第二話
後半は少しうわーってなるかもしれません。
ここは高校の教室 2-1組
俺は自分の席で一人、昼食を取っていた。
「おい拓馬!購買いってパン買ってこいよ。」
「俺カレーパン!」
「私はあんぱん。それとジュースも。オレンジね。」
いつものように不良グループにパシリにされる。
「早く行ってこいよ。」
「わかったよ。」
周りは見て見ぬふりだった。
教室から出ようとした瞬間、教室の床が光りだした。
眩しさのあまり目を閉じる。
目を開けるとそこには王様と兵士達に囲まれていた。
混乱する皆の前で王様が説明を始めた。
どうやらクラスにいた35名は異世界に召喚されたらしい。
そして忌々しい魔王軍を滅ぼしてほしいと言っていた。
皆は怯えていたが俺の勇気ある発言で冷静さを取り戻す。
ここは俺が皆をまとめないとな。
そして順番にステータスを見られていた。
そのステータスのスキルや称号に一喜一憂している。
俺は勇者の称号を手にした。
ステータスも既にカンストした状態、要はチートであった。
遂に来たぜ。俺様の時代が。
今まで馬鹿にしていた俺が勇者であると知って面白くなかったのか不良達が襲い掛かってくる。
が、勝負にすらならず不良達を華麗に返り討ちにした。
俺ってマジ最強。俺強え~!
その後、クラスメートや王国軍を率いて勇者チートだけでなく技術チートやラノベで培った知識を基に百戦錬磨の大活躍をし魔王軍を滅ぼした。
そして俺は広場に石像が建てられたり、熱狂的なファンなど絶大な人気を手に入れ、姫やエルフ、獣人を嫁にし幸せな生涯を送る。
~現実~
「おい拓馬!購買いってパン買ってこいよ。」
「俺カレーパン!」
「私はあんぱん。それとジュースも。オレンジね。」
いつものように不良グループにパシリにされる。
「早く行ってこいよ。」
「わかったよ。」
今に見てろよ。
俺は異世界で無双し、幸せな人生を送るんだ。
俺はそんな妄想を膨らませながら購買に向かう。
薄気味悪いニヤニヤとした笑い顔と共に。
「はい。買ってきました。」
「遅いんだよ。まったくよ。」
黙れ。お前らみたいな不良が世の中を悪くするんだよ。
「おい。何見てんだよ。」
「すみません。」
俺は自分の席に戻り、来るべき時に備えて知識を蓄える。
そのニヤニヤと不気味に緩んだ口元は誰も寄せつけようとはしなかった。