七話
ちょうどその時、ゲーニッツから連絡が入った。船の予約はグランツが、宿の予約はゲーニッツとメディアがやってくれたようだ。
指定された宿に到着し、荷物を置いて外に出た。霧の森で話していた通り、フレイアと模擬戦をするためだ。
年長者組は早々に酒場に行ってしまった。酒好きだなホントに。
一度テルバを出て、霧の森とは反対方向の森にやってきた。ここは普通の森らしいが、他の町に通じているわけでもないので民間人が通らないのだと言う。
レベルを上げるべく、俺はフレイアとメリルにボコボコにされた。その度に回復してもらって、立ち上がって、戦って、倒されて、また回復されて。
そんな時に思ったのは「メリルって肉弾戦もいけるんじゃないか」ということだった。
気がつけば夜になっていて、ボロボロの服のままテルバに戻ることになった。レベルは79まで上昇した。これでレベル99のヤツとあたっても簡単にやられることはないだろう。
目蓋が落ちてくる。ボコられすぎた。法術で傷は言えるが体力までは回復しない。
風呂に入り、夕食を食べてすぐにベッドに飛び込んだ。時間はまだ八時だったが、明日に備えて寝るとしよう。本音は眠くて仕方がないだけなのだが。
「もう寝ちゃう?」
フレイアがベッドに腰掛けた。ギシっとベッドが弾む。
「もう限界だ……」
「頑張ったもんね。明日、がんばってね」
その声が最後だった。朦朧とした意識が完全に絶たれる。
意識が途切れる間際、額に柔らかな感触があった。が、それがなにかを確認する前に、俺の意識は完全になくなった。




