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 ――雲の上、龍の背にて――


「接敵まで残り六十!」


 その声を合図に一斉に技能(スキル)を自身へと使用し、可能な者は味方にも施していく。


「残り五十!」

「聞け! 我々の目的は一も二も無い! 救出、ただそれのみだ!」


 先頭を往く龍の上から間髪無く発せられたその声は、他の何者をも差し置いて、その場、その空間にいる全ての者へと伝わって行く。


「はっきり言おう! 我々は戦闘経験が少ない! 練度も低い! 相手を殺せるかも分からない! 加えて全員が女だ! 更に言うならこの不安定で不平等で不確かな世界に置いての少数だ!」

「残り四十!」

「だが! 臆する事は無い! 卑下する事は無い! 貶める事は無い! 胸を張れ! 前を見ろ! 手を伸ばせ! 掴み取れ! 明日を! 未来を! 自由を!」

「残り三十!」

「何も案ずる必要は無い! 私達は知っている! それをたった一人で体現しているあの――」

「――班長!」

「マリナ!」

「なっ――何か来ます!」


 何か――それは突然の出来事に理解が及ばず咄嗟に頭を振り絞り出た答え――


 そしてそれは、足元から雲を突き破り、自身達を高さで越えた後にやがて速度をゆっくりと落とし、姿を現す。


 何か――


 それは、人だった。

 それは、プレイヤーだった。

 そして――連絡通りであるならば、死体であるそれを放すまいと必死に抱えている――救出すべき仲間であった。



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