122:勝負あり
目が覚めるとベッドの上にいる。
クレはゆっくりとあたりを見回す。
見慣れない天井、久しぶりの柔らかいマットの感触。カーテンの仕切りと等間隔に並ぶベッド、清潔な白い壁、消毒液のにおい。武道館の医務室で間違いなさそうだ。
「――あ、お目覚めですか。クレさん、ここがどこかわかりますか?」
声をかけてきたのは白衣の中年女性だ。赤十字マークのついた腕章を巻いている。
「……医務室、ですかね」
「はい、意識はしっかりされているみたいですね。気分はいかがですか?」
そう言われて、身体をあちこち触ってみる。
刺され削られ刻まれた無数の傷は、わずかな疼きとミミズ腫れのような傷跡を残してふさがっている。右耳は麻酔がかかったように感覚が鈍く、右腕は肘から先が痺れてうまく動かない。結合した箇所を示すように赤い傷跡が残っている。それ以外は空腹と頭が多少ぼんやりしている程度だ。
「だいじょぶっぽいです。ほら、このとおり」
左腕の上腕二頭筋をむきっと隆起させてみせる。あら、と看護師の女性が目を丸くする。
「お元気そうでよかった。傷に関してはすべて治療済みですし、切断された部分も〝聖癒〟でうまくつながったそうです」
肉体の欠損箇所の再生には〝神癒〟が必要になるが、切断から間もなく断面が綺麗な状態であれば〝聖癒〟でも結合は可能だという。確かに血液も神経も通っているようだ。
「ちょっと動かしづらいみたいですね……先生が言うには『痺れや震えが残っていても数日で元通りになる』ということですよ」
「そうですか……ありがとうございます」
「しばらくここでお休みになってくださいね。そこの籠に一本満足タケがありますから、お腹が減ったらご自由にどうぞ」
遠慮なく一本もらってかじる。狩人向けの栄養補給食で、細長いキノコを薄いチョコレートでコーティングしてある。目をつぶって食べれば甘さのないチョコバナナみたいに思えなくもない。
「……そうか……」
そのちっぽけな食べ物を握りつぶそうとするが、たったそれだけの力すらこもらない。
「……僕は――」
クレは枕に頭をもたれ、目を閉じる。
決着はついた。
戦いの最後の瞬間まで、自分が倒れ伏したそのときまで――クレは鮮明に記憶している。
***
5つのレベル差、その分の身体能力は【剛力】と【瞬応】で埋めている。
――はずなのに。
(かわし)
(きれ)
(ない)
斬り上げをくぐった瞬間には振り下ろしが迫っている。回避が一歩遅れ、頭の横で空を切るような音が通りすぎる。
一歩下がって着地したとき、右側の音が消えていることに気づく。ぼたぼたと肩にこぼれる大量の血――右耳がちょうど地面に落ちるのを目にする。
【不壊刀】に握り替えてから、その剣速は増していく一方だ。
タイミングの修正が追いつかない、学習してもその上を行かれる。
追撃の袈裟斬り、切り上げ、からの右胸を狙った突き。【白鎧】の上から右肩をザリッと削られる。
構わずクレはタックルを狙って一歩目を踏み込み――強引に荷重を後ろに引き戻し、バックステップで距離をとる。
(こっちのカウンターを誘ってた)
(踏み込んでたらまともに膝蹴り食ってたな)
ここへきて体術への――いやクレの技への対応力も研ぎ澄まされてきている。
予備動作も気配もなく迫りくる、正確無比な斬撃。
クレを突き放すよう二手先三手先を読んだかのような連撃。
一分の隙もない、踊るような流麗ささえ感じさせる、完成された剣戟。
利き腕を折られたハンディなどものともしない、それどころかまだその力の底さえ見せていない。
(ここまで強いとは)
センジュにも剣術の使い手はごまんといるし、クレもそういった者たちと幾度となく立ち合ってきた。
それらをまとめて束にしても、この男には到底敵わない。
(ヘタしたらシュウくんやギラン氏よりも――)
クレ自身、イケブクロでの特訓で、レベルも技量も一段アップしたつもりだった。
それでもその手を届かせるどころか、ギリギリで致命傷を回避するのが精いっぱいだ。息は上がり、血は失われ、気力と体力が削られていく。
――と、ヨシツネが動きを止め、眉をひそめる。
「……なんですか?」
それでクレは、自分が笑っていることに気づく。
「ごめんね……君があんまり強いもんだからさ。はっきり言って、ドングリ一個分ほども勝ち目が見えないね」
「ドングリ? ……そう思うなら、いい加減なりふり構わずやってください。でなければもう……これ以上は無駄です」
ふう、とクレは大きく息を吐く。腕をだらりと下げ、前屈みに身構える。
「弱者が強者に挑むこと――それこそがクレ式活殺術の本懐だ」
ぽたぽたと足元に落ちる血。着実に抜け落ちていく生命――その瞬間、それがまばゆく燃え上がる。
【逆境】、発動。
クレの身体がそれまでを上回る速度ではじかれる。視界を置き去りにするほどの超高速で。
地面スレスレを滑るようなタックルが、反応の遅れたヨシツネの振り下ろしをかいくぐる。
その手が足首をとる寸前、ヨシツネが折れた右腕をクレの頭に叩きつけるようにして跳躍。クレは舌打ちしつつ砂を巻き上げて反転し、着地したヨシツネめがけて再び迫る。
突き放そうと振るわれる斬撃。獣のように身を屈め、前後左右に身体をよじって回避する。髪が、皮膚が、血が散っていく。クレはさらに研ぎ澄まされていく。
「――間に合った」
このタイミングだ。
振り下ろしに合わせ、ヨシツネの手首を導く。クレ式活殺術〝空投げ〟。力をこめずに押しただけで彼の身体がぐるんと宙を舞う。
受け身は間に合わず背中から墜落する。ごふっと息を詰まらせるヨシツネ。クレはそのまま上から抑え込みに――と、動きが止まる。
ぼと、と右腕が落ちる。肘から先が。
(見えなかった)
宙返りしながら、受け身もとらずに剣を振るっていたのか。
ヨシツネが寝転がったままクレの足を狙う。クレは脛を浅く斬られながらも間一髪で後ろに跳ぶ。一瞬遅ければ骨ごと断たれていた。
右腕からどぼどぼと容赦なく血がこぼれていく。観客のどよめきや悲鳴が聞こえてくる。行司が怒鳴っている、「まだやれるか!? 降参か!?」。
ヨシツネがゆっくり立ち上がり、刀を構える。
「……もういいでしょう。勝負ありです」
「……かもね」
膝がふらりと揺らぐ。
視界が狭まっている気がする。呼吸が苦しい。
いつの間にか汗も出てこなくなっている。寒い。
【逆境】で跳ね返せるダメージの分水嶺はとうに超えている。灯った火が消えれば、あとには燃え殻しか残らない。
「……だから……」
左腕を前に半身を切り、身を低く沈める。
呼吸を合わせる。ふうっ、ふうっ、と。そして整う。
「――これが最後だ」
「……わかりました」
両者が地面を蹴る。いずれもこの日最速の突進。
ヨシツネの袈裟斬り。その切っ先は正確にクレの右鎖骨へと吸い込まれ――到達する寸前、クレの姿が消える。
身体を横倒しにして、左手を地面についている。
腕一本で逆立ちになりながら、両足でヨシツネの肘を掴む。
「ふっ!」
全身をよじり、ぐるんと回転。その勢いでヨシツネを投げる。
「くぁっ!」
大きくふっとばされたヨシツネが、地面に刀を突き刺して着地。砂を巻き上げて踏ん張り、静止した踵の後ろには土俵の赤い縄がある。
場外一歩手前で踏みとどまったヨシツネが――目を見開く。
下にクレがいる。ヨシツネの腰あたりに身を屈めている。
「――捕まえた」
この瞬間、二人の距離はついにゼロにまで圧縮された。
この距離は刀の間合いではない、クレの間合いだ。
クレはバネ仕掛けのように伸び上がり、腕を伸ばす。
その手がヨシツネの右袖を掴む。ぐいっと斜め下に引っ張り、身体ごとぶつかりながら大外から足を刈り――。
「……ちくしょう」
密着しにかかったクレを押し止めるように、刃が胸に押し当てられている。
刀を振り抜ける間合いではない、ただ当てられているだけだ。普通の刃物であればそれだけでは意味をなさない、ましてやクレは【白鎧】をまとっている。
しかし、今当てられているこれはただの菌糸武器ではない。黒鉄色に鈍く煌めく【不壊刀】。彼の言葉どおりなら、この国で最強の刀。
さく、とその刃が【白鎧】に食い込む。まるでバターのように。
その下の皮膚へ、さらに肉へと到達する。クレはそれを痛みで悟る。
(右腕が残ってれば)
(彼の左手も止められたのにな)
すっ、と手首を返して下ろすだけ、刀身で撫でるだけ。
左肩から右腰へ、斜めに入った【白鎧】の切れ目から、血が噴き出す。
「ありがとうございました」
ヨシツネのセリフと同時に、クレの中で火が消える。
袖を掴んでいた手が放れ、肩から、膝から力が抜ける。
「……ああ、ありが……」
舌がもつれ、言葉にならない。
(――僕の)
言葉にならない。
クレは前のめりに崩れる。
膝をつき、ぽすっとヨシツネの頭にもたれかかる。
力をこめず、敵意も害意もこめず、そっと。優しく抱きすくめるように。
ヨシツネの右足に腕を絡める。そして足を持ち上げ、頭で自重をかけて押す。
あくまでもそっと、さりげなく。
だからこそ虚を突ける。
「え、わっ――」
慌てたヨシツネがその場でどすっと尻餅をつく。その下半身にすがるように絡んだまま、クレはにやりとする。
(勝ち、なのか?)
行司が「勝負ありっ!」とさけぶ。鳴り響くゴング、地鳴りのような歓声。
ヨシツネの手と尻が土俵の縄の外についているのを、かすんだ目で見届けて。
それを最後に、クレの意識は途絶えた。
***
医務室のベッドの上で、二本目の一本満足タケをかじろうと手を伸ばしたところで、クレはふと気づく。
すんすんと鼻を鳴らす。上体を伸ばして周辺を嗅ぎ回り、ベッドの脇にある椅子に目をつける。
「シュウくんのにおいがする……さっきまでここにいたな。においの強さからして、席を立ってまだそんなに経っていないはず」
「アベ・シュウさんですか? そこでクレさんが目を覚ますのを待ってましたよ。第六試合が終わったとかで、入場の準備に向かいましたけど」
肉体操作系統の菌能に【嗅鼻】という嗅覚強化能力があるので、看護師も不思議に思わずに返事をするが、クレはそんなものは習得していない。さらに言えばその自前嗅覚はたった一人の男のにおいに特化している。
「そうか……ふふ、僕の見舞いに来てくれたのか……はっ、もしかして僕の傷もシュウくんの【聖癒】違うシュウくんのタマで……?」
「いえ、普通に教団所属の〝導士〟の先生ですけど」
看護師もようやく不穏なものを感じたのか、口元の引きつりを必死に隠そうとしている。
「ああ、そうですよね……彼、これから試合ですもんね……体力使うわけにはいかないし……」
だが試合が無事に終われば別だ。互いの健闘を労いつつ、「まだ身体が回復しきらなくて」と彼のタマをねだろう。これだけがんばったのだから彼も無下にはしないだろう。そんな風に考えると身体に熱が戻ってくる。主に一部分に。
「ヘンタイりす! ヘンタイがいきてやがるりす! ぴぎー!」
「怪我はだいじょぶですか? 今引くほどキモい顔してましたけど、脳みそまで斬られちゃったんですか?」
「お疲れクレっち。激アツな試合だったねー、イケメン同士のぶつかり合いとかお姉さんには眼福だったよー」
妄想が捗る寸前で医務室になだれ込んでくる顔見知りの女性陣。ノア、ウツキ、タミコは市長の娘の頭に乗っている。
「みんな、どうしたの?」
「どうしたって、お見舞いに来たんだよ。第六試合でイデさんがハッスルしすぎて土俵がめっちゃくちゃになっちゃって、あと十分くらい休憩タイムだから」
イデさんというのはスガモ勢のイデ・ケンゾウのことだろう。大ベテランの〝幻術士〟で、ウツキの言葉どおりなら菌糸玉をばらまいたりでもしたのだろう。
「にしても、全身血まみれで腕ぶった斬られても試合続けるとか、ある意味シュウさんみたいでしたね」
「アベシューあるあるりす」
「観客もちょっと引いてたけど、終わったら大歓声だったね。さっき男の子が『あのマスクほしい』とか親にねだってたし」
クレは苦笑し、ぽりぽりと鼻を掻く。
若干気恥ずかしさというか照れがある。まさか彼女らまで見舞いに来てくれるとは思っていなかったから。
「まあ、試合には勝ったけど僕――」
「じゃあ、あたしらそろそろ行くね。屋台で焼きそば買う時間なくなっちゃうし」
「今日はこのままここに泊まっていったらいいんじゃないですかね? ぶっちゃけキッチンで寝られると朝邪魔なときあるし」
「かつにはかったがギリギリりす! ドングリくってきたえなおせりす!」
ぺちっとほっぺたにドングリをぶつけられる。そのままぞろぞろと医務室を出ていく女性陣。ドングリとトレードのつもりか、一本満足タケをきっちり持っていくタミコ。
姦しい彼女らがいなくなると、医務室はしんと静まり返る。いつの間にか先ほどの看護師も退室している。ここにいるのはクレと――。
「賑やかな人たちでしたね。クレさんのお友だちですか?」
「……まあ、そんなところかな」
一つだけカーテンが閉まっていたベッドがある。そこから出てきたのはヨシツネだ。別の狩人ジャージに着替えている。
「君の腕も治ったみたいだね」
「綺麗な骨折だから楽勝って先生に言われましたよ。腕ひしぎにそんなのあるのかなって正直疑問でしたけど」
ヨシツネはぶんぶんと右腕を回してみせる。シュウが座っていた椅子に腰を下ろす。
「えっと……改めて、参りました。僕の負けです」
ぺこりと頭を下げるヨシツネ。クレは首を振る。
「いや、試合に勝って勝負に負けたってやつさ。あれが普通の決闘なら、僕は今頃生きてはいない」
「そうかもですけど……最後まで勝ちを諦めなかったクレさんの勝ちですよ。あれだけデカい口を叩いといて、僕もまだまだ未熟ですね」
「全然本気も見せずにそう言われると、こっちとしては余計立つ瀬ないけどね」
いったん会話が止まり、静けさが戻ってくる。クレは痺れの残る右肘をさする。
「にしても……ユニークとはいえ、刀一本であそこまで強いとはね……君の菌能はそれ一つだけ、なんだろう?」
ヨシツネは目を大きくして、それから小さくうなずく。
「……はい、僕の菌能は【不壊刀】一つだけです。今後レベルを上げたとしても、別の能力を覚えられるかどうか……しかもこれ、すこぶる燃費悪くて、さっきまでへとへとで動けないくらいで」
確かに強力な菌能だ。レベル57の現時点であの〝超越者〟の【光刃】と同等以上というのだから末恐ろしいほどだ。
だが、強力な能力にはデメリットも生じる。ユニークスキルや融合菌能は他の能力を習得できるはずだった未来を淘汰することになる。いわゆる特化型と呼ばれる道だ。
「だから……ひたすらこれだけを磨いてきました。まだまだ修行中の身ですけど、それでも剣術最強とか噂される程度には」
「ああ、想定以上だったよ。今の僕の練度じゃあ、百回やっても百回負ける程度だ」
「でも……僕にはこれしかないんですよ。だからあなたが……」
拳を握りしめ、うつむくヨシツネ。
クレも薄々は察していた。クレが「組技投げ技以外を使わないこと」に、彼がなぜあれほどまで苛立ちを見せていたのか。
たった一つしか道を与えられず、それを愚直に磨き続けるしかなかったヨシツネ。
あえて限られた道でのみ戦うことを選んだクレ。それがヨシツネの目にはある種の傲慢さとして映ったのだろう。
(とはいえ)
(隣の芝生ってやつな気もするけど)
その道で頂点をとるほどの才能を与えられているのだ、自身を卑下する必要などどこにもない。
「確かに僕には、他にも修めた技がある……けど、それを使わないことが手を抜いてるってわけじゃないんだ。それを使わずに戦い抜くために、僕も自分を磨いてきたつもりだから」
「……はい、わかります」
「だけど……少しだけ、揺らいだのも事実だよ」
「え?」
今度はクレが言葉に詰まる。てのひらを上に向け、何度か握ったり開いたりしてみる。
「ちょっと前までの僕ならさ……信念に殉じることを怖いと思うことはなかった。クレ式活殺術とともに生きて、ともに死ぬ。それでいいと思っていたはずだ。けどほんとは……君の刀を前にして、頭のどこかで恐怖していた。ここで死ぬのは嫌だと思った」
その感情が試合でプラスになったのかマイナスになったのかは、もう少し冷静になってからでないと判断するのが難しい。
「僕の信念の発端は矛盾だらけでね、まあ話すと長いんだけど……ともかく故郷でいろいろあって、僕はずっと一人だった。今までの僕の後ろには誰もいなかった」
武とは弱者のために――その理念から目を背けて、自分のためだけに技を磨き、自分のためだけに生きてきた。
「だけど、今の僕には……大事だと思う人がいる、仲間みたいな人がいる。自分でも意外なんだけど、そういう人がいることを心地いいと思ってる。だから、ちょっと考えちゃうんだよね。彼らが本当に危ないときに、この信念は彼らを救うに足るんだろうかって」
数カ月前の自分なら、こんなことで悩んだりはしなかっただろう。オウジでの出会いが、敗北が、ここまで自分を変えてしまうとは。
「まあ、じっくり悩んでみるよ。次に挑むときに別の僕になってても、恨まないでね?」
「大歓迎です。次は負けませんから」
ヨシツネがふっと笑い、手を差し出してくる。クレはそれを握り返す。
「僕も……次は負けない」
と、部屋の外が騒がしくなる。会場のアナウンスと観客の歓声がかすかに聞こえてくる。
「あ、もうすぐ第七試合が始まりそうですね」
「第八試合が始まるまでに回復しないと。シュウくんの応援に行かなきゃ」
「あの……一つ訊いていいですか?」
「なんだい?」
「間違ってたら申し訳ないんですけど……その、さっき言ってた大事な人って……アベ・シュウさんでs」
「うん」
食い気味でうなずくクレに、ヨシツネはなんとも言えない表情をする。
「出会ってまだ一カ月ちょっとだけど、ずっと彼のしr――背中を見てきた」
「尻って言おうとしましたよね今」
「彼は……ある意味では僕と対極の人だった。どんな逆境でも、どんな強敵を前にしても。自分のために仲間のために泥くさくもがき、力尽きてでも生き足掻く……彼は僕が知る中で最も強くて、最も美しい人さ」
「尻がですか?」




