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魔王と勇者は、隣の部屋で配信中。  作者: 瀬那
第5章 教室のモブと、体育倉庫裏の尋問会

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第20話

伝説の「自爆コラボ」から数日後。

 私の高校生活は、平穏無事に戻ったかに見えた。


 昼休み。

 私は購買で勝ち取った焼きそばパンを齧りながら、教室の喧騒をBGMに死んだふり(睡眠)をしていた。

 隣の席の白崎ヒカリは、委員長としてクラスメイトのプリントを集めたり、先生に提出しに行ったりと忙しそうだ。


「……あ、あのっ、委員長……」


 ふと、蚊の鳴くような声が聞こえた。

 薄目を開けて横を見る。

 白崎の前に、一人の女子生徒が立っていた。


 セミロングの黒髪は手入れされているのか怪しいボサボサ具合で、前髪が長すぎて目が隠れている。背中は丸まり、今にも消え入りそうな存在感。

 クラスに一人はいる、「名前も思い出せないほど大人しい子」だ。確か名前は……星野ほしのさん、だったか?


「ん? どうしたの、星野さん」

「そ、その……提出プリント、遅れてごめんなさい……。あの……」

「大丈夫よ。まだ先生には渡してないから」

「あ、あと……委員長、日曜日にアキバ……行ってたよね?」


 ――ッ!?

 私はパンを喉に詰まらせそうになった。

 なぜバレている?

 私は完璧な変装(不審者スタイル)だったし、白崎も私服だったはずだ。


 白崎の手がピタリと止まる。

 彼女はゆっくりと星野さんの方を向いた。眼鏡の奥の瞳が、スナイパーのように細められる。


「……ええ。行ってたけど。見かけたの?」

「あ、う、うん……。その……楽しそうだったなぁって……あはは……」


 星野さんは挙動不審に視線を泳がせながら、なぜか冷や汗をダラダラ流している。

 そして、去り際にボソッと、独り言のように呟いた。


「……よかったぁ。バレてないっぽい……。危ない危ない、僕の完璧な擬態が崩れるところだった……」


 ――僕?

 今、僕って言ったか?


 白崎の耳がピクリと動いた。

 次の瞬間、彼女は立ち上がり、私の首根っこを掴んだ。


「ぐえっ!?」

「黒井さん、ちょっと来て。……星野さんも、ちょっと面貸して」

「ひぇっ!? わ、私ぃ!?」


 白崎は有無を言わせぬ迫力で、私と、震え上がる星野さんを引き連れて教室を出ていった。

 連行される私は思った。

 ……このパターン、ろくなことにならない予感しかしない。

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