八話
その日、魔女派の幹部クラスを集めてすべてを話すことにした。
内容は「ミヤマイツキを使ってデミウルゴスを排除する」というものだ。ミヤマイツキのスキルも説明したし納得は得られたと思う。
この荒廃から立ち直ろうとした世界で、私は大きな組織を作って権力を持った。そしてたくさんの苦労や挫折を形にして過去を正す時がきた。
今回の作戦はいくつかのフェーズに分けることとなった。
第一フェーズ:
貯蔵した魔力を放出してフレイアを「ミヤマイツキ」が死ぬ前に送る。
これに失敗すると二度目は存在しないため、最も重要であると考えられる。
第二フェーズ:
フレイアに好意を持たせて自分の行動が正しいと思わせる。
「ミヤマイツキ」が好むとされるゲームの世界を再現し、目的を持たせることで自発的に成長してもらう。
同時に「ミヤマフタバ」を連れ帰りフレイアの補助をさせる。
第三フェーズ:
成長過程であり、この時点でおそらくデミウルゴスの接触が増える。
デミウルゴスは「ミヤマイツキ」を「破滅の子」として認識し、殺すのではなく捕まえることを目的とするため要注意。
第四フェーズ:
必要な成長が確認できたら魔女派へと正式に引き入れる。
ここでこの世界がどんな存在であるかを説明するが、おそらくは納得してはもらえない。
そのためフレイアに対しての好意を利用する。
第五フェーズ:
フレイア、「ミヤマイツキ」、「ミヤマフタバ」を過去に返して過去を変えさせる。
過去のデミウルゴス及びウイルスの破壊を行う。
第六フェーズ:
最終フェーズだがフレイアはおそらく死亡しているため「ミヤマフタバ」に一任することとなる。
「ミヤマイツキ」の記憶を消去して普通の日常へと戻す。その際にワクチンを打ち込んで能力を消しておくこと。
これがこの計画のすべてである。
ミヤマイツキは自分が夢見た世界で死という現実と戦い、世界を救って、夢に溺れたまま「英雄ミヤマイツキ」として死んでいく。そうしてまた「ただのミヤマイツキ」として生きていくのだ。
そうして、すべてが始まった。




