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それでも俺は異世界転生を繰り返す  作者: 絢野悠
〈actuality point 5〉 Emission Heart
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八話

 双子は注文をすぐに決めていたが、俺はなかなか決められなかった。このレストランで食事をすることは多くないはずだ。そうなれば吟味して選びたい。


 結局シーフードカレーを注文した。こういうところの魚介類は絶対に美味しい。


「それでイツキに質問があります」


 席につくやいなや、リアがそう切り出してきた。


「いきなりだな。まあいいけどな。見当もついてるし」

「アルを見つけたのは偶然じゃないんでしょう?」


 視線が交わる。というよりも、リアの瞳に射抜かれたと言う方が正しいかもしれない。


「まあ、間違いなくわざとだ。探してたんだよ、お前らを」

「なんのために?」

「そりゃ協力するためだよ」

「内密にと言ったはずですが、困った人ですね」

「ちょ、ちょっとリア! もしかしてコイツに話したの?!」

「あまりにもしつこいもので、仕方なく」

「他人の手は借りないって言ったじゃない!」

「確かにそうだけど、イツキならきっと助けになってくれると思った。私は彼を信じてる。フレイアやゲーニッツのような仕事を主体とした関係じゃないから。それに使えるものは有効活用した方がいい。絶対にアイツを逃したくないから」


 アルは強く握りこぶしを作り、歯を食いしばっていた。言いたいことを我慢し、しかし喉元から今にも出てしまいそうなのだ。


「わ、わかった……でも邪魔だけはしないでよね。本当に、これだけは約束して」

「もちろんだ。例えばお前らが男を殺しそうになっても、俺は手も口も出すつもりはない」

「そういうことだから納得して。でも出てきたことは気付かれてない?」

「フレイアたちにはバレてない。アイツらは女子だけで楽しくやってる。だから一人で出てきた」

「あの過保護なフレイアさんが、アナタが出ていくのを黙って見ているでしょうか」

「過保護ってほどでもない。俺だっていい年だし、一人で出かけることもある。じゃなきゃプライベートもクソもないだろ」

「言い得て妙ですが、フレイアさんは非常に強かな人ですよ。気をつけた方がいいと思います」

「気をつけるってなんだよ。敵じゃあるまいし」

「イツキの周りには敵か味方しかいないのですか? 明確に白黒分けられていない、第三者という存在は存在しないと?」

「中立的な立場ってことか? でも中立なら害はないだろ」

「害はなくとも、立場が違うだけで見方は変わります。それは私たちだって一緒。アナタを孤立させるために近付いた可能性だってあるでしょう?」

「お前らに限ってそれはないと思いたいが……」

「ほら、ちょっとだけ見方が変わりました。今までのアナタなら「それはないと思う」と言い切った。でも今は言い方を変えましたね。でも多少でも危機感という言葉を理解してもらえたら幸いです。それでは本題にいきましょう」


 リアはクスリと笑い、テーブルの上に置いた手を組んだ。


「私たちに協力するというのはよくわかりました。でもなにをしてくれるんですか? レベルは私たちの方が高いので、護衛としては信用できません」

「それをいわれるとキツイんだが、それでも二人より三人の方が心強いだろ」

「アナタが足手まといになって、それを守るためにアルが飛び出したら?」

「ちょっと! なんで私がコイツを守らないといけないのよ!」

「可能性が高いからです。で、そうなった場合も想定してるんですよね?」


 一瞬ヒヤッとした。なぜなら、アルは一度俺の目の前で、俺を助けて死んだのだ。出会って数時間の俺を、身を挺して守ったのだ。間違いなくアルなら俺を守って死ぬ。


「後方支援でどうだ。それなら危険は少ないはずだ。俺がお前らを守ることはあっても、お前らが俺を守ることはなくなる」

「可能性が減るくらいだと思いますが、いいでしょう。認めます。ですがいつまでこの町にいるんですか? 蒼天の暁というギルドは、きっと明日には発つのではないですか?」

「そのへんは、まあなんとかする。もう一日いさせて欲しいとか」

「たった一日でなにかできると思っているんですか?」

「なにかできればする。なにもなければ発つ。それじゃダメか?」

「どうしてそこまでするんですか?」

「お前らのことが心配だからだ」


 リアがため息を付いた。


「アルはどう思います?」

「どうって言われても、使えるんなら使いたいわよ。邪魔だけしなきゃね」

「アルがいいなら問題ありません。イツキには後方支援をしてもらいましょう。詳しい話は部屋に戻ってから、ということで」


 リアの視線が持ち上がる。どうやら料理が来たようだ。


 アルはオムライス、リアはスパゲッティ、俺はカレー。子供が好きそうなメニューばっかりだなと、思わず笑ってしまった。


「アンタ今子供っぽいとか思ったでしょ。アンタだって十分子供っぽいからね?」

「わかってるさ。だから笑ったんだ」


 スプーンを取り「さあ食べよう」と言った。二人も微笑みながら頷いてくれた。


 食事中はここまでの情報交換、という名の雑談ばかりだった。俺とは違って二人はいわば社会人にあたる。仕事の話は新鮮でありながら、その苦労がうかがえるようなエピソードが山程あった。特に他部署との折り合いが良くない、という話は面白かった。当人たちは当然面白くないのだが、こっちとしては興味深い話だった。

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