の持ち主が上位種なんだろう
そう確信したコチラの攻撃は更に激しさを増し、次々とゴブリンの集団を屠り圧倒していく!
ガシャン!
台所棚などが売られている所からそんな音が聞こえたが「俺たちを惑わす罠かもしれないからつられないで!」声を上げて注意を促す
それでもガシャン!ガシャン!と連続して何かが揺れ、倒れる音は止む事はなくずっと鳴り響いている
「最後方に回り込まれたりするかもだから一応、横や後ろからの攻撃にも気を付けて!」声を掛けた時だった
後ろを向いた俺の目に、棚に隠れる様にしゃがんでいる一際大きなゴブリンの姿が確認された!奴だ!!
他の個体といつの間にか代わっていたのだろう。明らかに大きい!そう思った時には俺は詩音ちゃんに「その棚目掛けて火魔法で燃やして!」と指差し声をかけていた
詩音ちゃんが返事とともに魔法を打ち、棚に並べてあった未回収の絨毯に当たり燃え出した!それから連続して玄関マットや絨毯を集中して燃やしていた所で現れたのは、やはりあの時に見たゴブリンの上位種だ!
指揮スキルを発動した俺は前を父さん、母さん、美優、光に任せて玲奈ちゃんを真ん中に置き、俺は最後方に回って早見おばさんと上位種に対して前衛の位置に付いた!
詩音ちゃんとこっちに回ってもらったグリードには隙を突いて魔法で攻撃する様にスキルを使って配置についてもらった
まだ出てきていないがグリードには嗅覚探知、噛み付き、引っ掻きのスキルも持っているので、本格的な接近戦も見せてもらいたいと思う!
さて、上位種を警戒しつつ見てみると運良く火が燃え移ってくれたようで「グキャギャ…!」叫び声?悲鳴?をあげながら床を転げまわって消火を試みている。だがそれを待つ必要もないコチラは、早見おばさんとグリードに横の棚から回り込んでもらって俺は正面から鉄の剣で突き刺し攻撃を敢行した!
正面から俺の突き攻撃と詩音ちゃんの火魔法攻撃でコチラに気を引き付けつつ、横から早見おばさんとグリードによる攻撃が上位種を襲う
火が消えた場所にはもう毛がほぼなくなっており、チリチリになって火傷を負っている。これは痛そうだな!!
だが立ち上がった上位種に対して剣で近距離攻撃を仕掛けるのはリスクが高いかと考えた俺は剣を鞘に戻してボウガンを代わりに出して離れた所から攻撃をする
む?卑怯??勝った者こそが正義だと歴史が語っているじゃないか!
どんな手を使ってでも勝てれば良いんだよ!
どれだけ時間が経過したのか後ろが静かになり、詩音ちゃんに後ろを確認してもらうと、どうやら向こうの戦いは終わったらしい
父さん達もこちらに加わり四方を囲みフルボッコで終了だ!




