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万の軌跡と救世主  作者: gagaga
第二部 王都 学園編
88/130

85


 更に開けて翌日以降のロディマスの動きは迅速だった。

 まず父バッカスへ増員の嘆願、そして次にベリス工房と孤児院の様子を見て、拡張されたバンディエゴ村とバンディナエ村への視察も行なった。


「概ね問題はないようだな、アンジャッシュ」


「アンダーソンです。ええ、問題はないですね。でも何だか早くなかったですか?もうちょっとじっくり見ても良かったのでは?」


「いや、次へ行くぞ」


 アンダーソンにそう告げて、ロディマスは馬に跨り街へと戻った。

 そしてその足でドミンゴの工房へと向かった。



「ドミンゴ、いるか!!」


「おるでの。そんな大声出さんでもよかろうの」


「御託はいいから、例のブツを出せ」


「分かっただの。これだの」


 そう言って差し出された鞘に入ったショートソードを受け取り、その場で抜き放つ。

 見た目はごく普通の鉄のショートソードである。

 それを立てて、刀身を確認する。


「ふむ、問題はないな」


「ある訳ないだの。そいつは完成品だの」


「ならいい、では行く」


「早いの!!」


 何やら驚いている様子のドミンゴを無視してロディマスは店を出ようとした。

 そこで慌てたドミンゴが、大声で言った。


「木工のはまだできとりゃせんだの。完成したら届ける言ってたんだの!!」


「む?」


「だから、例のトンファーはまだ未完成だそうだの。出発には間に合わせると言ってたんだの」


「そうか・・・、ならバイバラは後日にしよう。戻るぞ、アンチバリア」


「アンダーソンです。いや坊ちゃん、早すぎません?」


「時間がないのだ。焦る事はないが、最短最速でなければ事を成せんのだ」


「そ、そうなんですか?」


「ほー、キサンはまた何かする気なのかの?」


「そうだ。西の魔物の森で、魔物の大量発生の兆候がある。それを、事前に食い止める」


 そうロディマスが告げれば、アンダーソンとドミンゴは二重の意味で驚いていた。


「魔物の大量発生!?そりゃ大事ですね!!でも、なんでロディマス様が対応するんで?」


「ほう、キサンが胸の内を白状するとは、何かあったんだの?」


「二人同時に質問するな。まずアンルイス、何故俺たちがと言うのは簡単だ。俺には確証があるが、騎士団を動かすに足る物的証拠はないからだ」


「そ、そうなんですね。あと、アンダーソンです」


「それとドミンゴよ。事態が大きすぎて俺の手だけでは到底足りん。正直、猫の手も借りたいのだ。貴様らも協力しろ」


 ロディマスが真剣な表情でそう言えば、アンダーソンとドミンゴは顔を見合わせた後で、破顔した。

 そして力こぶを作ってロディマスにアピールし始めた。


「今度の遠征、俺がリーダーなんですよ!!だから任せて下さい!!」


「キサンに合う防具も作っとるでの。絶対に遠征までに間に合わせてやるでの」


「そうか、精々励め」


「そ、そこは、頼んだぞ、とかにして欲しかったです」


「キサンはもうちょい甘えてもいいと思うんだの」


 張り切った直後に落としてくるロディマスに二人は呆れつつも、笑顔で協力を約束してくれた。

 その事に安堵しつつ、どうしてもっと早くに周囲へ協力をお願いできなかったのかと少しばかり後悔した。


「しかし、過去ばかり振り返っても仕方がない。俺が望むのは、輝かしい未来なのだからな」


 誰に言うでもなく小さく呟き、ロディマスは改めて店を出て、次の目的地へと向かったのだった。



□□□



 あの後、実家の隣にあるベルナント家へと赴いたものの、家人が不在の為に手紙だけを渡したロディマスは、自室へと戻り書類の整理を行なっていた。


「結局、アリシアたちは領地へ戻っていたか」


 アリシアは帰郷前に立ち寄ると思っていただけに肩透かしを食らった気分だと、学園から戻ってきた当初は会いたくないとさえ思っていた事をすっかり忘れて、そんな愚痴を零していた。

 そしてアリシアの母カリンも領地へと戻っており、今後の作戦に支障が出るのではないかと危惧し始めた。


「近くにいた時はあれだけうっとうしかったのに、いざ利用しようとするといないとは」


 ブツブツと独り言を呟きながら、ライルが整理していった書類の確認を行なう。

 その中で一つ、予想外のものをロディマスは見つけた。


「何?勇者考察についての論文を・・・、識者会議に提出しました、だとぉ!?」


 ロディマスは突如立ち上がり、目の前の書類を両手で掲げた。

 それを見て驚いているデブラに見向きもせずに、ロディマスはその文面を何度も読んだ。


「見間違いでは、ない・・・。俺が書いた論文だと?」


 そう言って、一つの心当たりを察して書棚を見た。

 そこにあったファイルの一つを手に取り、開いて中身を確認した。


「俺が書いた勇者考察はこれだが・・・、これはライルに確認するしかないか」


 ロディマスがライルと接触しようと顔を上げた時、丁度デブラが目に付いた。

 デブラはビシっと垂直に立っており、そんな姿で待機していて苦しくないのかとロディマスは少し心配になった。


「おい、デブラ。いいから楽にしろ。そしてこの勇者考察の論文について、ライルに確認を取ってこい。今日はまだ館の中にいるはずだ」


「はい!!畏まりました!!」

 

 そう言うや一瞬でロディマスの部屋から立ち去ったデブラを見て、ロディマスは手に持った論文を机の端に置いて、違う書類を見た。

 ライルからの返事待ちの時間を他の仕事に割り当てて、次々と書類を片づけていく。


「これは、悪くない数字だ。パン工房二号店も順調のようだ。ふむ、・・・、何?魚を使った新作パンだと?しかし茹でるか焼くが基本だからいまいちのようだな」


 揚げる手段が取れたらいいのだが、と、今世では油が意外と手に入らない事を憂慮していた。

 高温で揚げる料理は、水分が飛ぶのでパンに挟む具材としては悪くない。

 だが、現状では店で使えるほど安価で大量の油は出回っていない。


「どうしたものか、む?」


「失礼致します、お坊ちゃま。ライルです」


「そうか、入れ」


「はい」


 簡潔なやり取りの後でライルが部屋に入ってくるのを見ながら、ロディマスの手は既に机の上の論文に伸びていた。


「ライルよ、この書類にある勇者考察の論文とは、これの事か?」


「はい、そうです」


 ロディマスが前置き無しにそう問えば、ライルは即座に頷いていた。

 その事に多少驚き、ロディマスは論文を机に放りだして手を組み口元へと持っていった。

 どこかのアニメの司令官がやっていたポーズであったが、ロディマスが意図したものではなかった。


「まるで俺がそう聞くと分かっていたようだな?」


「はい。勝手だとは思いましたが、お坊ちゃまの今後を思えば必要だと感じましたので、写本を識者会議へと提出させて頂きました」


「ふむ。まぁ一般に触れても問題のない話ばかりだから、構わんのだが、今後は俺を通せ」


「はい。申し訳ございませんでした」


「それが分かればいい。話は以上だ」


「はい、それでは失礼致します」


 そう言って即座に立ち去るライルを見送り、ロディマスはまた書類作業に戻り、手短にあった紙へと手を伸ばした。

 それを不思議そうに見つめていたデブラが、ポツリと呟いていた。


「なんだか、ミーシャちゃんから聞いていたのと違います」


 直後、書類をめくっていたロディマスの腕が止まった。

 ロディマスにしては珍しく、恐る恐ると言った感じでデブラを見つめた。

 するとデブラはそんなロディマスの視線に気付いたのか、両手で口元を押さえていた。


「おい、貴様。ミーシャから何を聞いている?そもそも、貴様とミーシャの関係はなんだ?」


 言っておいてロディマスは、アボート家の同じ従者同士なので交流くらいはあるかと気が付いた。

 そして今の質問を撤回しようとした所で、デブラから思いもよらない返答があった。


「ミーシャちゃんとは同室なので、その、ロディマス様のお話を毎晩していました」


「なんだと・・・?詳しく話せ」


「は、はい!!でもミーシャちゃんは大体ロディマス様はすごいとしか言わないので、その・・・」


「俺がすごいのは当然だ。だが、それはそれとして今貴様が口にしたのは、それとは違う内容だったな?」


「はい!!それが、その、ミーシャちゃんはロディマス様の事を優しいって言っていまして」


 優しい。


 そのフレーズを聞いてロディマスは顔が強張るのを感じたが、右手で無理やり己の頬を叩いて矯正した。


「え!?大丈夫ですかロディマス様!!」


「構うな。少し虫がいただけだ」


 腹の虫と言う厄介な虫だ、と言う言葉を飲み込んだ。

 そして頬が引きつっているのを感じながらも、辛うじてデブラが怯えない程度の笑みを浮かべれただろうとロディマスは思いながら話の続きを促した。


「それで、他には何だ?」


「えーと、うーん。あ、ミーシャちゃん、将来が不安だって常に言ってますね。あ、あれ?これってナイショなんでしたっけ」


「それは知らん。が、そうか」


 ミーシャの不安は、ロディマスにとっても懸念であったためにデブラに問いただすこともなく、大した情報を得られなかったと落胆した。そして、現状では何一つ打開策など浮かばず、今まで通り保留にする事にした。

 しかし、これが原因で暴走しているのかと他者の口から聞かされると、改めて己の不甲斐なさに為雨域が漏れた。


 口恋しくなったロディマスは茶を一口飲み、窓の外を見た。


 急ぎはする。だが、焦ってはいけない。


 何度も己に言い聞かせ、冷静に対処する為にこのような間を設けることにしたロディマスは、とにかく無理に動かずに、目の前の出来ることを一つずつ片づけるようにした。

 初志貫徹する為に、生き残る方策を次々と考えていく必要があり、他事は優先度を落とすべきだと改めて感じた。

 救える者に限りのあるロディマスの才能の低さを悔しく思いつつも、ロディマスは更に「救わない相手」を冷静に選ばなければならない。


「だが、まだ足りん」


 悔し気にそう呟いた声に反応したデブラを無視して、ロディマスはしばし黄昏たのだった。



□□□



 エルモンド領フーリェへ向かう当日となった今、ロディマスはバイバラに呼び出されていた。


「おい、俺は今日出発するのだぞ。一体何のようだ」


「すまいないっす。でもこれを受け取って欲しかったっすよ」


「ほう?これはトンファーか。いや、なんだこれは!?」


 店の入ってすぐは不機嫌だったロディマスも、テーブルに置かれていたトンファーを見て機嫌が良くなった。

 それに安堵した風のバイバラは左右がそれぞれ素材の違うトンファーを差し出していた。


 右手用のトンファーは、黒くテカリを帯びており、金属光沢のような光を反射していた。


「これは、ただの金属ではないな。む、この手触りは、黒トゥレントか?」


「そうっす。黒トゥレントとアポイタカラの融合金属っす。それを要所にまとまわせて、強度と魔法伝達力を上げているっす」


「そうなのか。しかしこれは、柔らかくて重いのではなかったのか?」


「そうっすね。ただ、使う部位に気を使っているっす。殴った際に衝撃を的確に与えつつ、返ってくる衝撃を緩和する為に敢えて打撃点にのみ使っているっす」


 そう言われ、ロディマスは前世のボクサーが何故グローブを付けるのかと言う話を思い出した。


「そうか。トンファーの芯を保護する為に、柔らかい部分を付けたのか」


「衝撃を与えるだけなら堅い必要はないっすからね。これで思い切り殴っても折れることは早々ないっす」


「重さも、ふむ。それほどではないな。十分に振り回せる重さだ」


 そう感想を漏らし、右手用のトンファーをテーブルに置いてから、次に左手用のトンファーを見た。


 こちらは明らかに木材だが、色が白くファルカタやバルサに似た雰囲気がある。

 ただし両者ともやや柔らかく、軽いもののロディマスの求める「堅さ」がないように思われた。

 しかし、それを分かった上でバイバラがこのタイミングで提供してくるとは思えず、ロディマスはそのトンファーを手に取った。


「何!?これは・・・!?」


 見た目に反して先ほどの右手用のトンファーとほぼ同重量に、手に持った時点で堅さが分かるほどの手触りだった。

 何度も触り、折れないか両手で曲げようとして、ビクともしない事に驚いた。


 そしてそれを見たバイバラは、真面目な顔でこう告げた。


「それは現状で最高の素材っす。はっきり言えば、おいそれと入手できるようなものではないっすよ。なんせそれは、僕が使っていた杖を解体して作ったものっすからね」


「なんだと!?」


 魔法使いにとって、長年愛用した杖は宝石よりも価値が高い。

 それはその魔法使いの魔力が宿り、魔力の効率化や威力の上昇、範囲の拡大にと様々な恩恵を与えるからである。


 ただしその効果は、原形を留めている場合に限る。

 バラしてしまえば、内部に蓄積された魔力は拡散し、初期化されてしまうのである。


「そんな大事な物を、何故だ!!」


「それは、僕からお願いがあるからっす」


 そう言ってバイバラは、イヤリングに手をやった。

 何をするのかとロディマスが見つめていると、そのイヤリングを指ではじいた直後、バイバラの容姿が変わった。


 緑色の髪に、蒼い瞳。

 長い耳と、端正な顔立ち。


 普段のボサボサ茶頭に野暮ったい顔はどこへ行ったのか。

 それは、いつか見た事のある、あるいはまったく見た事ない種族、エルフだった。



「見ての通り、僕はエルフっす」


「貴様・・・」


「あんまり動揺していないっすね。さすがっすよ。やっぱり最初からばれていたっすね」


 ただ単に驚きすぎて固まっただけのロディマスの様子を、何やら勘違いしているバイバラは語り出した。


「お察しの通り、僕はあの西の森出身っす。あそこから飛び出て、色々な街をさ迷い、ここに来たっす。最初は姿を(あざむ)く魔法を覚えて浮かれていたっすね。ただ、木工の腕だけでは食っていけず、時には傭兵まがいの事もしたっすよ。それでどんどんと森から離れて行って、それでも里を忘れられなかったっす」


 友から選別にもらったと以前に聞いたイヤリングを弄りながら話すバイバラに、ロディマスは混乱中の頭でとにかく何か言わねばと思い、言葉を無理やりに捻り出した。


「そんな事を、俺に聞かせてどうする?」


「この先が、僕が欲しい報酬っす」


 そう言って、不遜な態度が常だったバイバラらしからぬ見事なお辞儀に、ロディマスは面食らった。

 状況にまったく付いていけない中、なんとかロディマスは拳を握りしめつつ疑問を口にした。


「いきなり頭を下げて、どういうつもりだ?」


 ピクリ、と体を震わせたバイバラが、苦し気に呻き、訴えかけてきた。


「図々しいのも、今更なのも分かってるっす。でも、どうか、僕の仲間たちを助けて欲しいっす!!それが、僕が望む報酬っす!!」


「土下座・・・、貴様、そこまで」


 あのプライドが高いバイバラが、最後には土下座までして見せたのである。

 もはやあり得ないこの状況に、ロディマスが取れた行動は少なかった。


 初めてバイバラと出会った時に適当な事を言っていたのが、今、返ってきた。

 別に自分はバイバラの正体なんて気が付いていなかったと声を大にして言いたかった。

 しかし、それをしたところで何が変わる訳でもなかった。


 ならばもう、いっそ、開き直るのみ。


 ロディマスはそう吹っ切り、罪悪感を遥か彼方へと押しやって、バイバラに鷹揚に頷いて見せた。


「そもそも俺は連中を抱き込むつもりだ。貴様がそれに協力すると言うのならば、それは俺にとって都合がいいだけだ。それでも、いいのだな?」


「みんなを助けてくれるっすか!?」


「さぁな?俺は連中を利用するだけだ。ヤツらに利用価値がなければ拾わない。それだけだ」


「それでも坊ちゃんなら何とかしてくれるっす!!ありがたいっす!!」


「話を聞かんヤツめ。だが、それならば貴様はどう協力する?」


「え?」


「トンファーの件は俺が生き延びる為に必要なもので、そのエルフ共を抱き込むのに必要なものではないのだろう?」


 ロディマスが西の魔物の森で彼らエルフと接触するにあたっての、最大の難関。

 それは、彼らに対してコネクションがないと言う点であった。


「今まで異種族との接触を可能な限り避けてきた連中であれば、いきなり「助けに来た」と言っても、信用はすまい?」


「そうっすね」


「ならば、そうだな。貴様は連中に手紙を出すか、何か連絡手段はないのか?」


「向こうから来るのはあるっすが、こっちからは送れないっす」


「そうなると、最悪は実力行使で屈服させるか・・・」


 今回に関しては他の何よりも速さが要求されるので、力押しも辞さない構えのロディマスに、バイバラは慌ててこう提案してきた。


「僕には特有のマークがあるっすよ!!それをトンファーに掘るっすから、里に着いたらそれを見せて欲しいっす!!」


「何?しかしそれは貴様を知る者たちにしか通用せんのだろう?」


「大丈夫っす。エルフ特有のマークと、僕個人のマークの二重構造になってるっす!!それを見せれば大丈夫っす!!」


「市場には出回っていないだろうな?」


「勿論っす。里に残してきた数点以外だと、今回が里を出て初っす」


「ならそれを見せれば、最低でも交渉のテーブルには付けるのだな?」


「その通りっす。さすが頭いいっすね。残念ながら友好を確約できるほどじゃないっすが、門前払いは避けられるっすよ」


 そう言って、作業を開始したバイバラを見ながらロディマスは今後の予定が前倒しに出来そうだと、計画を練り直した。


 今まで、どうやってエルフに接触して、どう交渉するか、どう利益を生み出すか悩み続けていたのである。

 それが、バイバラの提案により一気に条件が緩和されたと感じて、ロディマスは思わずほくそ笑んだ。


「入りさえすれば、特産品など売れるものは山ほどあるだろう。幸いにも、移住先にも心当たりはある」


「本当っすか!!」


「ああ、ベルナント領のモンタナ男爵から前向きな返答をもらっている。上手くいけばあちらも森の管理の人手を増やせ、俺も奴らを利用できる。どうせ今までも獣人が多くいたのだ。そこにエルフが多少混じっても何の問題もなかろう」


「すごいっす!!それと、出来たっす!!」


「ふむ、これか。ぱっと見では分からんな」


「エルフは基本的に手で触って確認するっすよ。だから消えない程度にしか掘らないし、定期的にメンテナンスして掘り直すっすよ」


「それはまた、非効率的だな」


「長く愛用する品だからこそ、っすよ」


「そうか。しかし、いい時間だ。俺はもう行く」


 そう告げて、受け取ったトンファーを両腰に差すと、いつの間にか変身して人間の姿となったバイバラが再度、頭を下げていた。


「仲間の事、お願いするっす」


 自身がエルフである事を告白し、長年愛用してきた杖も手放してロディマスに尽くし、願いを訴えかけてきたバイバラ。

 その願いに応えないのは、ロディマスの流儀に反した。


 振り向き、片手を挙げてロディマスは宣言した。


「俺に任せておけ」


 決まった、と思ったロディマスはそのまま店を後にした。




 そして出発直前になって駆け込んできたバイバラに新規で作った木鎧を届けられ、気まずい思いをしたのだった。




ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

前話と今話でやっとタグの「逆行転生」について明確に触れられほっとしています。(^^;A

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