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「奇遇ですね。私もあの方を信じています」


 整った顔立ちをした女は少女に言う。


「む、その言い方では一緒に居る私が信用していないように聞こえてしまうので言いますけど、無論、私も信じています。その……お会いした事は無いですが」


 もう一方がそれでは誤解が生じると追随する。

 こちらは顔を布で覆っているが声で女だと分かる。


「あの……あなた達は?」


 少女は問う。


「私は、あの方、傭兵様に救われた者です。あの方はそうは思っていないようですが。そしてこちらは」

「助けられた者です」


 そう言って布に手を掛け外す。

 そうして美しい顔と共に現れたのはある種の特徴である長い耳。

 あまりの美しさに周囲から驚きと共に感嘆の声が上がる。


「エルフ……の方でしたか。それでお顔をお隠しになられていたのですね」

「はい。自身がエルフだと言うのはあまり、その、人間の目の前で見せびらかして良いモノではありませんから……。その、失礼を」


 エルフは隣の女と共に深く頭を下げる。


「良いのです。頭を上げてください。分かっていますから……」

「ありがとうございます」

「それで……その……今こうやってお二人が話掛けて来た理由をお聞かせ頂いてもよろしいですか?」


 ちらりと目線を王へと向けた後、フラフラと彷徨わせる。


「はい。私達は先日あの方に救われ、助けて頂きました。ですがあの方は私達が礼を尽くす前に帰られてしまったので今日はそのお礼にと参ったのですが……」


 そこで言葉を区切り、顔を先程までその者が居た場所へと向ける。


「あの方が、感謝しているからといって、お礼を受け取ってくれるとは思えません。ですので――」


 女はエルフを見る。

 視線を向けられたエルフは女に頷いた後、少女の目を見つめ答える。


「この国の、傭兵様の理解者である貴女に返す事にしました。勿論、全て返せるとは思っていません。ただ、少しでも返したいのです。そして、貴女の様な理解者が少しでも増え、傭兵様を支えて頂けたなら十分にやる価値があると思っています」

「わ、私は何も……」

「良いのです。これは感謝してもしきれない様な恩を受けて置きながら返す事が適わない私、私達の我侭なのです」

「私からもお願いします」


 二人の女は頭を深く下げ、そのまま動こうとしない。


「……頭を……お上げください。私もお二人と同じく感謝している側ですが、それがあの方への恩を少しでも返す事になるのであれば喜んで協力させて頂きます」


 それを聞いた二人は安堵からか、礼を言いつつお互いにさすがに無茶かと思ったと抱き合っている。

 その後二人は少女に対し――少女からしては――とんでも無い事を言い放った。


 王を――生き返らせると。


「そ、その様な事が可能なのですか!」

「できます」


 エルフの女は言った。

 

「お、おじいさまが……」


 少女はまた大粒の涙をその目から零す。

 それを見た二人は暖かな笑みを浮かべながら言葉を続ける。


「うん、それで、生き返った王や貴女にはあの方を支えて欲しいの。それがきっと今できるあの方への一番の恩返しだと思う。ただ、その、寿命が延びる訳では無いから、その……」

「はい、はい……ありがとうございます……ありがとうございます……」


 少女は年相応に、座り込み泣きじゃくっている。


「よし! それじゃあ、パパッとやっちゃってハッピーエンドにしましょ!」

「そうね!」


 二人は極めて明るく言う。

 が、そこで少女が顔上げ、はっと何かに気付く。


「そ、その、あの……その……私達は人間……ですけど……その……」


 少女はエルフである彼女に人間である王を生き返らせても良いのかと心配して聞いているようだ。


「良いのよ! その……エルフ、だとか、人間、だとか、私達の種の間では色々とあったけど……私と貴女の間には何も無いわ。それに……私は……私達エルフは、傭兵様、エルフでは無い傭兵様に助けてもらった。今度は私達がそれに報いる番。まっ、個人的にはそういうの関係無しに傭兵様のためなら何でもしようと思ってるけどね!」

「ありがとう……ありがとうございます」


 少女が頭を下げる。


「や、やめてってば! これから長い付き合いになって行きそうだし、そういうのは――」

「ふふっ、親しい仲にもなんとやらです」


 少女は笑う。

 それにつられて二人も笑う。


「さぁっ! 皆笑って! 大好きな王様の復活よ!」


 そうして生き返り、再び目を開いた王の前には涙を溢れさせながらも喜び笑う少女の姿が最初に映った。

 その少女の眼から溢れ出る涙は先程とは決定的に違うもので――それは、嬉し涙だった――

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