~Resistance~ 抵抗者達
初めて書く小説です。
色々と設定に無理があると思いますので、指摘してくださると幸いです。
次また書く機会があれば、参考にいたします。
また、投稿してからも順次加筆修正していくと思いますので悪しからず。
森は、静まり返っている。
2週間前までは、県道を通る車の騒音がしていたはずなのに、今となっては虫の音しか聞こえない。
本来県道を通るはずだった人々が逃げ去ってから、既に10日が経っている。
そして、招かれざる客が、我が物顔にこの周辺を荒らし回っている。
…そんな中に残り、または分け行って行く彼らは、恐らくは無鉄砲で命知らずで、そして誰よりも故郷や家族を思っていた者達なのだろう。
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森に、デジタル無線のノイズが吸い込まれていく。
『偵察隊(RT)より中隊本部(HQ)へ、ポイントαで敵の活動を確認』
『こちらHQ、詳細を送れ』
『こちらRT、少し待て…敵補給トラックの車列を確認。
補給トラックは3両だ。護衛のガントラックが2両。まもなく『ツツジ』の視界に入る』
『HQ了解。ツツジ、キキョウ、攻撃準備。RTは撤収せよ』
『ツツジ了解』
『キキョウ了解』
『RT了解』
『こちらツツジ、車列を確認した。
ツツジ、キキョウ両隊の射界に入るまであと…30秒程度』
『こちらHQ、了解。
両隊の射界に入り次第、ツツジ、キキョウ両隊は攻撃開始せよ』
『こちらツツジ、了解』
『こちらキキョウ、了解』
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発端は、時の米大統領の訪韓だった。
直前から、北朝鮮は米大統領の訪韓に合わせて核実験の準備を行っていると報道されていた。
…誰もが、彼らの真意に気づけなかった。
そして、彼らの思惑が明らかになったときには、もう既に手遅れだった。
ラジコン飛行機を使用した核攻撃。
それが、彼らの狙いだった。
韓国領内から工作員の手で放たれたラジコン飛行機は、韓国軍の監視の網を掻い潜り、青瓦台の真上で炸裂した。
小型化の弊害により、設計通りの爆発力は出なかったが、それでも韓国大統領府を壊滅させるには十分な威力だった。
それと同時に、韓国内の各陸海空軍基地及び在韓米軍基地への北朝鮮特殊部隊の同時多発的な襲撃、テロが発生した。
そのテロ攻撃により、韓国陸海空軍は正面装備の約40%、燃料等の兵站のほぼ100%、そして人員の約10%を失い、組織的な戦闘能力を失った。
また、在韓米軍も、韓国軍ほどでは無いとは言え、甚大な被害を受けた。
北朝鮮特殊部隊のテロ攻撃は苛烈を極め、自爆は勿論の事、市民への無差別な銃砲撃や、挙げ句の果てにはサリンやマスタードガス等の化学兵器等も使われた。
このテロ攻撃、核攻撃での死者は総計で40万人を越えると言われている。
勿論、米国が黙ってそれを見ていることは無い。
大統領死亡の情報が届いてすぐに、若干の混乱は合ったものの即座に副大統領が大統領権限を継承、北朝鮮への報復攻撃を開始した。
…その結果については、言うまでもない。
北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国は、最悪のテロ国家としてその名を歴史に刻み込んだ。
…そこで終われば良かった。
しかし、米国の民意はそれを良しとしなかった。
世界一の超大国としてのプライドを踏みにじられ、核攻撃さえも受けた事に怒り狂った米国は、更なる復讐の相手を探し求めた。
そして、それを見つけた。見つけてしまった。
北朝鮮のテロの影には、中国の一部強硬派の影が有った。
中国を、米国に変わって世界一の超大国たらしめんとしたその勢力は、北朝鮮に韓国への核攻撃後の米国の反撃を防ぎきることを北朝鮮指導部に保障し、あっさりと北朝鮮を切り捨てた。
米国は、その事を突き止めて中国側に強硬派の引き渡しを求めた。
共産党政府はこれ以上の事態の悪化を良しとせず、速やかに強硬派一派を引き渡そうとした。
だが、強硬派も、自分達の所業が明らかになった今となっては大人しく法の裁きを受けるわけには行かない。
彼らは指揮下の軍部隊を動かし、共産党へのクーデターを行った。
瀋陽軍区から始まったクーデターは、「米国の陰謀に屈した共産党の打倒」を旗頭に、全国へと広がった。
米国の引き渡し要求から僅か2週間後、基盤である人民解放軍の裏切りを受けた共産党政府は呆気なく瓦解し、対米戦を声高に唱える新政府が発足した。その名は「中華民主主義連邦国」。
新生中国は、まず第一の目標として以前から策定されていた「第一列島線」内からの米軍勢力の排除を宣言し、「米帝からの来るべき侵略に対する自衛」と称して第一列島線内への侵攻を開始、その最初のターゲットとして、北朝鮮のテロ攻撃により疲弊していた韓国を選んだ。
折しも米国では議会大統領ダブル選挙が行われた後で、議会の召集が間に合わなかったため、この事態に即応することはできなかった。
荒廃した旧北朝鮮領を突破し、中国軍は韓国に圧倒的戦力で雪崩れ込み、1ヶ月でこれを占領した。
また、新中国が「もしも我々の自衛行動を妨害した場合は、徹底的な報復を行う。」と宣言し、実際に台湾に向けて核弾道弾を発射(迎撃には成功)したため、米国は選挙が終了した後も、報復を恐れた新大統領により新中国への軍事的行動はとられなかった。
国連は直ちに安全保障理事会を召集したが、常任理事国であった旧中国の後釜を巡り混迷を極め、実質的な対処を速やかに決めることが出来なかった。
また、国連事務総長も韓国テロの際に死亡していたため、国連全体で機能不全が起きていた。
この隙をついて、新生中国は韓国を足掛かりにして壱岐対馬を急襲、それと同時に日本各地の陸海空自基地や原発などの重要施設、また首都機能の中枢部を工作員によって襲撃し、一時的に日本の対処能力を麻痺させることに成功した。
臨時内閣は九州の放棄を決定し、2週間以内の住民の退去を命令し、その命令が来るまでもなく殆どの住民は自主的に避難していた。
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突如、中国軍の補給車列の先頭を走っていたガントラックが爆炎を噴き上げた。
『こちらキキョウ、攻撃開始、攻撃開始…!!!』
キキョウ隊の無反動手の担ぐ84㎜無反動砲から発射された榴弾がガントラックの運転台に直撃したのだ。
直撃を受けたガントラックは、前方につんのめる様に縦に回転し、後続の車列を塞ぐように落下し炎上した。
それによって車列が停止すると同時に、一度車列をやり過ごしたツツジ隊からも、最後尾のガントラックへ榴弾が放たれ、荷台のガンナー達を実感のない死へと叩き落とした。
前後を炎上する車に塞がれた補給トラックに、06式小銃擲弾が容赦なく撃ち込まれ、3台の補給トラックは乗員が脱出するまもなく炎上し、積み荷の砲弾に誘爆した。
『こちらツツジ、敵補給車列の壊滅を確認…
生存者、確認できず。
任務完了、HQに合流する』
『こちらHQ、了解。
中隊全隊へ、ただ今をもって本拠点は放棄、次の拠点へ移動する』
こうして、抵抗者達は闇に消えていく。
赤々と燃え盛る、兵士達の墓標を残して。
どうでしたでしょうか。
最後の方は…まぁ、やっつけ感がものすごくします。
駄文ですが、最後まで読んでいただきありがとうございます。
…感想なんか欲しいな~…(チラチラ)
2015/2/5
続きを出す予定