第一話
俺の名前は結城廉。
私立鈴里高校の2年生だ。
高2という青春真っ只中の時期に彼女を作らないのは勿体無いんじゃないのか?
彼女のいない青春なんて高層ビルのない都会みたいなもんだ。寂しすぎる!
ってなわけで彼女を作りたいんだが一体どうすればいいんだろうか。
いきなり告るのか?
それとも友達からっていうベタな展開で行くのか?
よくわからん。
その前に好きな人はいるのか?という質問が出てくるだろう。どうでもいい人からは出ないと思うけど。
もしその質問が出るのならはっきりと答えよう。
いる!!
それはあの人だ…
「来週の水曜映画行かない?」
「いいね、行こ行こ」
あそこの女子の四人くらいのかたまりに1人かわいすぎる人がいるのがわかるかい?
「ごめんね、その日テスト勉強しなきゃだから行けない。また誘って。」
あの人が大桑栞乃さんだ。
クラスのマドンナである。
男子のほぼ全員が大桑さんを我がものにしようと狙っている。俺もその中の1人だ。
俺なんかにクラスのマドンナは贅沢すぎるだろ!っていうクレームも出ることだろう。
でも俺はあきらめねぇよ。
学校のどの男子より先に大桑さんを俺の彼女にして…
「青春を謳歌してやる!」
「いきなり何言ってんだお前?」
「あれ?俺声に出してた?」
「出さなくていい声がでてたぞ」
こいつは俺の幼なじみの河嵜大智
だ。
身長は俺とほぼ同じ168センチくらいだ。
体重は…
「お前の体重ってどれくらいだ?」
「俺が女子なら間違いなく殺されてるぞ」
「また声に出してたか?」
「出さなくていい声と同時に失礼な質問もな」
「まあいいか」
「よくねぇよ。ってか何だ?『青春を謳歌してやる』ってのは」
「ああ、それは彼女を作るって意味だ」
「誰狙ってんの?」
「大桑さん」
「倍率高いぞ」
「倍率なんて関係ねぇんだ。好きな人を彼女にする。不思議なことじゃねぇだろ?」
「どうでもいいわ」
「な、何だと?俺はな────」
「チャイムなるぞ」
そして授業のチャイムが鳴る。
今日はこの授業でラストだ。
これが終わると掃除なのだが掃除の班が大桑さんと一緒なんだ。これはチャンス以外の何者でもない。
掃除がこんなに楽しみになるのは生涯初だ。
とりあえずは友達になってみようと思う。
勇気を出して話しかけてみよう。
「おい、結城ボーッとするな」
「あ、すいません」
早く授業終わらねぇかなぁ。