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それでも俺は異世界転生を繰り返す  作者: 絢野悠
〈actuality point 7〉True meaning
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三十四話

 次の瞬間、なにかが目の前を通過した。剣士たち数名が散り散りに吹っ飛んでいくのが見えた。土煙が上がって周囲の様子がわからなくなるがそれはきっと敵も同じだ。


「なに? なんなの……?」


 ミリシャは怯えているが、正体がわかっている俺は怯えるどころか思わず頬が緩んでしまう。


「おせーよ」


 土煙が晴れていく。そこには二つの人影があった。そうか、アイツらが来てくれたか。


「うるさいわね、簡単に誘拐なんてされたからに」

「そうですね、そのせいでこんな仕事させられるんですから迷惑です」


 前見たよりも少し大人びて見えるのは気の所為だろうか。


 それでも彼女たちが助けに来てくれたというのは予想外ではあるが想定内ではあった。


 二人が俺とミリシャの前に立った。


「ありがとうよ、アル、リア」


 そう、警察官の双子だ。


「なんでお前らが、と言いたいところだけど今はそれどころじゃねーな」

「わかってるなら手伝いなさいよね」

「当たり前だ」


 ドカドカっと制服警官がそこら中からなだれ込んできた。なのでミリシャを任せてルイと向かい合う。ルイの部下たちは警察官と双子でなんとかしてくれるだろう。


「ボクとタイマン? 本気?」

「前にやったときは俺が勝ったんだぞ。忘れたのか?」

「どうせやり直してリセットしたから勝てたんでしょ。もしかして今回もズルするつもりで来たの? まあそうだよね。キミはそういう勝ち方しかできない人だから」

「勝ち方がどうとか気にしてる余裕はないんでね」


 余裕ぶったりする余裕さえない。生きることに必死だったからだ。なんとしてでも未来を変えなきゃって、なんとしてでも人を救わなきゃって思いながら生きてきたんだ。


「余裕くらい持たなきゃ女の子にもモテないよ」

「うるせーよ。お前になんと言われようと関係ない」

「ホントに、余裕がないよね」


 ニヤニヤと気持ち悪い男だ。


「お前とくだらない話をしてる時間はねえんだよ」


 一気に前に出る。おそらく現段階ではレベルにそこまでの差はない。ならなおのこと先手を取った方がいい。防御されようが避けられようが、とにかく先手を取ったということが大切だ。


 右ストレートで顔面を狙うが予想していたのかバックステップで難なくかわされてしまった。


「変わらないね、キミは」


 バックステップ後に着地、即前進で距離を詰めてきた。


 思わず両手で顔面をガード。だがルイの拳は俺の胴体をしっかりと捉えていた。目がいいのか勘がいいのか。


 でもこれで距離はゼロになった。


 ガードで使った腕を下げて、肘と膝でルイの腕を挟んで逃げられないようにした。その状態で顔面を強打。さすがにこれはヒットした。


「くっ……!」

「もう一発!」


 振りかぶった瞬間に顔面に拳がぶち当たる。余ってた左拳を伸ばしてきたか。腰が入っていないのでそこまでのダメージはないが拘束は解いてしまった。


 目測十メートル程度の距離ができた。それと同時にルイが俺に向かって手を伸ばしてきた。魔法関係のスキルは俺よりもルイの方がずっと得意なはずだ。距離が離れると不利になるのは前も今も変わらないか。


 もう一度勢いよく飛び込んだ。


「浅はか」


 ルイがグッと手を握り込んだ。これからなにが起きるのかはなんとなく予想できる。


 地面を割って氷の棘がいくつも突き出してきた。コイツのことだし、俺をおびき寄せて魔法で迎撃するだろうなというのはある程度想定できた。


「お前がな」


 周囲の空気を燃焼させて氷を溶かしながら進んでいく。だがコイツがまだ笑みを浮かべているのが非常に気持が悪い。二の手、三の手を用意してるんだろうなとは思うが、それがどんな策なのかはわからない。


 わからないが、想像はできる。


 バキッという音が地面から聞こえてきた。俺は迷うことなく地面に拳を叩きつける。この行動には、さすがにルイも驚きを隠せなかったみたいだ。


 なんとなくそうだろうな、という予想は的中した。ルイは氷を囮にして俺を誘い込み、逃げられないところまできたら地面を隆起させて攻撃させるつもりだった。


「ちゃんと進化してるんだね」

「うるせーぞ」


 ヒュッと鋭い音が耳の横を通り過ぎた。ルイの手にはナイフのようなものが握られていた。透明なナイフ。おそらくあれはアイツがAスキルで作り出したクリスタルのナイフだろう。それを正確に投げつけてくる。それもかなりの速度で。


 ルイという男は最初から小手先ばかりが上手い男だった。真っ向勝負が得意じゃない。それはきっとフィジカルに問題があることを自分でもわかっているからだ。

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