全くもって想定外
短いですし、追加の予定は今のところありません。
参ったぜ。
親の野郎が偉そうに、勉強しろとか毎日言いやがってよ。
あーあ、異世界転生とか、本当にあったらなぁ、すぐに承諾してとっととおさらばするんだがよ。
そんなのは無いよなぁ。
◇
あれがフラグになったのか、よろけて転倒しそうになって踏ん張ろうとした足の下に何故かスケボーがあってよ、そのまま後ろ向きに思いっきり倒れてよ、気付いたらこんな何も無い真っ白い空間だ。
『なんとも面白い死に方じゃの』
悪かったな、どうせ間抜けだよ。
『そういうおぬしには特別に、特典を2つくれてやろうの』
うお、転生キター、やったぜ、しかもチート付きってラッキーだぜ。
ええと、リストってこれかよ。
何だこりゃ、ゴミスキルばかりじゃねぇかよ。
生活魔法とか、こんな地味なのはパスとして、他に魔法は……お、これなんかどうだ。
空間魔法ってアイテムボックスとかそんな感じになるよな。
よし、まずはこいつだ。
そして次は……どうすっかな。
カナヅチだから泳げるようになるスキルとか魅力だけど、ここはこいつだろ。
『決まったかの』
「おうっ、空間魔法と薬草選別スキルにしてくれ」
『時間が無いから説明はせぬぞ』
「ああ、いいよ、分かるから」
『うむ、なれば元気での』
「ありがとよ」
◇
さあ、ポーションチートの開始だぜ。
まずは冒険者登録をして、それから薬草の採取の依頼を受けて、お手軽に採取がやれたら後は楽々と。
調薬なんかは作っているところに薬草持参で頼めば教えてくれるだろうしよ。
それは良いんだけど、ここは何処だよ。
街に送ってくれるんじゃ無かったのかよ。
こんな荒地に送られても困るんだがよ。
薬草どころか草1本生えてねぇじゃねぇか。
まあいいや、空間魔法を使えば転移とかもやれるかも知れねぇし。
まずはこれだな。
『アイテムボックス』
あれっ、出ないぞ。
おかしいな、空間魔法だからあるはずなのに。
『ストレージ』
違うか、となると。
『収納空間・発動』
何も起こらないな。
どうなってんだよ、空間魔法じゃないのかよ。
そういや、状態が分かるスキルとか言ってたな。
階級 1
状態 正常
体力 100
魔力 100
スキル 空間(把握)魔法・薬草発見
うえっ? 把握って何だよ。
空間にある物が分かるとか、そういう感じだよな。
空間魔法ってそういう意味かよ。
くそぅ、騙されたぁぁ。
しかも薬草発見ってさ、選別してくれるんじゃないのかよ。
たくさんの中から薬草だけ選別して集まるスキルかと思えば、いちいち発見して採取しないといけないのかよ。
あーあ、参ったなぁ
◇
はぁぁ、腹減ったな。
喉も渇いたし。
こんな荒野の真ん中とか、どうしようもないぞ。
せめて雨でも降れば、それを飲めるのによ。
あれ、雲がちらほらと、見ていると少しずつ増えて、黒い雲になって、これは降るな。
よしよし、降れ降れ。
ああ、恵みの雨だぜ。
けどよ、入れ物が無いと飲めねぇぞ。
それに妙に寒いしよ。
ああ、びしょ濡れだけど、何とか少しずつは飲めるな。
寒いなぁぁ、はぁぁぁ、はぁぁぁ。
うおっ、足元が崩れて……うおおおお、潜るぅぅぅぅ、くそ、こんな罠みたいな、なんとか、これから、抜けて、うっぐっ、はぁはぁはぁ。
あんだよ、泥沼かよ。
あーあ、服から髪から全体ドロドロになっちまったな。
しかも雨が止んだから、流れてくれねぇし。
ここは寒いけど一度裸になって服で身体を拭いてみるか。
おー、寒いなこれは。
うわ、パンツまでドロドロだ。
◇
何とか汚れをザックリと落として、服も絞ってみたけど、どうにも浮浪児って感じだよな。
それにしても寒くて堪らないが、あれは森か。
よしよし、森に行けば、薬草もあるだうし、果物とかも採れるかも。
ふうっ、ふうっ、ふうっ、はぁぁぁ、身体がだるい。
関節も痛いし、こりゃ風邪引いたな。
震えが出ているし、熱っぽいし、とっとと薬草を見つけて食わないとな。
もうすぐなのに、足が前に出ねぇ。
ああ、倒れ……るぅぅ。
こうなりゃ、這って、でも、なん、とか……
眠い、少し、だけ、寝て、から……
◇
『もう死んだのかの。忙しいさなかに送ってやったと言うに、全くもって想定外じゃの』
時系列的に後の人の話とかは、気が向いたら追加するかも知れません。