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時遅き到着

約800mに渡る馬車の長蛇の列の真ん中にアルはいた。

永久樹木までの道のりは長く片道1週間程はかかる予想だった為帝国の軍人達は浅い眠りについていた。

寝ては起きて食事をとり仲間と言葉を交わしまた眠る、この繰り返しをしてしばらく経ってから事に変化が起きた。

「シュワッ 」「グァァァァアアア 」「ドゴーン 」

この大きな音は流石に全員目を覚まし、音のした前方を見渡す。

そこには赤い大きな大きな翼を羽ばたかせ口から出る火により焼き散る馬車を蹴散らす竜が3匹。

そう、騎士達が乗っていたあの竜だ。

その場から悲鳴をあげて林に隠れる人や後方に状況を伝え加勢するよう指示する人もいる中でアルとリームも急いで前方へ向かう。

竜は周りに現れた軍人達に爪を立て襲いかかり、

それに必死に抵抗するも力強い攻撃に手も足も出ず負傷者が続出した。

ここでリームが水魔法を放ちそれに追撃を加える軍人達。

少し後ろのめりになった竜を見逃さずすかさずもう追撃を繰り出した。

うまくクリティカルヒットし竜は永久樹木のそびえる方向へ飛んで逃げていった。

なんとか一件落着し脱力感に襲われる軍人達の横で一人の落ち込むアルの姿があった。

アルは自分の無力さに何も言うことが出来ないと言った顔をして周りに申し訳なさそうにしていた。

「大樹に着いたら僕も全力を尽くさなきゃ、足でまといになんてなるもんか 」

強い志を掲げたアルは馬車の中に戻りまた戦いに備え椅子の背もたれに寄りかかる。


そして龍の襲撃から日が経ち、ようやく永久樹木の根元が見えてきた。

だがそこには騎士を生み出す黒い影、霧のような黒ずんだ気体が目の前にいた。

その上には竜が何十匹も飛び回り、龍の背には騎士が何十人も。

まさに永久樹木は敵の巣窟と化していた。


「我々はホムンクルス、貴様ら下等種族からこの大地の略奪を許されし者。汝貴様らに問う。この地を手にし何を得た。この地は貴様らにはあってはならない地、それ故に人間の存在価値は皆無。

これより人間の抹殺を開始する。」


そしてアルはホムンクルスとの戦いが始まった。

だがまだ誰も知らなかった、この戦いに近づく大きな勢力を。

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