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それでも俺は異世界転生を繰り返す  作者: 絢野悠
〈expiry point3〉 Who's Guardian
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十三話

 家に帰るとフレイアはまだ寝ていた。双葉からメッセージが来たため、スーパーで買い物なんかをしていたら三時くらいになってしまった。


 一人で考え込んでいてもいい結果にはならなそうだと、茶の間でゲームを始めた。こんなことになる前にやっていたRPGだった。まだクリアしていないのを思い出して起動した。


 登場キャラクターが多く、使えないキャラクターはいない、強すぎるキャラクターもいないというバランスが取れたゲームだ。だが使い所を見極めてキャラクターを変えていくと攻略も楽になる。


 レベルを上げてスキルを覚えさせて、敵陣を削りながら城を攻める。時限イベントなんかもあるため計算して動かなければいけない。


 こうやってゲームをしている時は余計なことなんて考えなくても済む。


 ゲームのBGM、ボイス、効果音。同時にコントローラーから発せられるカチカチという音だけが耳に入ってくる。いろいろ考えたいことは、フレイアと双葉と一緒に考えよう。今はこの画面の中に集中する。俺一人でできることなんて今はないんだから。


「あれ、お兄ちゃん」


 そう言われて、結構な時間が経っていることに気がついた。入り口に顔を向けるとフレイアと双葉が立っていた。


「なにか、あったの?」


 そう言いながら、双葉が俺の横に座った。微笑んで、なんでも知っているというような顔だった。


 フレイアもソファーに座った。俺が二人に挟まれる形になった。


「今日、宮川の家に行ってきた。なんか情報がないかと思ってさ。宮川っていうのはうちまで来たミカド製薬の社員なんだ。宮川には嫁さんがいて、嫁さんは宮川がいなくなって、すげー悲しそうだったんだ。でも宮川を直接殺したのは俺たちみたいなもんだ。それで、どうしたらいいのかわからなくなった」

「でも宮川さんはミカド製薬の命令でうちに来たんでしょ?」

「まあ、そうなるな」

「直接手を下したのはお兄ちゃんかもしれないけど、そもそもミカド製薬がそういう薬を作ったからこうなったわけで、辛いかもしれないけど、そういう状況をなくすために今頑張ってるんじゃない? なら、今が踏ん張りどころだと思うよ」

「わかっちゃいるんだが、こう、上手く気持ちを整理できなくてさ」

「お兄ちゃんのそういうところはいいところだと思う。だから忘れないであげて。そういう人たちがいたってこともそう、そういう気持ちになれるんだってこと」

「ああ、そうだな。まだ完全には無理だけど、少しだけ軽くなった」

「そうそう、それじゃああとはフレイアさんに任せるね。私はご飯作っちゃうから」

「おっけー」


 双葉がキッチンへ行き、フレイアと俺だけが残された。


「ま、私も余計なことは言わないでおくわ。今は、だけどね」

「そうしてくれ。まだ時間が必要だ」

「そうね。じゃあゲームしよう! これ!」

「そのつもりで降りてきたな、お前……」


 こうして、双葉が夕飯を作るまで二人で楽しくゲームした。


 フレイアが持ってきたのは格ゲーだったのだが、俺たちがいない間にこそこそ練習していたんだろう。俺の方が強かったのだが、素人の動きではなかった。いや、練習したからやりたいと言い出したんだろう。


 夕飯はサンマをメインにした定食のような内容だった。うん、双葉の料理はやはり美味い。


 風呂に入って自室に戻る。俺に負けたのが悔しかったのか、フレイアは茶の間でまだゲームをしている。


 時刻は九時。寝るにはまだ早いな。


 財布とスマフォとライセンスを持って階下へ。コンビニでアイスでも買ってこよう。


「お兄ちゃん、どこか行くの?」

「コンビニにな。アイスでも買おうと思ったんだけど、なにか欲しいもんとかあるか?」

「うーん、特にはないかな。私とフレイアさんの分もよろしく、くらい」

「わかった。じゃあ行ってくるわ」


 と、その時スマフォが鳴った。優帆から連絡なんて珍しい。


「おう、どうした」


 スピーカーからガサガサという音が聞こえてきた。間違えて電話してきたのかと、電話を切ろうとした。


『た、助けて!』

「助けて? 今どこにいるんだ?」


 そしてまた物音がした。足音と、なにかを壊しているような破壊音。


「優帆、聞こえてるなら返事しろ」

『公園――』


 バキっという音がして電話が切れた。


「今のゆうちゃん?」

「様子がおかしかった。お前はフレイアに話をしてから優帆を探してくれ。俺は今から出る」

「うんわかった」


 こういう時に頭を切り替えられるのはさすが双葉って感じだ。


 家を出て近くの公園に向かった。公園とは言っていたがどこの公園かまではわからない。それなら近い場所から行くしかない。


 全力で走れば一分とかからない。が、一番近い公園にはいなかった。


 ここからだともう少しいったところにもう一つあったはずだ。


 方向転換して、もう一つの公園へと走り出した。


 わざわざ道を通るのはもうやめだ。近くの家の屋根に飛び乗って移動を開始。これなら周囲を見渡しながら移動できる。


 大きな音がして、そちらへと視線を向ける。公園の方で土煙が上がった。


「あそこか」


 屋根から屋根に素早く飛び移る。これを何度も繰り返し、公園の近くの道に着地した。


「一葵!」


 優帆が胸に飛び込んできた。コイツが走り込んでくるであろう場所に着地したんだ、ちゃんと間に合ってよかった。


 土煙の中から、優帆を襲ったであろう人物が姿を現す。腕をぶらりと垂れ下げて、ひたひたと歩みを進めてきた。


「アンタ、なんでここにいるんだよ……」


 Tシャツ、カーディガン、スカート。皮膚の色は浅黒く変色はしているが、あの顔を見間違うことはない。


「あれ、誰なの?」

「知り合いの嫁さんだよ。顔見知り程度だけどな」


 宮川の嫁さん、いや愛美だ。


 俺は考えなかった。宮川も、愛美も、その両方がミカド製薬の人間である可能性をだ。


「お前は逃げろ。ここは俺がなんとかする」

「なんとかするって、あのバケモノを? 身体からなんか飛ばしてくるんだよ?! どうやってなんとかするの?!」

「いいから逃げろ! 二人して殺されたら意味がないだろ!」

「それでアンタが死ぬなんてイヤよ!」

「あーもう! 頼むから言うことを聞いてくれよ!」


 嫌な予感がして、優帆を抱いて横に飛んだ。

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