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魔王と勇者は、隣の部屋で配信中。  作者: 瀬那
第5章 教室のモブと、体育倉庫裏の尋問会

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第21話

連れてこられたのは、校舎裏にある体育倉庫の裏手だった。

 人目はなく、聞こえるのはグラウンドの部活動の掛け声だけ。

 カツアゲか、あるいは告白か。そんな場所だ。


「あ、あのぉ……委員長? こ、ここ、埃っぽいし……私、掃除サボってないよ……?」


 星野さんは両手を胸の前で合わせ、小動物のようにガタガタ震えている。

 その姿は、どこからどう見ても「いじめられっ子」だ。

 だが、白崎は壁ドンならぬ「金網ドン」で退路を塞ぎ、冷徹な声で告げた。


「単刀直入に聞くわね」


 白崎の視線が、星野さんの隠れた瞳を射抜く。


「あんた……**『神楽メテオ』**でしょ?」


 時が止まった。

 風が止んだ。

 私の思考も停止した。


「……は?」


 私は間の抜けた声を上げた。

 神楽メテオ? あの伝説の1期生? あの王子様系コンカフェ店員のカオル?

 それが、目の前のこの弱々しい生き物だと?


 星野さんは、まるで石化したように固まっていたが、数秒後、首が180度回転しそうな勢いで横に振った。


「ち、ちちち、違いますぅ! ななな何言ってるんですかぁ! 私、そんなキラキラした人じゃありませんっ! ただの地味なモブですぅ!」

「嘘おっしゃい。さっき教室で『僕の擬態』って言ってたわよね? あの一人称と声のトーン、コンカフェのカオル君そのものだったわよ」

「そ、それは……! あれです! 最近読んだマンガの影響で! 中二病なんです私!」


 苦しい。言い訳が苦しすぎる。

 だが、白崎は攻撃の手を緩めない。


「それに、あんたのその前髪。……ちょっと失礼」

「ひゃっ!?」


 白崎が手を伸ばし、星野さんの長い前髪を強引にかき上げた。

 露わになったその素顔。

 切れ長の瞳。整った鼻筋。そして左目の下にある、特徴的な泣きぼくろ。


 私は息を飲んだ。

 見覚えがある。

 チェキの中でウインクしていたあの顔と、完全に一致している!


「……カオル君だ」

「ひいぃぃぃ!! 見ないでぇぇぇ!!」


 星野さん――いや、カオル……もといメテオ先輩は、顔を覆ってその場にしゃがみ込んだ。


「うぅ……終わった……。完璧だったのに……。高校デビュー失敗して陰キャに徹してたのに……なんでバレたのぉ……」


 その嘆き声は、配信で聞いたあの情けない声そのものだった@。

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