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万の軌跡と救世主  作者: gagaga
第一部 実家編
29/130

26


 ロディマスが村人を見事に懐柔してから半月後。


 ロディマスは改めて工場を訪れていた。

 今回は主に三点に重点を置いての視察である。

 最初に、村人たちと元々いた従業員の関係を確認する事。

 そして、工場の例の装置の具合を確認する事。

 最後に、エリスたちが勤めることになるパン工房の下見であった。



□□□


「調子はどうだ?」


「む?おお、ロディマス殿ではないか!!」


 そう言ってガハハと豪快に笑い、長い足で一気に近寄ってきて気さくに挨拶をしたのは、例のマッチョメンズの代表であるパックであった。

 パック、その可愛らしい名前とは裏腹に筋骨隆々の肉体を持つその男は、しかし今世のロディマスから見れば違和感しか存在しない謎の物体であった。

 不必要な筋肉を纏った、ただ見せるだけの観賞用の肉体を持つ何かである、と。

 とても実戦に向くとは思えない贅肉とは違う意味で無駄の多いその身体に呆れつつ、ロディマスはパックに尋ねた。


「貴様、また膨らんだか?」


「え?いえ?そんな事は・・・」


「目を逸らすな。確かにあの設備の利用は許可をした。会員証も発行した。しかし、仕事をサボるようでは・・・撤収させるしか」


「そ、そんな!!それだけは!!それだけはご勘弁を!!!」


 そう言って泣いて縋るパックの顔面に手の平を当てて、【コールドブロウ】と呟いた。

 するとロディマスの手の平から、なんとも心地よい涼しい風が吹いた。

 それは男の火照った顔を冷やし、頭を冷静にさせていく。


「アヒッ!!冷た気持ちいい・・・。ロディマス殿、失礼をした」


「う、うむ。貴様は、肉体訓練を行なっているのがすぐ分かるな」


「お恥ずかしい次第で」


 思わず二重人格を疑ってしまうほどの男の変貌に、相変わらず読めない男だとロディマスは睨み付けた。



□□□



 肉体訓練。

 それはベルトを発案された時にロディマスが思い付いた、とある装置を利用しての訓練である。


 その装置、あるいは機器の数々は、前世ロディマスの、恐らく最後の記憶であろうジムの記憶に基づいて作られたものである。

 ロディマスが、ゴム的なものやベルト的なものがあれば、筋トレ用の機器がある程度は再現が可能なのではないかと思ったのが事の発端である。


 ジムの記憶が前世最後の記憶であれば、なんとかそれを再現出来ないものかとロディマスは思案した。

 しかし専門分野については良い案など全く浮かばない実績を持つロディマスは、その自覚もある為に迷いなく人を頼ることにした。

 新型の歯車装置を思ったよりも早く、いや、早すぎて新しい石臼が到着する前に完成させてしまい、結果として石臼が到着し最終調整をするまで待機中の、無駄に力を入れすぎて暇を持て余していたバイバラとドミンゴに相談をしたのである。


 ダメ元ではあったが、しかしそういった装置の細部をロディマスから聞き、それらの機構に心当たりのあったバイバラによってその場で試作がなされ、装置のある程度の再現が可能と判明したのである。

 そしてこの国トップクラスの職人たちは、暇つぶしの為にその検討を重ね、ついに腹筋用のアブドミナルマシン、背筋用のラットプルダウンマシン、そして有名な胸筋用のバタフライマシンなど、様々な機器を次々と開発していった。

 ただしそれは前世の機械的なジムとは程遠い、手作り木製の装置の数々ではあるが、これはこれで味があるとロディマスは考え眺めていた所、今度は何故か頼んでもいないのにドミンゴがそれに対抗して金属製のジム装置を作っていた。


 原理的にはバリスタやボウガンの応用だと語ったバイバラに、どこでそんな知識を得たのか聞くのは野暮かと、ロディマスは珍しく己の疑問を口にする事がなかった。

 その為に、バイバラは己を必要以上に勘繰らないロディマスに悪くない感情を抱き、珍しく乗り気となって作業に当たったのである。

 それと同時に金属を扱えるドミンゴが乗り気ならと、今度はダンベルやバーベルなどの細かな器具の作成もしたのだが、ドミンゴは鉄で作られた魔法使い用と、余っているからと言って持ち出してきたアポイタカラと言う謎の金属を用いて剣士用の器具を作成していたのが想定外ではあった。


 しかしアポイタカラは、見た目は普通の鉄と同じ銀色なのでロディマスは特に深くは考えず、職人たちに全て任せることにした。

 アポイタカラはヒヒイロカネの対となる金属で、丈夫で軽くて魔法抵抗の強い高級金属ヒヒイロカネとは異なり、丈夫で重くて魔法抵抗が少ないと、一見すると良い所のない金属であった。

 これが後に、ロディマスが必要とする金属となるのは、かなり先の話であった。



 職人たちに好きにさせた。

 その結果は考えるまでも無く、自重をしなかった彼らの作品で場所は溢れ、工場は更なる拡張を余儀なくされた。

 その為に新工場開始に余計に時間がかかったのは、彼らに伝える必要は無いとロディマスは言いたいのを我慢して、口をつぐんだ。

 好きにさせたのは自分であり、責任は自分にあると考えたからでもある。つまり、自業自得であった。


 それに、彼らは希少な素材を無償で余す事無く使っていた。

 その好意とも呼べる実験の末の成果なので、味方の少ないロディマスは肩を竦めるに留め、そして費用を全額負担すると約束し、職人たちに好きにさせた自分が悪かったと反省した。費用については結局当初の予定よりも掛からなかったので、この程度ならと思えたのも理由だろう。

 しかし、この行動がまさかの大正解で、ロディマスの思惑を遥かに超えた埒外の成果を上げるのは、この話から三日後、何故かパン工房よりも先に仕上がった訓練施設、ロディマス命名『ジム』が稼動したその日の話であった。



□□□


 いざジムを開設した所、それに興味を示したのは、やはり先人たるマッチョメンズであった。

 これは何か、何事かと最初は騒ぎ立てていた彼らだが、ロディマスが木製の装置で訓練をする様を見て、そして自分たちの為にあつらえたかと思われる金属製の装置を見て、俄然興味が沸いたようであった。

 そして見よう見まねで訓練を行ない、筋肉が喜んでいるぞ、筋肉が嬉しそうだ、等とちょっとロディマスの耳を疑うような内容の話し声が聞こえたかと思ったら、いつの間にかロディマスの目の前で跪くマッチョメンズの列が出来上がっていた。


 これは想定外すぎると、ロディマスはもはや心の中で涙目であった。

 あれほどまでに苦慮した彼らの制御が、こうも簡単に行なえるようになった事に、そして目の前の気持ち悪い光景に、いつも通り神を呪った。



□□□



「貴様ら、いくら会員制にして金を取っているからと言っても、好き勝手にされてはたまらん。仕事はしろ。そうでなければこの工場そのものが潰れるのだ。そうなればこのジムも解体だ。その自覚を持て」


「「「「分かっております、ロディマス殿!!」」」」


 そう言って各々がビルドアップした己の肉体を、上半身裸で見せつけてくるこの悪夢にうんざりとした。


「・・・。分かっているなら・・・、それでいい」


「「「「はっ!!」」」」


 揃って返事をする彼らの忠誠は、疑いようもなかった。


 彼らは、自重トレーニングに限界を感じていたのだろう。

 そんな折に、己の限界に近い負荷を安全に、そして確実に思い描く場所の筋肉にかけられるその機器の数々を、彼らは褒め称え、そんなものを寄越してくれたロディマスを崇めた。

 そして彼らは、ロディマスの懸念などまるで何かの間違いであったかのように、新しく来た従業員である村人に対しても好意的に接していたのだった。

 自らが満たされると、他者に対して寛容になれる。その実例であった。


 彼らは理解不能な存在などと思う事は、もうなかった。

 彼らは己の肉体を、ただただ筋肉を愛する変態だっただけなのである。

 ロディマスは態度が一変した彼らの様子を見て、ジムにも人を入れて見張らせる必要があるなと、新たな人員問題の発生に頭を悩ませることになった。


「金なら入ってくるのだが、な」


 金属製ジムの会員証は銀貨1枚と有料で、しかも1度の利用で銅貨50枚、彼らの半日の給与と同額を徴収している。整備に費用がかかるためで、それらは大半がロディマスの懐には入っていない。これから利用者が増えれば増収もありえるが、基本的にここには彼らマッチョメンズな従業員しかこないので意味が無かった。


 そうロディマスが思っていたのは初日だけで、朝と晩、彼らは日に二度も利用している為に、彼らは実質的に無一文で働いている事となった。その、予想外と言う言葉ですら生ぬるいほどの現実に、ロディマスは言葉を失った。


「一体どこまでの変態なのだ」


 ロディマスは辛うじてそう搾り出すように呻き、整備と掃除を担当しているドミンゴの弟子たちにその場を任せて去ったのであった。


 そのドミンゴの弟子たちを正式に従業員として雇えばいいと、後にドミンゴにそう提案されて初めて気が付くダメなロディマスは、結局いつも通りであった。

 前世でうだつの上がらないサラリーマンだった頃の名残は、はた迷惑にも、今もロディマスの中に息づいていた。



□□□



「いつ見ても、複雑な装置だ」


「そう言ってもらえると、やった甲斐もあるっすよ」


「何を言うか木材の。キサン、ほとんど何もしとりゃせんだろうにの」


 ロディマスが例の歯車装置をそう褒めれば、バイバラが増長し、ドミンゴが真実を暴露した。

 そしてそのドミンゴの発言に、一同が思わずバイバラを見れば、バイバラは肩を竦めていた。


「頼まれていた通り、強度が高くて腐食や虫やられに強い木材を大量に、っすよ。それなのに何もしていないとは、世知辛い世の中っすね」


 そう言って、やれやれと首を横に振るバイバラに、確かに裏方は重要だが、とやる気の無かったバイバラが頑張ったことを認めようとした時、やはりドミンゴが本当の事を語った。


「それも全部バッカス殿が用意したんだの。キサンはただ、古くなっていた木材をより分けていただけだの。人の手柄を取るのは、よくないだの」


「・・・、おい」


「ありゃ、おかしいっすね、てへ」


 なら貴様は一体何をしたんだと言い掛けて、辞めた。

 何故ならば、言い訳するかのように、そっと一つの武具がバイバラの背後から現れて、ロディマスに差し出されていたからだ。


「トンファーMk(マーク)(セブン)。いやぁ、いい材料が手に入ったんで、これを作ってたっすよ。これ、どうっすかねぇ?」


「む、これは・・・」


 そう呟きバイバラから差し出されたトンファーを、ロディマスは手に取り眺めた。

 完全にバイバラにごまかされているロディマスは、己が思っている以上に人が良かったようで、今は目の前の武具に集中しており、バイバラを追求する事を完全に忘れていた。



 新型のトンファーは、使われている材料の硬さは以前のトゥレントの枝よりも上であるが、相変わらず木材の領域を出ていない。だが、見た目よりもわずかに重い。

 それは要所に金属で補強がされており、その為だとロディマスは推察した。

 だがしかし、それよりも何よりロディマスが気になったのは、ほんのわずかに違う己の設計図との差異。


「これは、長柄部分の端が膨らんでいるのか」


「そう、そうっすよ!!ハンマーを参考に作ってみたっすよ!!」


「ハンマー、なるほどそうか。そうか」


 その発想は無かったと、棍棒、つまりトンファーを棒として打ちつけるしか頭に無かったロディマスは、バイバラの発想力に感心した。


「そいつは遠心力で振り回すモンなんじゃろ?そんならば、職人なら誰でも思いつくがのぅ」


 そして、自らのハンマーを手にしているドミンゴの呟きで台無しになった。

 しかしバイバラはそれにもめげずに、ロディマスに対してプレゼンを行なった。


「が、外見だけじゃなく、中身もちょーっと違うっす。なんと、中に鉄心が入っているっす」


「それでこの重量か。貴様、やってくれたな」


「それほどでも、ないっすよー」



「え?今の、ロディ君褒めてたの?」


「ロデ坊ちゃんの事だから、褒めるの半分、呆れ半分じゃないかねぇ」


「あれでも褒めたつもりでいらっしゃるかと思います。ああ見えて、働きには応える方でありますから。ああ見えて」


「ああ見えてを二度言った!?ミーシャは意外と毒舌だったんだなぁ」


 純粋なエリスが素朴な疑問を口にして、ロディマス寄りのベリスが答えた。

 それに対して辛らつなコメントを口にしたエリスを、アンダーソンが突っ込んだ。


「貴様ら、好き勝手言いよって」


 女三人の中に平然と入り込んでいるリア充くさいアンダーソンを睨みつつそんな事をぼやいたロディマスだが、しかし興味がすぐにトンファーへと向かっていき、それ以上を追及する事もなかった。

 男のロマンに敏感で、意外とチョロい男。それが今のロディマスであった。



「えー、ロディ君が無視するよー」


「ふむ。しかし魔力の通りは、いや、表面さえ確保していれば問題はないのか。それにこれは、鉄にミスリルを混ぜているのか。なんと贅沢な」


「おお、さすがお坊ちゃんは分かってるっすね」


「それもウチで作った部品じゃがの」


「さっきからドミンゴさん、うっさいっすよぉ」


「そうかの、やれやれじゃの。しかし坊主、装置の方はいいのかの?」


「ハッ!?そうであった」


 ドミンゴの一言で我に返ったロディマスが、改めて歯車装置を見上げる。

 バイバラとドミンゴの合作であるこの装置を、今日は確認しに来たのだったと、当初の予定を完全に忘却していたロディマスは、急ぎ確認する事にした。

 決してトンファーの詳細な確認がしたかったが為では、そんなにはなかった。



 その装置は木製のパーツに要所で金属の補強がなされているもので、庶民の家一件分くらいはあるほどの大きさであった。

 最初に目に付くのは、三本の支柱。

 人が押して回る用の動力部的な部分の柱。その上部には円盤状に加工された板が見える。

 そしてそれを次の場所へと伝える仲介用の柱、その上部にもある円盤状の板。

 その両者の円盤状の板はベルトで繋がっており、1本目が回り出せば2本目も回り出す仕組みと分かる。


 二本目の円盤状の板には堀が刻まれており、そこを起点に大小さまざまな歯車が組み合わさり、三本目の柱にある歯車へと繋がっている。

 三本目の柱には、下部に石臼があり、1本目の柱を回す事で連動して回るようになっている。


「実に見事だ。むしろ、俺の最初の案からこれほどまでの物を作るとは、やはり職人は侮れん」


「南にある水車の手入れもうちの若いモンがしとるでの。作るのになんも問題がなかったの」


「素晴らしいな、ドミンゴ。俺に雇われてみんか?」


「ほっほ。そう言うてくれるは嬉しいが、ワシはバッカス殿の下を離れる気はないでの」


「そうか。それはそれで朗報だ。構わん」


「ほっほ」


「僕なら頼まれなくはないっすよ?」


「貴様はいい。どうせどこにも囲われないだろうからな」


「ひどくないっすか!?この国一番の木工職人っすよ?」


 そう訴えてきたバイバラに、ロディマスとドミンゴは二人揃って顔を見合わせ、ため息を吐いた。


「誰かに付く気もないのに、よく言うのぅ」


「やる気がないくせに、よく言う」


「ひどーーーいっす!!」


 そう言って叫んだバイバラに、ロディマスは告げた。


「貴様は縛り付けるより、自由にさせたほうがいい物を作る。ドミンゴが技巧派なら、バイバラは芸術派。ただ、それだけの違いが扱いの差に出ただけだ」


「ぼ、坊ちゃん・・・」



「私たち、完全に無視されてるねー。ごりごりー」


「エリス、そりゃ今のは大事な話だし、仕方ないさ。しっかしこれ、軽いな」


「感動的ですよ!!さすがロディマス坊ちゃんだ!!頑張って回りますよおお」


 ロディマスたちが友情を深めていた頃、試運転と称してエリスたちは新型装置の動力として柱の周りを回っていたのだった。



□□□



「ふむ、工房だけなら完成しているのか」


「パンを焼き、並べる場所だけであればこの通り、完成してございます。それとロディマス様、皆様、お疲れでございましょう。こちらにお茶とお菓子をご用意させて頂いております。ここで一度、ご休憩なさってはいかがでしょうか」


 パン工房に先回りをして支度をしていた執事のライルが、簡易の食事スペースにティーセットを持ち込んでいた。

 そしてそれを展開し、見事に午後のお茶会を開いているのだが、ロディマスはこの執事がいつこんなものを運び込んだのか知らなかった。


「おい、爺。ここに、こんなものはあったのか?」


「いえ、これはお坊ちゃま、いえロディマス様の為にご用意させて頂いたお部屋に先ほど搬入させて頂いたものを、使わせていただいているものです」


 こいつ何しれっとした顔で言ってるんだと言いたくなったが、まず最初に確認すべきこと、確認しなければならないことを聞いた。


「俺の部屋とは、何だ?」


「この工場の所有者たるロディマス様のお部屋にございます」


「聞いていないぞ」


 図面にもなかったはずであるとロディマスは頭の中で工場の見取り図を展開して、やはりなかったと確認した。

 拡張工事の期間中に更に二度三度と増築したとは言え、その度に図面を引いたのは他ならぬ自分である。知らないはずがなかった。

 しかしこの執事、ライルが自分の事となると暴れ馬のように制御が利かなくなる。だから決して油断してはいけない人物であると、分かっている。

 それだけに、恐らくこの執事の言う事は事実なのだろうと、ロディマスも考えてはいた。

 だが、何故己に言わずにそのようなものを用意したのか、と言う疑問は解決しなかった。


 するとライルが、平然と、あるいは飄々とした顔でのたまった。


「内緒にせよと、大旦那様からのご命令でした」


「父上か・・・」


 ロディマスは頭を抱えた。心の中や頭の中だけではなく、現実で、頭を両手で抱えた。

 まさかの父、バッカスの差し金である。

 そして、それと同時に嫌な予感が過ぎる。


「おい、ライル。そこに今すぐ案内しろ」


「畏まりました」



 一同がライルに連れて行かれたのは、元々は建材の置き場として確保していた外のスペースである。

 そこに、工場から出っ張るように、何かがあった。

 こうしてそこが部屋であると教えられ、こうやって連れてこられなければ分からないほど、何故か巧妙にカモフラージュされていた。


「なんだ・・・、これは・・・」


「ロディマス様のお部屋にございます」


「何だか、さっきの場所より広くないかな?」


「エリスよ、貴様にもそう見えるか?」


「う、うん。そうだね。ねぇお姉ちゃんにもそう見えるよね?」


「そうだねエリス。・・・、外見からするとアタイらの家くらいの広さがあるぞ。部屋と言うよりももはや家じゃないのかい?」


 俺の幻覚ではなかったかと、思わず眉間を揉むロディマスの背中には哀愁が漂っていた。

 するとこの反応を見ていたライルが、こともなげに告げた。


「見た目よりも広く、しかも二階建てにございます。ロディマス様のお部屋としては些か狭いかもしれませんが、それでも先ほどとは別の意味でご休憩をして頂く為にはこの程度の広さは」


「やかましいわ、【コールドブロウ】」


 そう言ってロディマスは老執事の顔面に冷たいそよ風を吹かせたのだった。







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