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この世界が枯れる前に僕は英雄になりたい

当たりは真っ白の白銀の世界。

アルは目を覚まし当たりをふと見渡した。

何度頬を引っ張っても嘘じゃない、本当の事。

だが一つ現実とは思えない出来事が起こった。

目の前には自分と同じ姿の男、その隣には老いた中年の男。

何を話しているのか分からないが会話が終わりアルのもとへ寄ってくる。


「 この世界を元に戻したいか? 」

アルはこくりと頷くとまた気が遠くなりいつしか気を失っていた。


―――そして世界は元の世界へと戻った。


「みんな....無事か...? 」

リームの言葉に周りの兵士は返事をした。

その世界にホムンクルスは勿論無いが他はいつもと変わらず地震もない、噴火もしない、津波もない平和な世界が広がっていた。

そして永久樹木の葉は緑に茂っている。

だがアルはずっと倒れたまま、動く気配がなく

目を覚ましたのはそれからあとの事。


時は進み一年後、アルは目を覚ました。

周囲の人間は喜び涙を流す者もいた。

そんな今日をアルの功績をたたえ

「アルジェネシス 」と名付けられると、名誉勲章授賞式が決行され一日の主役となる。


大勢の人の前に立ち賞状が贈呈され拍手が送られるとアルは緊張からか顔が固くなった。

あの事件から一年が経つが町や村、帝国の復興は早く食糧不足も解消し再び平和な世界が訪れた。


だがまた世界が崩壊するのはそう遠くなかった。

アルは22歳の誕生日を迎えた夜、自宅で酒を飲み酔っていた。

早めの就寝をしようとベットにつき夜空を眺める。

「月が今日も綺麗だ。 」

ふと空を見上げたその時、一人の影がアルを襲う。

抵抗も出来なかったアルはその場で息を引き取ると、始まった 「第2期永久樹木崩壊記録 」。

長かった戦いが終わり平和が訪れたつかの間、永久樹木は一瞬にして枯れた。


そして世界は終わりを告げた。



─END─

読んでいただきありがとうございました。

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