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それでも俺は異世界転生を繰り返す  作者: 絢野悠
〈actuality point 7〉True meaning
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十九話

 それからメイドは俺を拷問し続けた。


 指を切断するのは当たり前、アキレス腱を切ったり太ももに棘付きの棍棒を叩きつけたり、デカイ釣り針のようなものを口に引っ掛けて思い切り引っ張ったり。正直毎回毎回気を失いそうになった。というか、実際何度か意識が飛んだ。特に神経を切られる瞬間は痛いのかどうなのかもわからなくなるくらい強烈な波が来る。メイドもそれをわかっているから、神経を切る時は切れ味が悪い刃物を使っていた。痛みで気絶し、痛みで起き上がる。そんなことを何度か繰り返した。


「今日はこのへんで勘弁してやるか」


 なんていいながら、俺の歯を一本引っこ抜いた。


 が、彼女のスキルらしきものによってすぐに再生される。幸いなのが、傷の完治と共に痛みもなるなくことだ。


「それ、お前のスキルか?」


 メイドは拷問器具を片付けながら「そうだ」とだけ言った。


 あの緑色の光で俺の傷が治った。しかも完全治癒だ。切断されても元に戻るってことは、ミンチにされても戻るんじゃないだろうか。さすがに希望的観測すぎるか。


「どんな能力なんだ?」


「言うと思うか?」


 つまりただの治癒能力じゃないってことか。


 考えられる可能性はいくつかある。本当に完全治癒能力という可能性。このメイドがわざと思わせぶりな態度を取っているということになる。


 次に時間逆行能力。これなら傷を完全に治すことも可能だ。


 最後に、治しているわけではなくめちゃくちゃ精密に接合しているだけという可能性。


 メイドの言葉を信じるのならば時間逆行だろう。まあこれも少しずつ暴いていくしかない。今メイドの能力を暴いてどうなるってわけでもないが、敵の情報はあればあっただけいい。


「拷問が趣味なのか?」

「仕事だ」

「でも憂さ晴らしに拷問するんだろ?」

「仕事が嫌いじゃないからな。それに人の悲鳴を聞くのも嫌いじゃない」

「好きってわけじゃないんだな」


 このメイドはなにか事情があって拷問の仕事をしてるってことか。


 でもそれならば強いられてそういう状況になったってだけで、メイドはこの仕事を選んだわけじゃなさそうだ。まだわからないが、そうであればつけいるスキはありそうだ。


 メイドは拷問器具を持ってドアに向かう。


「それじゃあ、次を楽しみにしとくといい」


 そう言って出ていったがずっと無表情だった。


 部屋に一人だけ残されて、ようやく気持ちが落ち着いてきた。


 大きくため息を吐いて、これからのことを考え始める。


 ここで俺ができることと言えば、一番いいのは自力でここを脱出することだ。今はイスに縛り付けられているし、強いクスリを使われているからかなり難しい。それにルイが来たりメイドが来たりするから自由に動けたとしてもあまり長時間出歩くことはできない。俺よりもルイの方が強いし、おそらくデミウルゴスの幹部クラスなんかは俺よりずっと強いだろう。見つかったら確実に連れ戻される。


 一番はメイドを懐柔できればいい。あの無表情な感じからすると俺の話なんてきかなそうだが。


 もしも彼女が俺の話を聞いてくれるのだとすれば可能性はわずかに残っている。逃してもらう代わりに彼女の家族を保護するのだ。


 まあそれには逃げたあとでクラウダと合流する必要がある。エルドートからどれだけ離れているかわからないというのがかなりネックだ。


 そうなると、俺が無理矢理ここを抜け出すというのは確実ではある。


 きっとフレイアたちも俺のことを探してくれているに違いない。違いないと思いたいが、いつまでもフレイアたちに甘え続けるわけにはいかない。俺を助けるのだってリスクを伴うのだ。


 少しずつ眠気がやってきた。クスリの影響だっていうのはわかる。きっとメイドの拷問のせいでアドレナリンが出ていたせいで目が覚めていただけだ。


 目蓋が落ちてくる。


 この感じは経験がある。


 そう、過去で捕まった時の眠気と一緒だ。


 クスリの成分なんかはわからないが、もしも、もしもデミウルゴスで使われている安定剤、麻酔、弛緩剤の類であるなら少なからず耐性ができていてもおかしくない。


 今はそれにかけるしかない。


 そんなことを考えながら目蓋を閉じた。


 どうしてだろう。意識が落ちる瞬間に女の子の泣き顔が浮かんできた。誰かはわからない。けれどその少女を大事にしたいと思ったのは間違いなかった。


 こうして、俺の意識は暗闇の中に落ちていった。


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