~カンナの大切…失う苦しさ~
――カンナ――
私は奴隷だ
それはもの心着いた時にはすでにそうだった
親の顔も知らず、帰る家もない
そんな私は2年間ぐらいずっとこの馬車の中にいる
そこには私と同じような奴隷
違うことと言えば私と違って何か一つ特技があることだろうか
しかし私には何もない
そのため私は2年間ずっと売れ残りこの馬車にいる
そんなある日この馬車が盗賊に襲われる
災厄だと思ったしかし私はそこで運命の出会いをする
それは奴隷輸送用の馬車が襲われてから数分後
外からすごい音が聞こえた後
いきなり奴隷商の男に呼び出され外に出るそして馬車の前に着くとそこにはきれいな女の人が立っていた
そう、彼女こそ私の運命の人『レイ』である
彼女は私をなんの不満も持たず貰ってくれた上、奴隷刻印も消してくれたもうこれだけで私は満足していた
そしてそれ以上に彼女に感謝をしていた、そして、そこにはかすかに信頼感も生まれていた
しかし、彼女はそれ以上のことをしてくれた、なんと私が魔法を使えるようにしてくれて学校に入れてくれたのだ
これはなんというかどう表現すればいいかわからない程に、心がめちゃくちゃになった
それと一緒に少し罪悪感が生まれる
何故かは簡単だ
奴隷人生から一転、こんな幸せな生活を送っていいのだろうかと
それは確かにこれまでの生活の中にあった、しかし、それは私を見て優しそうに微笑むレイの姿を見ているとどうも私も笑ってしまいつい忘れてしまうのだ
しかし、今ではそれをさらに強く感じるそして思う
(ここから卒業したら彼女に恩返しがしたいと)
そう思いながらも学校生活を楽しむ
そして学校に入ってから数か月後
この学校にもなじみ始めたころこの行事が始まる
そうゴブリンの森研修だ
これは場所は、王都を出て少しの森
そこに4人1チームとして挑む
1泊2日の3年に1度の大行事だ
なんか楽しそうだし友達との初めての共同作業だ
そんな研修も途中までは順調だったそう途中までは
それは夜皆が寝静まる頃
外ではリーゼが見守っているはずなのだが、
中に入って私たちを起こし今の状況を説明する
そして私たちは急いで準備をし戦闘に加わるそこまではよかったのだが
数が多くこのままでは危険
そこで不意にレイが話しかけてくる
それは私への指示だった
なので私はそれにうなずくと彼女は魔法を唱えその発動を確認すると私の肩を離れる
すると彼女は障壁の外へ出て
私たちに言い聞かせるように大声で言う
『私は精霊王レイ、この戦場は預かった、そして生徒諸君よ、これから見せる戦闘は、力により多くをねじ伏せる戦闘だ、これは君たちが決してやってはいけない戦闘だ、
しかし、この戦闘はその目に焼き付けておけ』
今考えるとそれは私への警告だったのかもしれない、
その言葉通り『こんな戦い方はしてはいけないという』
そして戦闘開始…
それは一瞬の出来事だった
果たして目で追えた者はいるのだろうかというほど
しかしその一瞬でゴブリンたちは全員息絶えたそこで私は思う
『やっぱりレイはすごい』
そうレイは何でもできてすごい存在、それでいてとても優しい
そう思いながらレイを見つめる
しかし、レイが全然動かないまるで時が止まっているかのように
それに疑問を思っているとレイがいきなり…
バタン
地面に倒れた
それはまるで動力を失ったからくり人形のように
その瞬間、私は驚きと一緒に謎の不安に襲をれる
(え……レイ…?)
そう思うがレイはピクリとも動かない
その瞬間私の頭に一つの言葉が通り過ぎる
『死』
それは永遠の別れ…
その瞬間何故か私の目からは涙があふれ出し、こう叫びながら走り出していた
「レイ!」
(いやだいやだなんでまだ…まだ駄目…私何も…何も返せてないそれに、まだ一緒にいたい・一緒に話したし、そして一緒に寝たい、ここでお別れなんてそんなの…そんなの…)
(いやだよぉ…)
そう思いながらもやっとの思いで礼のところまでたどり着く
そしてレイを抱きかかえる……
それでもレイは動かない
肩をゆする
起きない
(なんで…なんで…起きてよ…お願い、私何も返せてない、もし私が何か悪いことしたなら謝るよだから…だからお願い起きて)
そう思いながらも涙はあふれ視界はかすむ
そんな中、先生が駆けつけてレイの様態を見るそして…
「落ち着いてカンナ、彼女レイはまだ生きてる、まだ助かるわ」
そう言ってくる
(まだ…助かる)
そんな言葉だけで少し救われた気がしたが、レイはまだ起きないだからまだ不安は消えない
すると
「ガバッ」
急に抱きしめられびっくりする
しかし先生はそんな私をしり目に耳元でこうつぶやく
「大丈夫だよ…落ち着いて」
その言葉に私はレイと初めて会った日に事を思い出す
それはー奴隷商を後にした後
そのまま宿に連れてかれ私を置くと彼女は宿を飛び出した
数分後、彼女が戻ってくるそして私を見て…
抱き着いた後こう言う
「大丈夫だよ…落ち着いて」
と
今の先生の言葉は初めて私が心を許した相手 レイ の言った言葉
それになんとなくシュチュエーションもとても似ている気がする
「…」
そのおかげかなんだか安心し、涙も止まる
落ち着いたところで、冷静な目でレイを見る
よく見ると胸のあたりが上下している
どうやら息はある
それを確認した後
目の涙をぬぐう
ちょっと落ち着かないが行動する必要がある
『レイを助けるために』
そう思うとがぜん気合が入る
その気合のままいろいろなことをする
まずは自分の分の帰りの準備
その後は先生の手伝いなど
(早く帰ってレイを…)
そんな気持ちを胸に
×
それから約2時間後やっとの思いで学園に着く
そして先生が急いでレイを運び私はそれについて行く
そして先生がレイをベットに寝かせるそして布団をかける
その後すかし悲しそうな目をしながら私に謝ってくる
「ごめんなさい、こんな…こんなことになってしまって」
それに対して私は言う
「別に先生のせいじゃないですよ」
そう落ち着いて返す、それに対して先生は
「本当にごめんなさい…でも…助かるわ」
そう言って
「じゃあ私は行くわね、このことを学園長に報告しなくちゃ、じゃあ、レイちゃんのことよろしくね」
そう言って保健室から出ていく…
その後、レイの顔を見る
その顔は朝しか見れない顔、そして…ずっと見てきたつもりで、意外とじっくり見てこなかった顔
今見てみ綺麗だと思う
そんなことを思いながらレイの手を握る
その手は柔らかく…暖かかった
×
ーーレイーー
そこからは何も無い真っ暗な世界
そんな暗闇私は今一人でいる
そしてその世界で私は『怖い……寂しい……』そんな感情にさいなまれている
なにもない…一人、一つの希望の光さえ無い
(怖い……)
そう思っているとどこからか、私を照らす光がどこからか差す
それは非常に弱くかすかな光だったが、私はそこに希望を見いだしその方向へ走るように向かう
(ここはどこ……怖い……早くここから出たい……)
その思いながらその光に手を伸ばす
そして走る……走る
すると、その光はだんだん強く・明るくなりついには私を包み込む
眩しい光で目の前が一変真っ白になる
(眩しい!)
思わず手をはじめとする目の前に翳す
「…」
だんだん光が弱くなる
それとともにさっきまでは真っ白立った空間に風景が見えるようになる
(ここは…保健室?)
そう思いながら周りを見渡す
木目調の天井、半開きになった窓、木の小さい棚のようなもの
「ーーん…」
不意に自分の手元から声が聞こえる
そう思い手元を見るとそこには
「カンナ…」
カンナがいた、私の手を握っりながらベッドの縁に顔を乗せて寝ている
(そういえば私…あの後)
それはゴブリンの森研修の日の1日目の夜…
私は皆を守るために戦って…倒れた
それから何日経ったのだろうか皆は…
そんな想いが通り過ぎる
そうやって『ボー』していると手元から布の擦れる音と眠そうな欠伸
そんな行為と共にカンナが起きる
そして…涙を流しながら
「レ…イ?」
そうつぶやく
その顔には驚きの感情と安藤の感情の二つがいり混ざっていた
しかし次の瞬間には、彼女は私に抱きついて来て胸に顔を埋めながら……
「レイ!、私…私……もうレイが起きないんじゃないかって思って…それで…それで」
そう言った、その声は震えていた
それを聞いた私何故か涙を流していた
それはカンナが生きているという喜びとカンナをこんなに泣かせるまでしてしまった罪悪感からであった
それを胸に秘め、カンナを抱きしめこう言う
「ごめんね……そして……ありがとう」
それは私が今言える最大の謝罪と感謝の気持ちだった
×
それから数分後、涙が枯れ、落ち着いたカンナがエミリー先生を呼びにいった
そして、これまでの事を説明された……
どうやら私は3日間ずっと寝ていたらしい
それを聞いて想像する…
自分の大切な人が3日間起きない
「……」
(そんなの怖い・辛いそして耐えられない)
素直にそう思った、
3日間も目の前に居るのに、意識がなく、話しかけでも返事どころかピクリとも動かない
そんな恐怖には耐えられない、耐えるくらいならいっそ死んだ方がまし…とも思っただろう
でも、カンナはその恐怖に耐え・打ち勝ち、ずっと私のそばに居てくれたらしい
その証拠に昨日の夜から今日の朝、私が起きるまで私の手を握って寝ていた
そしてその行為が彼女 カンナの心の強さを示している
そうとも思った
そして今は学園長室にて学園長 ルーズベルトと対談中…
理由としては、どうやら今回のこと『ゴブリンの森研修』について始末書を書かなければいけないらしく、その証人として呼ばれたらしい
「――それで、今回のことなんだが…収めてくれたのは『君』と言うことでいいのじゃな?」
「はい…」
そう答えるが、その結果が生んだ『今』という結果が、けして誇れるものではないと思っているため、返事が尻すぼみになる
しかしながら学園長は苦笑を浮かべながら
「そう暗い顔をするでない、わしは『ありがとう』それを言いたいだけなのに、これではまるでお主を説教しているようでかなわん、だからそんな顔をするのはやめてくれんか」
そう言う
そんな一言だけど、私は少しだけ、心の緊張が取れた気がした
それに気が付いた彼は話を続ける…
「それで…一つ聞きたいのだが、お主はなんの魔法を使ってゴブリンの群れを殲滅したのじゃ?、どうも他の生徒や先生に聞いても『一瞬だった』や『何をしたかわからない』とかそんな事しか聞けんかったのでな」
そんな質問だった
さっきの雰囲気から変わり、分からない事を聞く子共のように……
まぁ、兎に角、質問に答える
「えっと…まずは、次元魔法『マインドクロックス』次に風魔法の『ウィンドウボディー』そして水魔法の『アイスニードル』を併用して倒しました…」
そう答える
すると彼は驚いたような感心したような顔をしながら…
「ほっほっは、やはり規格外とは凄いものですな」
そういった
「……」
なんて言うか…この人、
『自由』でいいな~
さっきの険悪な雰囲気から一転、今はこんなに楽しそうに
何というか複雑な気分だが、悪い気分ではない
これがこの人のすごいところだと思う
「…」
それからと言うもの、これからのことなど、いろいろ話した後、部屋まで戻って……
まぁ…なんか『色々』あって……寝た
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