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魔王と勇者は、隣の部屋で配信中。  作者: 瀬那
第5章 教室のモブと、体育倉庫裏の尋問会

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第24話

メテオ先輩の愚痴は止まらない。


『それでね、「バラされたくなければ焼きそばパンを買ってこい」って言うんだよ!? 信じられる!? 私、先輩なのにパシリだよぉ!』


「そ、それは……災難でしたね。でも、その二人は案外、先輩と仲良くなりたかっただけなんじゃないですか?」


 私は必死に自分たちの弁護を試みた。


『ないない! 絶対ない! だって私を見る目が、獲物を狙うハイエナだったもん! 特にあの死んだ魚の目の子! 絶対、私のこと「下僕」だと思ってるよ!』


 ぐぬぬ……!

 言わせておけば!


「あー……。でも先輩? その『死んだ魚の目の子』も、実は根はいい子かもしれませんよ? ほら、不器用なだけで」

『えー? ベルちゃん、なんでそんな悪魔の肩持つのー?』


 痛いところを突かれた。

 すると、今まで黙って聞いていた白崎セラが、涼やかな声で割って入った。


「そうですねぇ。でも、その委員長さんも、きっと先輩のことが好きなんですよ。興味がない相手を体育倉庫になんて呼び出しませんから」

『えっ、好き!? LOVEのほう!?』

「いえ、珍獣を見るような目だと思いますが」

『ひどい!』


 白崎は楽しんでいる。

 先輩が自分のことをボロクソに言っているのを、ワインでも嗜むように優雅に聞いている。流石だ。


『はぁ……。どうしよう。明日学校行くの怖いよぉ……。また呼び出されたらどうしよう……』


 先輩が本気で落ち込んでいる。

 これ以上怖がらせて、本当に不登校になられては困る。

 私は咳払いを一つして、先輩に(そして自分自身に)アドバイスを送ることにした。


「……先輩。魔王としての助言ですが」

『うん……?』

「その二人は、先輩の秘密を守ってくれているんですよね?」

『う、うん。今のところは……』

「なら、敵ではありません。むしろ『共犯者』です。明日、購買でパンでも買って、「これからもよろしく」と言えば、きっと悪いようにはしませんよ」

『ほ、ほんとぉ?』


「ええ、保証します。特にその死んだ魚の目の子は、激辛ハバネロパンなんかをあげると喜ぶと思いますよ」


『えっ、激辛? なんで?』

「……カンの良い魔王の直感です」


 私がそう言うと、先輩はようやく少し安心したように息を吐いた。


『そっかぁ……。ベルちゃんがそう言うなら、頑張ってみる。……ありがとね、二人とも。なんか、その二人のことちょっと分かった気がする』


 分かってない。

 何も分かっていない。

 今まさに会話している相手が、その「悪魔二人組」だということに。


 こうして、奇妙な三角関係(?)が成立した。

 学校では「いじめっ子といじめられっ子」。

 配信では「頼れる後輩と情けない先輩」。


 この歪んだ関係がいつまで続くのか、私には見当もつかなかったが……。

 明日の昼休み、私の机に置かれるであろうハバネロパンのことだけを考えて、私は密かに喉を鳴らしたのだった。

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