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王都にて――
自室の扉を開けるとそこには見知らぬ男が、我が物顔で椅子に座って居た。
「やぁ、待ちくたびれたよ。一体どこに行っていたんだい?」
「質問に質問で返すのは嫌なのでな、答えてやる。エルフの村だ」
言いながら男との距離を縮めていく。
「へぇー、エルフか。僕も何度か見たことがあるよ」
「そうか、それは良かったな。それで、話は終わりか?」
言いながら男の目の前で立ち止まる。
「はっは、そんな訳ないじゃないか。ただの興味本位、世間話じゃないか。まぁ、僕の顔も覚えていない様だし仕方ないか」
「……もう良い。どうせプレイヤーだろう」
どこからともなく取り出した細身の長剣を男の首筋に当てる。
「おっ、おいおい、確かに俺はプレイヤーだが、この屋敷の異変に気付いていない訳ではないだろう? 俺はただの伝言役だが俺を殺せば――」
「知らん」
長剣が横へと走る。
「え? お前何をし――」
男の言葉はそこで途切れ、首に一筋の横線のみを残す、ただの死体へと成り変わった。
「やれやれ……」
帰還して早々災難だったが、血で汚れることが無かっただけ良しとしよう。
そうしてベッドへと倒れ伏す。
自身がいない間も手入れされていたのか、それはふかふかで非常に眠気を誘う。
明日は久々にゲティを食べよう。
そう決意したところで意識は深く沈んでいった。