~先生との戦闘……その後?~
学生投稿なのでたまに不規則投稿になります、誠に申し訳ありません
通常は2~3日くらいで投稿してきていきます。
――エミリー――
(強い…)
それがカンナ彼女に思う素直な感想だった
彼女が放っているのは『エア・ランス』
それは中級魔法に分類され、うまくランスの形を作るのが難しいとされている魔法
しかし彼女のエア・ランスはしっかりとランスの形を成していた
そしてその威力、それは彼カザヴェル君が油断して何もしなかったのも影響しているのだが、それを抜きにしてもエア・ランスは相手を20メートル前後も吹っ飛ばす威力は持ち合わせない、これがかの学園長 ルーズベルト目をかけた存在か…
心の中でかすかな焦り、もしかしたら私も彼女に負けてしまうのではないか?
あり得る
そう心が言う
そんな気持ちとは裏腹にカンナとミルム・カザヴェル
との戦闘は終わりをつげ彼は急いで担架で保健室に運ばれていった
次は私…
手に汗がにじむ、少し自分を景品にしてしまったことを悔いる
しかし、それと同時に沸き立つ高揚感
その感覚は、彼女の才能を知った時と同じ、未知の何かを知ることができるそんな『知』への探求心だ
そんな思いを胸に戦闘へ歩みを進める
そして彼女の前に立ち一言
「よくやりました、カンナさん、次は私との戦闘ですが覚悟はできていますか?」
「はい」
ちょっと落ち着かない様子だがその目には沸き立つ心が見えた
「分かりました、それでは始めますか」
そこから彼女の戦闘は始まる…
×
――レイ・カンナ――
戦闘終了
そんな空気とともに、闘技場の入り口からどこからともなく担架が来て彼ミルム・カザヴェルが場外に運ばれていく
そんな光景とともに、エミリー先生がカンナのもとに歩み寄ってくる
「よくやりました、カンナさん、次は私との戦闘ですが覚悟はできていますか?」
「はい」
カンナが少しおどおどしながら返事をする、どうやら周りの視線がすべてカンナに向いてるせいだろう
しかしそんなことも気にしないのか先生が言う
「分かりました、それでは始めますか」
(決断早いなおい!)
さっき戦闘が終わったばかリなのに…
まあ、いっか カンナがやる気満々だし
それは見ればわかる
今はさっきとは裏腹にその目に闘気が渦巻いている
そんなことを思っているうちに、それそれが戦闘位置に就く
そして、数秒の沈黙の後
「それでは行きます」
そう言って初手の魔法として…
『エア・クロススラッシュ』
いきなり中級魔法を打ってきた
それを華麗によけるカンナ
これはこれですごいと思う
そしてこれを見た先生が笑いながら
「やはりこの程度では無理ですかでは次…」
『テンペスト』
今度は上級魔法それもテンペストいきなり難易度跳ね上げ!
それをカンナは
『エアステップ』
そう言って足元に風を集めその場から素早く回避し魔法の詠唱
『エア・エグスプロージョン』
それはただの空気の玉、しかしその破壊力はは化の上級魔法『テンペスト』中心から吹き飛ばし霧散させる
それだけにとどまらず、カンナはさらに詠唱を続ける
『ウィンドボディー』
体に風をまとわせ機動性と防御力をあげる、さらに
『ウィンドナックル』
そのまま、接近、その後、先生の腹めがけてパンチを繰りです
そのパンチは風の強化があるだけあって、すさまじい強さを持つ
しかし、その時にはそこのは先生はいなかった
思わず周りを見渡す、先生の姿はどこにもない
そんな刹那、自分の真上から声が聞こえる
『エア・ランス』
その瞬間に迫る風の刃
(危ない!)
そう思ったがその時…
『エア・シールド』
そんな詠唱とともに目の前に風の障壁が現れる
そしてエア・ランスと衝突するそれと同時にカンナは後方へ飛び去る
その瞬間、障壁はエア・ランスを巻き込み消滅
それに飽き足らずカンナは反撃をする、その時先生は空中で無防備だった
『エア・ランス』
「お返しです!」
そんな声が響く
その回避不可能な攻撃は先生に当たり先生は地面に落ちる
勝負あり
そんな感じで地面に倒れている先生
慌てて先生のもとに駆け寄る
「先生 エミリー先生!大丈夫ですか?」
そんな声に先生はうっすらとした目をして答える
「私は君に…負けたんですね、かなり本気だったんだけどね」
「もうそんなことどうでもいいんです、もう休んでください」
そういうと彼女は目を閉じる
その瞬間、また例の担架が来て彼女を運んでいく
それを見送りながら今日は『先生負傷による早退』という形になった
(なんかやってしまったな~)
先生の目がマジなだけあってすごいカンナのためになる試合だったが
相手が先生だったためにクラスのみんなに迷惑をかけてしまった気が…していたのだが?
なんだろうさっきからすごい視線を感じる…
カンナが後ろを振り向く、そこには、目をキラッキラ光らせたクラスの皆の姿
それを見て思う
(意外と迷惑がってない?)
そう思うのもつかの間、逆に私が迷惑に巻き込まれる
ゾロゾロゾロ
皆がすごい勢いでこちらに寄ってくるそして…
「あなた!すごいわねさっきの戦い、私、感激しましたわぜひこの私に魔法を教えてくれませんか!」
そんな声が上がり逃げ場所をなくすかのように包囲される
その中心でもみくちゃにされる
(これどうすればいいの)
そんな声が心に響く
それから数分後、やっと騒ぎは収まった
そして、皆が離れていくさなかカンナにリーゼが話しかける
「あなたやっぱり強いわね、あたしと戦っていた時も隙のない動きだなと思っていたけれど、ここまでだとは思ってなかったわ、少しうらやましいけどでもあなたと同室に友達になれてよかったわ…ありがとう」
なんか感謝されてしまった、それにしてもリーゼはなんというか落ち着いていて大人だな…
なんて、そう思うのだった。
その後は、皆と教室に戻り鞄の用意をして帰った
次の日、先生は来なかった
それはその次の日も同じだった
なぜだろう、あのミルム・カザヴェルあのケガから復帰しているのに
そんな思いが渦巻く中、今日も私は惰眠を貪る
――エミリー――
「負けた…」
それはカンナとの試合に負け、保健室に運ばれた後のこと
「負けた…」
予想はしていたが本気で挑んであんなにあっさり負けるなんて
「私に攻撃は一発も当たらなかった…」
そう一発も当たらなかったのだ、
すべて華麗によけられるそして、それだけにとどまらず反撃を繰り出してくる余裕さえあった
それを含め、完敗だった
(とても傷ついていた、ここまで完璧に負けていて、教師なんてやっていていいのだろうか?)
ふと疑問が浮かぶ
(いや、今これを考えちゃったら…)
“だめな気がする”そんな思考にさいなまれおかしくなりそうだ、もう少し休もうもう少し休めば…
そう思い保健室のベットで眠る
眠る…
そして起きる…
落ち着かない心が、そんな行動を繰り返させる、そして気が付けば夕暮れ
「そろそろ帰ろう…」
センチメンタルな心は治らないが、家に帰ろう
重い体を持ち上げ帰路に就く
それから、明日…明後日と日が過ぎる
「私はどうすればいいの…」
そんな思考にさいなまれ、抜け出せない…
もう2日も部屋に引きこもっている、
(いま、みんなどうしてるかな)
そんな思考がふと頭をよぎる
ずっと休んでいてでいて学校に行ってない
どうしよう、今更、学校行けない…
そう思っていると、不意に扉がたたかれる
(誰だろう?)
そう思いながら扉を開ける
「はい…」
「……」
驚いて声も出ない
扉の先には学園長が立っていたそして一言
「大丈夫かね?」
その声に『はっ』とし、言葉を紡ぐ
「いえ……まだ」
「まだ?何かね」
そう見透かしたような目をしながら聞いてくる、いや
多分なにに悩んでいるかわかっているのだろう
そんなことを考えながら、まずは学園長を中に入れる
「すいませんこんな所まで、入って下さい」
そう言って招き入れる
その後少しの沈黙
たぶん私の方から話題をきりだすのを待っているのだろう、悩んでいるのが私だから
そこまでいって、勇気を振り絞り悩みを話す
「あの~学園長私なんか解らなくなってしまって、これからどうすればいいか」
そうだ、私はカンナに負けた、ただそれだけのことなのに、それが私にとっては大きかった、理由としては…
一介の生徒に負けた先生の話を生徒は聞いてくれるのだろうか、そんな不安だ
そんな不安が私をこの部屋に縛り付けていた
しかし、その言葉に対して彼は
「そうか…で、それは君が君の役割を放棄する理由になるのか?」
ならない……そんなことはわかっているでも…
そんな思考が頭から離れない
「それと一つ、たぶん君はカンナ君に負けた事で悩んでいると思う、しかしそれは愚問だ、何故かって?」
そこで彼は一息置いて
「私も彼女と戦えば負けるかもしれないからだよ。」
一瞬彼の言っていることがわからなかった
(彼 学園長が彼女に負ける?)
意味が分からない
彼はとても強いそれは彼がトリプルマスターであることも関係している
トリプルマスター…それは五大元素魔法の内の3つを納めている者の称号である
それに彼はその3つの魔法をすべて上級魔法まで極めている
そんな彼がカンナに負ける?ありえない
そんなことを思っていると中、彼は言葉を続ける
「これはけして過大評価ではなく実際にこの目で見た結果だ」
余計に意味がわからなくなるが、シンプルに考えるとこうだ
学園長をもしのぐカンナにエミリーつまり私では敵うはずがない
そう考えると心なしか諦めもつく
それが顔に出てしまったのか彼は…
「落ち着いたようじゃのう、それはそうとして、この学園には彼女をしのぐものが一人だけおるしのぉ、上には上がいるものじゃそう落ち込むことはない、ほっほっほ」
「――は?」
それは絶句、いや時が止まったに等しいだろう
(彼 学園長が強いそう言ったカンナのさらに上がいる!)
それってもう人間なのか?
学園長を超えるカンナでさえ驚きなのにまだ上が?
そんな驚きの顔を見た学園長が悪い笑いを浮かべる
「どうじゃ、きになるじゃろぅ~」
「はっはい」
「じゃが……教えん」
ガタン
思わず崩れ落ちる
それもそうだろう、あれだけもったいぶっておいで結果、教えないのだから
思わず聞き返す、すると
「理由としては二つある」
「一つ目は、ここで教えてはわしがおもしろくない」
「そして二つ目は、お主は、そのことを気になっておるじゃろぅ~、じゃからそなたはたそやつを見つけてほしい」
「ーー?」
一つ目の理由はまぁわかったが二つ目の理由はよくわからなかった
(見つけてほしい? 学園長はすでにしっているのに?)
そこまで思って気が付く
(そうか、学園長は『実際にその目で見てこい』そう言っているのかもしれない)
学園長が私の瞳を覗き込む
「どうやらわしの真意が読めたようじゃのぉ~、ではわしはここで帰らしてもらうぞ、また学園出会おう、それに……子供たちが待っておるぞ」
それだけ残して彼は私の家から出て行った
私はそれを見送ることしか出来なかった……
×
次の日私は意を決して家の扉を開いて外に出た
久しぶりとも思える外の空気
そう思いながらも学園への道のりを歩く
一歩一歩、そのたびに罪悪感がこみ上げる
2日間も学園を無断欠勤してしまったのだ、クラスの皆はどう思うだろうか?
怖い、考えるだけで今まで動かしていた足がとまりそうになる
それでも行かなければいけない、
それは学園長に励まされてしまったからではない
それは、クラスの皆に謝るため
数分後、やっとの思いで学園
そしてクラスの教室まで
そこまで来て、皆の話し声が聞こえる
しかし、その声は少しの暗さを含んでいた
どう聞いても楽しそうに話しているわけではない
それとともに鼓動が早まる
こうしているとやっぱり引き返したくなる
しかしその心を無理やり理性で抑え込み
扉を開ける
「……」
一瞬の沈黙の後
「エミリー先生!」
そう言ってクラスの皆が抱き着いてくる
真っ先に抱き着いてきたのはカンナだ、その目にはうっすら涙を浮かべている
それに驚いて声も出ない
そんな私を見て
「大丈夫ですか先生!」「心配しましたよ!もう来ないんじゃないかって」
「もう体は大丈夫なんですか」
いろんな声が掛かる
思わず涙があふれる
(みんな…こんなに……私のことを)
心配してくれている
それなのに私は……
そう思うだけで、膝から力が抜けそうになる
そう、私は、カンナに負けた、そんなことで引きこもっていた
たったそれだけことで
しかもその理由は
皆が私の話を聞いてくれるか怖かったそんな理由
バカだ
ほんとにそう思う
そこで私の夢を思い出す
そう『教師になること』
教師とは強く・生徒が間違った時に引き留める正義の心を持っちさらに
生徒を信じ・見守り・導く存在
それでいて
それなのに自分はどうだ
一介の生徒に負け、それによって生徒の信頼を失ったと決めつけ
生徒を信じることができず、『怖い』ただそれだけの理由で逃げて、引きこもる
そのあげく残ったのは、自分の教師に対するエゴという醜いもの
バカすぎて、あきれるしかない
そんなものにこだわって私は生徒から逃げていた
悔やんでも悔やみきれない
償おうとしても償いきれない
それでも…いや…だからこそ、これからは、
生徒とこれまで以上に向き合おう
そう思うのだった