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それでも俺は異世界転生を繰り返す  作者: 絢野悠
〈actuality point 2〉 One loss
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六話

 メイクールを出て数分、ナレットという村についた。結構距離は離れていたと思うんだが、走る速度が尋常ではなかったため数分到着してしまった。


 実はゲーニッツの肩で眠ってしまい、気付いたら宿についていた。自分でもわからないくらい疲れたんだろう。


 起きた時、外された肩の痛みはほとんどなかった。切り傷や擦り傷なんかも治りかけていたから、たぶん誰かが魔法で治してくれたんだろう。フレイアも外傷が消えていて、キレイな顔に元通りだった。


 まあフレイアの場合は傷を負っていても美人なのだが。


 村の中にある宿屋の一室で、俺たちは初めてちゃんと顔を合わせた。ゲーニッツと一緒に来たと思われる二人の男女。もっと大人数かと思ったら、住人を避難させたのも門を開けたのもこの二人だと言う。


「ボクの名前はグランツ=ガネット、レベル122だよ。Pスキルはシースルーで嘘を見抜ける。Aスキルはブランチアンプで分身を作れるよ。どうぞよろしく」

「私はメディア=ランバーナ、レベルは144。Pスキルはシャドウクリエイトで影を作り出す。Aスキルはシャドウシークで影の中を移動できる。よろしく」


 グランツは優しそうな好青年。俺よりもちょっと、いや結構年上かもしれない。短髪で爽やかでイケメン。ライバルの予感。軽装なのもそうだが、背中に背負ったの弓矢を見る限りでも弓術士ってのがわかった。


 メディアは間違いなく年上。大人のお姉さんって感じだけど、無表情で冷たい印象だ。スカートだしローブだし、間違いなく魔術師だろうな。武器もメイスだし。


「俺のことは説明したからいいな」


 ゲーニッツが自分の番を飛ばそうとする。


「待って待って、名前しか知らないから俺」

「面倒くさいボウズだな。ゲーニッツ=アンドーラ、167。センスドライブ、五感が強化されてる。ブラストブレイド、魔法力を圧縮した刃を作り出す。以上だ」


 いろいろ簡略化されてるけどよくわかった。ズボラで面倒くさがりだってことがよーくわかった。


 ここで問題にぶち当たる。俺のPスキルをどうやって説明するか、である。


「ちょ、ちょっと待ってて。フレイア、ちょっとこっち」


 イスから立ち上がり、フレイアを連れて部屋の隅へ。


「俺のPスキル、どうやって説明したらいいと思う?」

「あー、それは私も考えてた。そうだねー……未来予知、とでも言っておけば?」

「あながち間違いではないか。よし、それでいこう」


 もう一度テーブルについて咳払いを一つ。


「俺はイツキ=ミヤマ、レベルはっと……52、になったらしい。Pスキルはハローワールドでちょっと先の未来を予知できる。Aスキルはレプリカモーションで相手の動きをコピーできる。コピーできるというか、たぶん自分の記憶の中にあるその人の動きを再現できるって感じかな」


 一応この世界の感じでいくと、俺の氏名は前後逆の方がわかりやすいだろう。


「レベル52で〈蒼天の暁〉に入ろうってのか」

「フレイアが誘ってくれたから、できれば入りたいなーと。俺行く場所ないし」

「実家はどうした。両親は?」

「えーっと、遠くに……気がついたらアルハントにいたって感じで、ここのことはよくわからない。俺がいた場所とは違う風習とかだし」


 ゲーニッツがグランツに目配せした。グランツが軽く頷くと、ゲーニッツは「やれやれ」と肩をすくめた。


「嘘じゃないみたいだな。面倒だが、これからレベルを上げてけば使い物になるか。スキルは両方とも使い勝手がいいしな。ジョブは?」

「拳闘士、かな。でもこのジョブっていうシステムもよくわからないから、とりあえずグーパンで戦ってる感じ」

「システムがわからないって、お前本当に何者なんだよ……」

「でも嘘は言ってませんよ? どうしてだろう。キミ、Pスキルは偽ってないよね?」


 ヤバイ、これはヤバイぞ。頷いたらバレる。頷かなくても疑われる。


 背中いっぱいの冷たい汗。次第に具合も悪くなってくる。


「大丈夫よ、イツキは信用できるから。私もライセンス見せてもらったし。それにこのシステムがわからないって言うのも嘘じゃないんでしょ?」

「え? うん、それは嘘じゃないね」

「ねえイツキ、アナタはデミウルゴスのメンバーだったりする?」


 フレイアにそう訊かれ「いや違う」と答えた。


「じゃあ政府の人間?」


 と訊かれ「それも違う」と答える。


「魔女派?」


 それに対しても「違う」と返した。


「じゃあこれが最後ね。政府でもデミウルゴスでも魔女派でもない、新興組織の一員だったりするの?」

「それもないよ。俺はどっかの組織に属した覚えはない」

「どうグランツ。彼が嘘吐いてる?」

「いいや、まったくだ」


 彼がそう言うと、ゲーニッツがテーブルに手をついて立ち上がった。


「ならいい。敵じゃないしフレイアも信頼してんだろ。だったらそれでいい。これから俺のギルドに入って魔女派に属する。お前はそれでいいんだな?」

「うん、それでいいよ。俺一人じゃ生きてかれないし、世話になったフレイアの手伝いとかできればそれが一番だ」

「なら決定だな。とりあえず今日はここに泊まって、明日カルドナを目指す」

「それはいいんだけど、魔女派とか政府とかデミウルゴスってのを説明して欲しいんだが」

「あー、それはボクから説明するよ」


 グランツが一度咳払いしてから話しを始めた。


「政府っていうのはこの世界の秩序を守る立場。政府には法律部と軍事部がある。法律部は罪人を裁いたり、民衆の裁判なんかを請け負う。軍事部は軍事警察とも呼ばれ、民衆の安全を守るのが仕事になる。つまりはこの世界においての秩序というわけだね。デミウルゴスというのはその政府に反発する組織であり、魔女派にも牙を向いてくる。自分たちの思い通りにならないとすぐ暴れるんだ。とにかく自己中心的な組織だね。最後に僕らが属する魔女派なんだけど、ようは四人の魔女の誰かに忠誠を誓った人たちの集まりだ。大体は冒険者なんだけど、別に政府にもデミウルゴスにも反してるわけじゃない。けれど魔女という存在自体がかなり影響力があるから、前者二つの組織は魔女派をキツイ目で見てる。特にデミウルゴスはね」

「俺たちを襲ってきたヤツらは?」

「あれはデミウルゴス、ようはレジスタンス組織だ。彼らは政府も魔女派も根絶やしにすることを信条にしてるんだろうね。だからボクらは強くなきゃいけないんだ。でも政府とは割りと友好的だよ。政府が自分たちでは無理だと判断した事件とかを魔女派に持ってくることも多い。公にはなっていないけど、裏でそういうつながりがあるんだ。逆にボクらは魔女派としての資金を政府からもらってる。クエスト、という形で報酬をもらっているのさ。ただダンジョンに潜るのとは違ってね」

「その魔女派に俺もなるのか。まあ周りは強い人たちばっかりだし、政府側になっても魔女派になってもデミウルゴスに狙われるなら魔女派でいいか」

「決まりだな。俺はちょっと出てくる。あとはグランツとメディアとフレイアで頼むぞ。じゃあな」


 俺とグランツの会話に無理矢理入ってきておいて無理矢理会話を終わらせやがった。この人のことはよくわからないな。

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