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それでも俺は異世界転生を繰り返す  作者: 絢野悠
〈expiry point 7〉Count down
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二話

 双葉がここまで言うってことはなにかしらの根拠があるはずだ。それに理由がなければ基本的に意見は言わない。


「誰がどこに行くのか考えてあるのか?」

「当然」


 と、双葉は胸を張ってみせた。


「私たちが捕まった場所は、きっと私が行くには戦力不足だと思う。だからこの山の研究施設にはお兄ちゃんに行ってもらいたい」

「俺? またあそこに行かなきゃならないのか……」


 辛い思い出しかないが、たしかに双葉には荷が重い。


「でもなんで俺なんだ? フレイアでもいいんじゃないか?」

「フレイアさんには西の森に行ってもらわなきゃいけないからね。お兄ちゃんじゃきっと場所わからないと思うし」

「それを言われるとなにも言えない」


 研究所を見つけられなくてなにもできなかったじゃ話にならないしな。やるなら確実に終わらせたい。というか終わらせなければ、逆に今度は俺たちの命が危なくなるかもしれない。


「イヤかもしれないけど、お兄ちゃんがここの研究所でウイルスを探して」

「わかったよ。お前の言うとおりにする」


 が、ここで気になることがあった。


「ウイルスってとんでもない量なんじゃないのか? 持ち帰れないくらいの量だと見つけても意味ないぞ」

「それは大丈夫じゃないかな」


 そう言ったのはフレイアだった。


「大丈夫ってどういう意味だ?」

「サイマケイって言ったっけ、あの男の口ぶりからするとウイルスはまだ完成していない。となれば完成していたとしてもまだ少量しか製造されていない可能性が高いのよ」

「いやでも研究所の中で赤い棚があっただろ? 齊間はあそこにウイルスがあるって言ってたぞ」

「確かにウイルスだと思うけど、彼は99%完成しているとも言っていた。つまりまだ100%ではない。ちゃんとした空気感染や飛沫感染をさせられないから、今でも製造工程でできた不出来なウイルスがまだ施設の倉庫に眠ってる」

「じゃああれはまがい物ってことか……」

「そうと決まったわけじゃないけど、きっと研究員やなんかに使用してモンスターに変えるためのものだと思う」

「じゃああのウイルスは放っておいていいわけだ」

「そもそもあれがウイルスとは限らないしね」

「偽物ってこと?」

「私たちをおびき寄せるための罠が必要だったろうしね」

「まあそれも踏まえて探しに行くか」

「あと完成品があった場合、その場で破壊しても問題ない」

「大丈夫なのか……?」

「私たちはすでに感染しているわけだしね」

「でも研究員がいるだろ」


 すると双葉が「言いたくないけど、それは全員殺した方がいいと思う」と言った。


 双葉がこんなことを言うなんて夢でも見てるんだろうか。前はこんな物騒なやつじゃなかった。でも双葉をこんなふうにしたのは俺が原因だ。俺が引きずり込んだからこうなった。それに双葉が言うことは間違っていない。研究員が一人でも残れば、残った研究員がまた研究を続けてしまうかもしれないからだ。


「そうするしかなさそうだな」

「研究員を全員殺すなら、ウイルスが入った容器をその場で破壊してしまっても問題ない。でもワクチンは持ち帰らないと、もしも齊間景にウイルスを持ち出された場合に対処できなくなる」

「なるほどな、ワクチンは奪取、ウイルスは破壊だな」

「じゃあ話しを戻すね」と双葉が言った。

「さっきの話の延長線上で、森の研究所にはフレイアさん。ミカド製薬には私が行く。私たちが逃げたってことは知られてるだろうし、十分気をつけて侵入するように」

「言われなくてもわかっとるわい」

 時々双葉は俺のことを子供扱いする時がある。反抗期なのかなんなのか知らないが、時に姉属性に憧れているんだろうと思うことにした。

「フレイアさんはワクチンを見つけ次第研究所を破壊してください。なにも残らないくらい」


 フレイアが小さく頷いた。


「当然だけどお兄ちゃんも同じだからね」

「了解した」


 不本意だが従うしかない。というか俺もそうするつもりだった。齊間景にも一発ぶちこんでやらなきゃ気がすまない。もしかしたら俺の気持ちを汲み取って、山の研究所に行かせようと思ったのかもしれない。


 まあ、さすがに考えすぎか。


「話が決まったな。いつ行動に移すんだ?」

「今日の夜十二時。それまで好きなことやって体も心もリフレッシュしよう」

「こんなところでできることなんてたかが知れるけどな」


 お茶飲んで雑談してトランプするくらいしかないだろう。それでもこの二人と一緒にいる時間を大事にしたい。フレイアとの時間を、大事にしたい。


「んじゃ、なんかゲームでもして遊ぶか」

「トランプと花札とウノならあるよ」

「用意がいいな……」


 一応その場しのぎの隠れ家のハズだが。


「じゃあ三人で遊ぼう!」


 いきなりテンションが上がる双葉。違和感はあるが、一世一代の大勝負となれば頭のネジくらい外れて当然か。


「んじゃ、夜まで遊ぶか」


 こうして、俺たちは夜まで時間をつぶすことにした。当然だがちゃんと食事をし、ちゃんと睡眠もとった。不安がないと言えば嘘になる。それでもその不安を忘れようとするかのように遊び、寝た。

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