呆気ない『死』 そして転生
「はぁはあっ」
彼女は走る
水色の髪を靡かせ、何でも見通すような落ち着いた蒼色の瞳で前を見据えながら
ひたすら止まることなく
野を掻き分け不格好な木を横目に捉える
その根元に一匹の魔物
生物学的には狼に含まれるようなフォルムをしていて全身、銀の体毛をなびかせ赤いレーザー光線のような目でこちらを見ながら追いかけてくる
「つっ、しょうがないアイスニードル」
彼女はその狼に向けて手をかざし、そう言葉を紡ぐ
その瞬間、その手が冷気を纏う、そして棒手裏剣のような氷の塊を作り出し 放つ
刹那、その穿ちは狼の眉間へと吸い込まれるように飛んでいき、狼は後、数回その身をピクピクと動かし絶命した。
そんなことが何度となく訪れ、辺りが暗くなってきたころ、それもやっと落ち着いた
「もう大丈夫だろう」と立ち止まる
流石に一日中走るのは死ぬほど疲れた
もう寝よう、そう考え近くの木の根元に腰を落ち着け横になる
野宿なんて初めてだったが そのときばかりはまるで意識が溶けていくように眠りに着いたのだった。
×
佐野 零は社会人だった
学力は平均より少し上、運動もそこそこできて、素行も特に悪いわけではない
なんとも平凡な学生生活の後、近くのアパレル業者で働いていた
「はぁ~今日の業務は営業か」
個人個人の名札が貼られたホワイトボードを見て一言
「じゃっ、行きますか」
そんな一言と共に会社を出る
そのまま駅へ向かうため横断歩道を渡る
眠いな~そう思いながら欠伸
不意に横からのクラクションに気づいて横を見る
するとそこには大型の木材を積んだトラックが…
そのときの光景は一生忘れないだろう
刹那そう思ったが最後、俺はトラックに引かれて――死んだ
俺の人生振り返って見ると平凡すぎで刺激が何も無かった
普通の朝・仕事・帰宅、趣味さえ碌になく退屈だった
『あぁもしも二度目が在るならもっと面白い人生を送りたい』
『ならやり直す?また違う世界で』
それが俺が覚えている最後の記憶だ
「ん?」
眩い光とともに意識が覚醒する
まだ目は見えない
手探りで周りの様子を確認する
指先に冷たい感触
「これは?水?」
その感覚を頼りにもっと遠くへ
もっと水深が深くなったのか、手の甲まで冷たさが伝わってくる
そんなこんなでやっと目が見えるようになる
「ここは?」
目の前には、不純物など何もない幻想的な湖と森が広がっていた
辺りを見回しながら不意に湖面に目がいく
「あれ?」
そこには蒼色の目をした美しい女性が写っていた
思わず頬を赤く染めるが、すぐその異変に気づく
「なんだこれ」
そこには俺の見慣れないものが2つ付いていた
それは丁度胸の辺り
思わず弄る
「フニャンフニャン」
それはさわるごとに形を変えほのかに体温があった
不意に少し堅いところに手が当たる
「ふぁ!」
体が電気が走ったかのようにビクッと跳ね上がる
何かはわからないが何がさわった
「触った?」
もう一度胸を見る
胸がある
「……」
刹那の沈黙の後さとる
「これ俺の体だ」
それから数時間後、湖面に写る顔これも自分の顔と判明
「……」
やはり沈黙
(落ち着け、今俺は何だ?)
解答 女
ここはどこ?
解答 不明
俺は誰?
解答 佐野 零
総合判断
―理解不能―
それからさらに数時間後
理解の結果
ここはどこ?
解答 異世界?
何故こうなった?
解答 転生?
「……」
(理解 理解 理解 理解 理解)
「はっ」
ついつい現実逃避しそうになってしまった
「まっまぁとにかくここを離れよう」
そんなこんなで回想終わり
×
「ふぁ~」
木の根本で目を覚ます。
そういえばここで寝ちゃたんだっけ
ちょっと無防備だったかな
改めて自分の体を見る
白いワンピースみたいのがはだけかかって、胸が見える
「エ…エロい」
生唾ゴックン
「も、もう少し移動しよう」
こんなの見てたら変な気になりそうだ……自分の体だけど
そう思いつつ重い体を起こし歩みを進める
少し歩くと、ちょっとした道に出た
周りには何もなくあたり一面草原といった感じだ
「まぁそのうち人が通るだろう」
そう思いながら道の外れで少し待つ事にした
それから数分後、案の定 一つの馬車と思われるものが、道にみえた
少し安易だと思ったが話しかけた
「あの~」
「おぉ、ねえちゃんこんな所で何してる?」
そんな疑問と共に俺に疑いの目が…慌てて返答する
「えっあの~みっ道に迷ってしまって…」
そう答えると、その男の目は優しくなりこう言ってきた
「そっそうか、ならねえちゃんうちの馬車に乗ってくか、ここからなら街も近いし丁度いいだろう」
ありがたい申し出だ、そう思ったので同意しておく
「はい、ありがとうございます」
そう言うと、後ろにある荷物を乗せるところに乗せでもらった
それから数分後、男が話しかけてきた
「所でねえちゃん見たことねーなりだが、どこから来たんだ?」
「えっとあの森です」
そういってさっきまでいた森を指差した
そうするとその男は驚いた顔をして
「あの森か、また危険な所に居たんだな」
少し『危険』と言ったところに引っかかったが気にせず話を続ける
「それで、あなたは」
「ああ、俺か、俺はリベロ しがない商売人さ、あんたは」
「私は……」
そこまで言って気が付いた
ヤバい名前どうしょう?
改めて考える
名前名前名前、佐野 零
そうだレイ
「レイです」
「ほう、レイか良い名前だな、それにしてもおまえ……」
「はっはい」
つい声が裏がえる
ヤバいなんかしちゃったか?
そう思うが男は笑みを浮かべ……
「いや、別に変なことではないんだが、鑑定でねえちゃんを見たんだが種族か精霊になってるから驚いただけだ」
「はっはぁ」
びっくりしたそんなことか……て
「え?」
思考停止
「どうしたねえちゃん」
「あの、いや……」
「精霊?あの精霊魔法の精霊?」
「ああ、そうだがとうした?」
「いえなんでもないです」
「そっそうか」
そう言うと男いや、リベロは苦笑を浮かべながら前をむいた
それから数分後、自分が精霊?であることを理解した私は、さっきの会話に出てきた『鑑定』について聞いて見ることにした
「あぁ、鑑定はどうやるか?」
そう言ったあと顎にてを当て考えるそして
「そうだなもしもねえちゃんにその能力が有るなら、目に魔力を集めれば使えるはずだ、使えないならそれはまあ才能が無かったってことだな」
「そうですか」
なんかアバウトな説明だったけど何となくは理解できたので実際にやっみる事に
目に魔力を集める感じ
「……」
そうすると目の前に何か半透明な板みたいなものが浮かんでいてそこにはこう書いてあった。
ステータス
名前 レイ
種族 精霊
レベル 23
体力9000
魔力18000
スキル
認識語弊level.4・魔力操作level.Max・風魔法level.6・炎魔法level.6・水魔法level.7・
土魔法level.6・光魔法level.6・主従契約・マナイーター・副魔術level.Max・魔法耐性level.Max・魔法耐性付与level.Max・物理耐性level.5・物理耐性付与level.6・鑑定・隠密level.4
・精霊化
称号
マジックロード・精霊王・創造神の加護
「なる程…なんだこりゃ」
感想はこれだけで十分だった
そんな言葉に気が付いたのか 男が話しかけてきた
「おっ、その感じだとしっかり使えてるみてーだな」
慌ててそっちをむくとそこにも半透明な板が浮いていた、
ステータス
名前 リベロ
種族 ヒューマン
レベル 34
体力 1250
魔力 70
スキル
鑑定・炎魔法level.3・交渉術level.5
称号
さすらいの商売人
あれ…ちょっと待てよ
自分のステータス見比べる…
(俺普通に強くね?)
その驚きが顔に出ていたのか男が不安そうな顔をして話しかけてきた
「どうしたそんな顔して、おまえさんのステータスはそんな顔するほど悪くないと思うが?…」
「いや…あの、意外と高かったので驚いただけです」
俺は苦笑を浮かべながらそう答えた
「……」
腑に落ちないがまあ気にしてもしょうがないか
結論
見なかったことにする
×
それからさらに数時間やっと街の門が見えてきた
「意外と大きいんですね~」(棒読み)
そう驚きながら言うと
「そうか?王都に比べれば小さい方だと思うぞ」
「へぇ~そうなんですか~」(棒読み)
「どうしたねえちゃん、さっきまでの元気はどこいった?」
「いや、別に」
「そ、そうか」
「……」
「は~~」
ため息一つ
なんか、驚き疲れたな
そう思いながらも馬車は道を進みいよいよ門まできた、すると……
「次っ、身分証は」
門番らしき人が言ってきた、すると、リベロは一枚のプレートを出し、その門番に手渡した
「えっとガルガン商会 リベロ、良し 通って良いぞ、で、そっちの方は?」
「えっ、え~と」
ヤバい身分証なんて持ってないや、どうしょう
そう焦っていると…
「すまない、そのねえちゃんは、俺の連れだ、どうも田舎から来たらしいから身分証は、持ってない」
「そうか、分かった、通れ」
リベロさんが助けてくれた、思わずお礼をいう
「ありがとうございます」
「まっ、いいってことよ、でねえちゃん、これからどうするんだ?冒険者ギルドにでも行くのか?」
「あっ、はい」
とっさにこたえてしまったが…
「まあ、そうだろうな、その強さで身分証が無いんじゃな!」
そう笑ってかえされる
なんか伝わったらしい……
まぁ、とにかく ここから俺?の冒険がはじまる!
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