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それでも俺は異世界転生を繰り返す  作者: 絢野悠
〈actuality point 3〉 Kindness Piece
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七話

 夜が明けて一晩経った。クエストで貰った金は山分けしたので急に懐が潤った。


 俺たちはこれからまた出発しなきゃならない。まだまだ先だが、目的は魔女派の総本山だ。


「またな、アル、リア」


 馬車に乗り込む前にそう言った。二人共なんかもじもじしててちょっと可愛い。


「ふんっ、一生顔なんか見たくないわ」

「気にしないでイツキ、アルは照れ隠しをしてるだけだから」

「ちょっとリア!」

「本当のこと。だからイツキ、そしてフタバ。また、いらっしゃい」


 リアの顔は晴れ晴れとしていた。最後にこういう顔が見られてよかった。いろいろ苦労した甲斐があったってもんだ。


「ほら、アルも」


 リアに促され、アルが一歩前に出た。いや、前に出させられた、だ。


「その、えっと、私が死ぬって聞いた時はなに言ってんだって思ったけど、頑張ってくれて、ありがとう」

「そう言ってもらえると頑張った甲斐があったよ。今はまだ俺は弱いけど、次になんかあっても、きっと俺はお前たちを助けるよ。絶対に。だから、またな」

「ええ、元気で」

「お互いにな」


 そう言ってから馬車に乗り込んだ。


 双子とは別れを告げて次の町へ。ゲーニッツ、グランツはまだ青い顔のままだ。他の連中はいつもと変わらない。なんだかんだと言いながらも、ゲーニッツは実は弱いのでは。


 何が、とは言わないけど。


 魔女派の総本山、名前はエルドートと言うらしい。あと三つほど町を経由することになると言われた。


 馬車を借りていざ出発。味方も増え、どんどんとゲームっぽさが増してきた気がする。


 俺のレベルは68、双葉は41になった。高レベルのダンジョンばっかり潜ってるから、この急成長もうなずける。


「次の町はなんてとこだ?」


 隣に座っているフレイアに訊いてみた。次の町に行く、としか聞いていないのだから当然である。


「ロークスね。でもロークスまでは約三時間、その間はずっと馬車の中よ。途中休憩はあるけどね」

「さ、三時間……」

「寝ててもいいわよ?」

「いやいいよ。少し景色を見たい。それに話もしたいしな」

「話、ねえ。今でも結構いろんな話をしたでしょう?」

「まだフレイアの家族のこととか聞いてない」

「家族? うーん、特に話すことはないと思うけどな」

「まだまだあるだろ。どんな食べ物が好きだとか、趣味はあるのかとか、子供は好きかとか、どういう男が好みなのかとか」

「私には最後のヤツが本命な気がするなー。気のせいかなー」

「きききき気のせいだよ? 俺がお前の男の趣味にきょきょきょ興味とか」

「動揺っぷり凄いね」

「べべべべ別に動揺とかしてないから!」

「そうだねえ、何事にも動じず、冷静で、それでいてたくさん努力して、頑張っていこうとする姿勢を崩さない人かな」

「じゃあ顔は問題ないと」

「顔は愛嬌。それに見続けてれば好きになるかもしれないじゃない?」


 なんて言いながらジッと見つめてくる。妙な空気になってしまう前に顔を背けた。


「異性の好みなんて人それぞれだもんな。うん、いいと思うぞ」

「私ばっかり卑怯じゃない。イツキの好みも教えてよ」

「俺の好み? うーん、人のこと考えられて一生懸命な子、かなぁ」

「やっぱりシスコンだったか……」

「そういうことじゃねーよ! いや、双葉のことは好きだけどね? いやーなに言わせてんのこの人!」

「ブレないなーと思って」

「ブレないんじゃなくてブレさせてもらえないんだよなーこれが」

「そういや気になってたんだけど、その手の包帯はなに? 小手外してまで」

「ん? ああこれか。俺の新しい戦闘スタイルに直結する素晴らしいアイデアだ」


 実は昨日の夜、双葉との訓練中にアルとリアと出くわし、そこでご教授いただいた戦い方だ。双子には感謝してもしきれない。


「そうなんだ。本当はへんな病気にでもかかっちゃったんじゃないかって、言い出せずにいたんだよねー」

「お前は本当にこっちの世界の人間なの? こっちの世界にもその病気あるの?」

「どの病気を想像してるかわからないけど、ブラックラバーとの戦闘で負傷したのかなって思ってさ」

「そ、そういうことか。大丈夫だよ、怪我じゃないから。その時が来ればこの包帯の意味もわかるさ」

「それは楽しみね。やたらめったら拳を振り回すだけの戦い方から進化してればいいけど」

「ちょいちょい、その言い方はあまりにもひどすぎでしょ……」


 双葉は双葉で俺たちのやり取りを見て笑ってるだけだし、俺がいじられ役なのはこれからもずっとなんだろう。


 ゲーニッツは朝から辛そうでずっと寝ている。メディアとグランツは馬車の前の方で話し込んでいる。残った俺たちは、俺をいじりながら会話を続けていた。


「フタバちゃんはどういう男の人が好き?」

「お兄ちゃん」

「アンタには聞いてない」


 いち早く正解を答えたはずなのに怒られてしまった。


「頼りになる人、ですかね。どんな時にでも引っ張ってくれると助かります」

「男らしい、っていう感じが好きなんだ」

「自分で言うのもアレですけど、あまり他人に対して意見を言えないので……」

「なるほど。つまり、そういうことか。うんうん、悪くないと思うよ」

「なんですかフレイアさん! 言ってくださいよ!」

「いやいや、なんでもないよ。いや、ホントに。いやいやホントだよ?」

「もー! 気になるじゃないですかー!」

「また今度二人きりの時にでも、ね」

「絶対ですよ!」


 こういうのをガールズトークというのだろうか。若干だが居心地が悪い。双葉が照れている姿を見るのは悪くないのだが。


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