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3:サバイバルの始まり

 目覚めると愁はベッドの上にいる。


「……え?」


 病室だ。大怪我をして入院した、あの病室。

 中年女性の看護師がやってきて、「お食事の時間ですよー」と白い団子を食べさせてくれる。遠慮なくぐいぐい口の中に放り込まれる。


「……(ふへ)?」


 ひどい夢を見ていたような気がする。結構なボリュームの団子をもぐもぐ咀嚼しながら思い出そうとするが、記憶にも思考力にも靄がかかっている。


「……よかった、夢だった」


 とりあえず現実に戻れたことにほっとする。口の中のもちゃもちゃしたものをすべて飲み込むが、まだ腹が減っている。病院食は物足りない、もっと脂っこくて味が濃いものが食べたい。


 今度は担当医の男性がやってきて、「気分はいかがですか?」と絵筆で顔を撫でられる。くすぐったいが、これは治療に必要な行為だと納得している。早く元気になって会社に戻らないと。


「俺、いつ頃地上に帰れますかね?」

「レベル50になったらりすね」

「へ?」


 目覚めると岩壁に囲まれた小部屋にいる。


 鼻面をこしょこしょと柔らかい毛束のようなもので撫でられている。シマリスが尻尾を掴んで左右に振っている。タミコだ。


「おはようりす。あさりすよ」

「……目が覚めたら、悪夢の続きなのね」


 とりあえず手を伸ばしてふわふわの白い腹をこしょる。「ああっ……あさからそんな……ダメぇっ……!」と身悶えるタミコ。


 ここはオツカメトロ地下五十階。タミコの話を信じるなら、東京の地下に広がる迷宮の深部だ。


 通常なら地下世界には昼も夜もないはずだが、壁や天井に生えている照明代わりの光る苔――タミコいわくホタルゴケというらしい――がその光の色で昼夜を表現してくれる。白っぽい光のときは日中、青っぽくなると夜ということらしい。


 もうこれでもかと飽きるほど、それこそカビが生えるほど眠ったはずが、昨日は夜になったら早々に眠気がやってきて、素っ裸でかたい床の上という状況にもかかわらず、そのまま熟睡してしまった。ぼんやりと白い光が部屋を照らしている、朝のようだ。


「……あー……腹減った……」


 昨日あのクソマズな胞子嚢とやらを口にしたきりだ。朝メシよこせと催促するように、腹からきゅるきゅると切ない音がする。


「……喉も渇いた……水飲みてえ……」


 そちらも切実だ。というか、この洞穴で飲み水を確保するのは獣を狩るより難しいかもしれない。


「じゃあ、オアシスにいくりすか?」

「へ?」

「あんぜんにみずがのめるばしょりす」

「マジ?」



    ***



 タミコは耳がいいらしい。「あたいのきんのうりす」ということで、要は聴覚を強化するスキルを持っているようだ。肉眼では見えづらいが、耳の縁にほんの小さなひらひらしたもの(キクラゲ的な?)を生やしている。集音効果を高めているということだろうか。


「ちかくにケモノはいないりすね。チャンスりす」

「よし、行くか」


 蓋代わりの瓦礫をどけて穴をくぐり、隠れ家の外に出る。


「……あー……」


 出入り口から少し離れたところに、無残な姿に成り果てた狼の骸がある。


 昨日あのあと、部屋が腐臭まみれになるのも覚悟で死骸を回収しようとしたのだが、「ほかのケモノがきてるりす」とタミコに止められた。血のにおいで別の獣が呼び寄せられたらしく、今愁たちの前に横たわっているのはそいつらの食い残しだ。


「つーかもう、苗床みたいになってんな」


 にょろっと細長いつくしのようなゼンマイのような、見たこともない植物が生えている。萌芽からたったの一晩、というか光合成は必要ないのだろうか。

「きんししょくぶつりす」

「菌糸植物?」


 キノコなのか植物なのか。見た目は後者のようだが、よくわからない。


「オアシスにもたくさんはえてるりすよ」

「なるほど?」


 そのへんはあとで考察するとして、そろそろ出発しないと。


 丸腰のままのこのこと出歩くのは無警戒すぎるので(丸裸なのはさておき)、武装を試みる。昨日のように「出ろ出ろ」と念じると、てのひらからしゅるしゅると糸が生じ、刀の形をつくっていく。

 白い菌糸の刀だ。再現できてほっとするのと同時に、やはり驚かずにはいられない。


(菌能、かあ)

(青黒カビで傷が治るのと、刀が出るのと)

(とりあえず今使えるのはこの二つ……だけ、だよな?)


「アベシュー?」

「うん、行こっか」


 廃線化した地下鉄のような道は左右に続いている。タミコの話とここで目覚める前の記憶から推察するに、ここは「東都メトロの超常的な氾濫と増殖によってできた迷宮」といったところか。タミコを肩に乗せ、愁はレールに沿って右へ向かう。


 小さなトンネルから小道に入ると、人工的な雰囲気はすぐに失せ、ゴツゴツとした岩肌に囲まれた洞窟的な通路に変わる。道は細く分岐していて、タミコの指示どおりに右へ左へと進んでいく。獣と出くわさないかヒヤヒヤしながら二・三分歩いたところで、急に視界が開ける。


「……ほえー……」


 天井が高く、学校のグラウンドくらいの広さがある。ホタルゴケの量が多いせいか、本物の昼のように明るい。

 小さな虫が飛び交っている。小鳥のさえずりのようなものが聞こえる。地面は柔らかい腐葉土が敷き詰められていて、見渡す限り背の低い草木が生い茂っている。空気が肺にしみるほど新鮮に感じられる。


「確かに、不毛な地下世界のオアシスって感じだな。けど……」


 刀を握りしめ、ドキドキしながら周囲を窺う。そのへんの茂みからいきなり狼が飛び出してきたりしたら確実にチビる。というか小便したくなってきた。


「だいじょぶりすよ。ちかくにケモノはいないりす」

「ほんとに?」

「いるのはネズミとかコウモリとか、クソよわよわのショードーブツだけりす」

「うん? うん」

「あっちにみずがあるりすよ」


 地面や壁際から水が湧き出ている箇所がいくつもあり、幅数メートルほどの池をつくっているところもある。愁は手で水をすくい、においを嗅いでみる。特ににおいはしないし、不純物が混じっていたりもしない。一見して綺麗な水だ。


 おそるおそる口に含んでみる。冷たい感触が喉を通りすぎていく。


「……んめえ……」


 こんなにもうまい水は初めてかもしれない。いや、味自体はたぶんこれまで口にしてきたものとそう変わらないだろうが、身体がそれを切実に欲していたのを実感させられる。腹を壊さないようにほどほどに、と思いつつも二杯、三杯と飲み干してしまう。


「……俺だよなあ、間違いなく……」


 一息ついて、揺れる水面に映る自分の顔に目を向ける。

 そこにあるのは、まぎれもなく阿部愁だ。長い眠りにつく前と同じ自分だ。これで別の人間に転生した説は完全に消滅したわけだ。


 ほっぺたをぺしぺし叩いてみる。二十三年付き合ってきた、特徴のないうっすい塩顔。平たい顔族の代表を名乗れそうなのっぺりフェイス。知り合いの女性陣曰く「眠そう」「無害そう」「多少癒やされる」「なに考えてるかわかりづらい」。目が一重なのがいけないのだろうか。


 記憶の中の自分よりも少し痩せている気がする。社会人になって一年で数キロ増えたが、学生時代の金欠時よりさらに不健康そうに見える。百年も飲まず食わずだったのだから当然というか、むしろ干からびて塵にならなかったことを喜ぶべきか。


 タミコがぴしゃぴしゃと顔や身体に水をかけて洗っている。女の子らしく綺麗好きなようだ。頭の宝石も念入りに磨いている。


「タミコ、その頭の赤い宝石ってなんなの?」

「カーチャンもついてたりす。こういうもんりす」

「そういうもんなのか」

「さわるなクソが! そこはビンカンりす! やめろ、やめ――モットナデナデシテー……」

「チョロすぎだろ」


 無事に渇きから解放されたので、次は飢えのほうだ。なにか食べられるものはないかとあたりを物色してみる。


 草花に詳しいわけでもないが、オアシスにあるのはどれも見たことのない植物ばかりだ。ねじくれていたりマリモみたいにふさふさしていたり、妙にサイズ感がおかしかったり、葉っぱが青だったり黒だったり。雑草をぽきっと一本折ってみると、茎の中でねばっとした糸を引く。これが菌糸植物という呼び名の由来、ということだろうか。


 タミコの助言を受けて、食べても大丈夫そうな野草をいくつか摘む。それから奇怪なフォルムをしたキノコもいくつか。キノコは糖質オフの低カロリー食材だが、なにもないよりはマシか。


「あ! ドングリタンポポりす!」


 タミコがてとてとと黄色い花に駆け寄る。花弁の中心に木の実に似た種がついている、ドングリタンポポとはなるほどのネーミング。それをもぎとってゴリゴリかじる後ろ姿はリス以外の何者でもない。

 ドングリもれっきとした食材だ。茹でてアクを抜けば食べられるし、粉にすれば穀物の代わりになる。とはいえ調理器具も加工する知識もないため、愁もそのままリスに倣う。すなわち丸かじり。


「……にげえ……」


 人間が生で食べたらまずいやつだ、と舌が訴えかけている。砕いた殻と一緒に粉っぽい中身も吐き出す。


 他にもなにかないかとさがして回る。果物でもあれば最高だが……あいにくカロリーを稼げそうなものはここには生っていないようだ。貴重なオアシスだが、至れり尽くせりとばかりに甘くはないか。食糧事情は今後も最優先で考えていかなければ。


「……だけど、ここは宝の山だな」


 水や低カロリー食材以外にも、ここの資源は愁にとって貴重なものばかりだ。


 たとえば枯れ草。イネ科のような茎の細長い植物が自生している。その枯れ草を拾って引っ張ってみる。柔らかいが弾力があり、頑丈なので紐の代わりになりそうだ。たくさん集めれば藁の寝床もつくれるかもしれない。


 それと、さっきから気になっていたが、バナナの木のような葉っぱの大きい植物もある。触ってみると葉は柔らかく、縁もトゲトゲしていない。これならいけそうだ。


 枯れ草の紐を結んで腰に回し、摘んだバナナもどきの葉を垂れ下げてみる。腰蓑の完成だ。


「……いや、完成じゃねえし」


 尻は全開だし、前のほうも隙間からこんにちはしている。むしろルックス的には裸より猥褻感が強い。


 まあ、腰蓑をつくる程度の材料は山ほどある。急いで上着をつくらなければというほど寒くもないし、まずは局部を隠匿して裸族からの卒業、オオツカメトロのアダムになるところから始めたい。


「タミコ、ここってマジで狼とか来ないの?」

「あんまりこないりすね」

「なんで? 水もあるし、エサだってとれそうなのに」


 野生なら獣は水辺に集まるものだ。貴重な水源としてだけでなく、そこにやってくる獲物を狙う意味でも。


「あたいもよくわからんりす。カーチャンはここにあるショクブツのにおいとかが、ニクショクのケモノをとおざけてるっていってたりす」

「獣除け効果のある植物? そんなもんもあるんか」


 肉食というと愁もそうだし、タミコもリスのくせに胞子嚢をむしゃむしゃ喰らっていた。だがこの場に対して忌避感のようなものはない。そのへんの差は知性の有無なり種族の違いなりというところだろうか。


「それに、メトロはそこらじゅうにみずがわいてるから、ここじゃなくてもいいのかもりすね。ここはキレーなみずがあるからあたいはすきりすけど」

「なるほど」


 ここに至るまでの通路にも、水が滲み出ているところや配管のようなものから水が滴っているところがあった。それらがどういう由来の水かはともかく、少なくともこのあたりは(衛生面さえ気にしなければ)水に困らずに済みそうだ。


「なら、思いきってここに引っ越しするとか?」

「うーん、やめといたほうがいいりす。ゼッタイこないわけじゃないし、きたらにげばがないりす」

「確かに」


 水回りの充実した物件は魅力だが、隠れ家のほうがセキュリティーはかたい。命の安全には代えられない。


「さて、あたいはおはなをつみにいくりす。ちょいとしつれい」

「あ、俺もションベンしたくなってきた」


 隠れ家にも用を足せる設備をつくろう。廊下の突き当たりにでも土や草を積み上げたらいけそうな気がする。

 サバイバル生活は始まったばかり、課題は山積みだ。



    ***



 それからは生活基盤の整備に時間を費やすことになる。


 近くに獣がいないことを確認しつつ、隠れ家とオアシスとの往復。野草やキノコ、ドングリなどの備蓄、運び込んだ枯れ草で寝床の作成。

 手頃な石を菌糸刀で削ってナイフをつくったり、よさげな葉っぱをかき集めて腰蓑を完成させたり。そして薪としての枯れ枝を集めて――。


「……火を起こすのってむずいんだなあ……」


 焚き火をやろうとしたが、失敗。こすって摩擦を起こせるようなしっかりした木枝もないし、薪はどうも湿っている。


 というか環境的にジメジメしているので、枯れ草の寝床も衛生的にどれほど長持ちするものか不安だったりする。火を起こせれば乾燥させたりできそうなのに。


 さらにもう一つの課題。やはり精のつく腹に溜まる食材を確保したい。ということで――。


「ふっ!」


 視界の端に捉えた瞬間、愁の身体がはじけるように動き、その手に獲物を掴みとる。捕らえられた灰色のネズミは、キーキーと同情を誘うような声で命乞いしている。


(……なんか今、俺すごくなかった?)


 自分でもびっくりするような敏捷性を発揮してしまった。すばしっこい野生動物をワンチャンスで捕獲してしまった。


(昔の俺じゃあ考えられない運動神経だったな)

(レベルアップの恩恵ってことか?)


 初日のゴーストウルフの胞子嚢で、愁はレベル1から3に上がった。タミコ曰く「レベルが上がれば強くなる」というゲームじみた常識が実現されているようなので、その分だけ身体能力も向上しているということだ。


「さあ、ひとおもいにやるりす! なさけはムヨー! はよはよ!」


 容赦なく齧歯類仲間へのとどめを強要してくるリス公。ごめんな、と口の中で小さくつぶやいてから、愁は石のナイフを滑らせる。

 生肉を食すのはもう少し先の手段として、今回頂戴するのは胞子嚢だ。事切れたネズミの腹を捌き、タミコの手も借りて慎重に開く。


「……ちっちゃ」


 果たしてとり出されたのは、米粒ほどの小さな白い球体だ。体格の差と言えばそれまでなのだが、ピンポン玉サイズはあったゴーストウルフのそれと比較するとちょっと寂しすぎる。


 二つあるのは前回と同じなので、タミコと一つずつ分け合う。どうあがいても一口でいけてしまう。一瞬で口の中で溶けてしまうくせに、しっかり主張してくる生ぐささ。


「……あ、でもちょっと元気出たかも」


 空腹で脱力気味だった身体に熱が生まれるような感覚がある。もちろんまだまだ空きっ腹には変わらないが、多少は活力が出てきた気がする。


「ほうしのうはエーヨーマンテンりす。たべればたべるほどつよくなるりす」

「……胞子嚢って、ネズミだけじゃなくてコウモリとか虫もあるんだよな?」

「もちろんりす」

「もしかして、ゴーストウルフとか強いの狩らなくても、ネズミとか弱いやついっぱい狩れば安全にレベルアップできるんじゃね?」

「むずかしいりすね。あいつらはよわよわのクソザッコだし、ほうしのうもちっちゃいりす。ちょっぴりマシザッコのアベシューでも、レベルアップまでなんまんびきひつようになるか」


 必要以上のディスられ感を覚えたので腹いせにこしょる。「ああっ……あたいがわるかったりすからぁ……!」とあえなく陥落。


「さすがにネズミ何万匹って何年かかんだよって話だよなあ……」


 つまり、つよつよメトロ獣との対決は避けられないようだ。




 隠れ家の整備作業と並行して、出入り口前での待機も日課になる。

 この付近に単独でやってくる弱そうな獣のみを狩る――そのために、いつでも飛び出せる準備をして待機しておく。


「かるならゴーストウルフか、アオゴブリンりすね。どっちもこのフロアのメトロじゅうのなかではザコのほうりす」

「青ゴブリン? え、ゴブリンいんの!?」


 ファンタジー世界の申し子、モンスター界の殿堂入りザコキャラ。ゴブリンが東京に実在する?


「ぜんしんけむくじゃらの、サルっていうシュゾクのやつりす」

「あー、なるほど」


 猿がモンスター化してゴブリンと呼ばれるようになったわけだ。ゴーストウルフといいカーバンクル族といい、メトロの生き物というのは基本的には前の時代から進化? 変異? した存在のようだ。


「ゴブリンはミドリ、アオ、アカがいるりす。このフロアにいるのはアオとアカりす。アオはミドリよりつよいけど、ゴーストウルフとおなじくらいりす。カーチャンいわく、レベル10かちょっとうえくらい?」

「それでもだいぶ格上だなあ……」


 どうせなら緑ゴブリンにお越し願いたかった。ゴーストウルフにしても青にしても、今の愁の三倍以上のレベルだ。まともにぶつかっても勝機はない。


「アカゴブリンはもっとやばいりす。レベル15いじょうで、きんのうをつかうやつがおおいりす」

「マジか(絶対無理やん)。ちなみにどういうの使うの?」

「みんなちがうりすね。きんしぶきだったり、きんしだまだったり」

「菌糸玉?」

「きんしのたまりす。なげるともえたりこおったりするりす」

「燃えたり凍ったり?」

「ほかにもたべるときずがなおったりパワーアップしたりするのもあるりす。きんしだまはユメのカタマリりす」


 イメージが湧かないが、要は刀のような直接武器に対して、魔法のような超常的効果を発揮する菌糸の球体といった感じだろうか。荒唐無稽――と思うのは今さらか。


「タミコはそれ使えないの?」

「あたいはもってないりすね……オトメだから!」


 リスガールの下ネタジョーク。しなをつくったポージングとともにドヤ顔。

 ともあれ、圧倒的レベル差に加えてスキルも持つという赤ゴブリン。要注意どころか絶対に遭遇したくない相手だということはわかった。


「じゃあ……出入り口の外にゴーストウルフか青ゴブリンが単独で出たら、腹くくって勝負って感じだな」

「ほねはひろってやるりす」

「お前も手伝えや」


 そうして、出入り口前での張り込みを続ける。腹が空けばキノコをかじったり、ときおり居眠りするリスを頬袋むぎゅーっとして起こしたり。


 張り込みを始めて三日目、このメトロに目覚めて四日目。ついにそのときが来る。

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