9話 刺客
にしてもすっげーグロいな
--仕方がないですよ、正当防衛です。--
ホントに?
--・・・弱肉強食です--
さすがに口内メタン自爆はひどすぎるな、過剰防衛にもほどがある。てか殺意もって殴り込んだしな。
ん?なんか聞こえないか?
日が落ちてきて自分の左手が太陽に照らされ、正面から今一度風と草を切るような鈍い音があたりに響く
おいおいふざけんなよ!もう疲れたよ~!!
しかたない、右手貸すから迎撃準備。
--【火炎放射】で十分な効力を発揮するための魔元素粒子が不足しています。--
え?よくわからんが、無理ってこと?
--そうですね、しかしマッチほどなら可能です。--
あ~もしかして詰みか?
--この世は弱肉強食です。最後にあの村長さんへの手紙を書いてはいかかでしょうか?--
そうだな
すべてにおいて諦め、そばににあった木に先ほどの死体の血を木の枝につけ万年筆のように筆を走らす、しかし思ったよりも木に書きずらい。
樹皮を魔法を使わず基礎の体力で石を使い削り木の内部を露出させる、しかし内樹皮ほどしか露出できない、これでは文字を書いてもすぐに腐ったり滲んだりしてしまう。仕方がないので石に切れ込みを入れ文字を表す。
・・・あとは手袋を土に埋めれば、よし!これでわかるだろう
割と楽しかったなぁ・・・
近づく音が大きくなってくる、金属がすれる音も新たに追加された。武器を使うタイプたのだろう死期を知らせ、黄泉の国への電車の走る音のようなその音がもはや恐怖を感じさせてはくれない物であった
「お~い、頼むから楽に殺してくれよな。」
「ははw何を言うかと思えば!」
そこにいたのは立派な鎧に身を包んだ騎士のような人間と杖を持った見るからに魔法使いのような人間の二人組だった。
「聞いたかw?シフォン?」
「ちょっと!・・・」
「わかってる、その時はお前の出番だ。昨日言ったろ?」
「・・・」
騎士のような青年、いや20代中盤のようなその人間はこちらに近づいてくる。
「なあ今何書いてたんだ?」
「遺言だよ。」
「ははwそうかそうか!遺書ちょっと見るぞ~」
先ほど書いた感謝の一文を読んだのち、こちらに振り向き
「安心しろ、殺さん。むしろ逆だよ保護しよう。」
その言葉に先ほどの覚悟か空振りに終わり勿論この結果に不満はないが、すこし報われずに消化不良であった。
「そうか、ありがとう。ちょっと待っててくれ。」
そう言い先ほど土に埋めた手袋を掘り起こした。
「・・・それ使えるのか?」
今回の場合は相手が本当に仲間か分からなすぎるな。一応保険かけとくか。
「ああ、これであれを倒した。」
そうして溶けた死体を指さした。
「へぇ、すごいじゃん。あ、飯食う?だいぶ派手な戦闘で疲れたやろ。」
「ぴゃ!・・・」
数歩後ろで見ていた魔法使いが鳴いた。
「きっと、飯を奪われると思って威嚇したんだろう。」
「安心しろシフォンまだある!まぁ気にすんな、ほらよ。」
そう差し出された固形物はパンを固めたような食べ物であった
「じゃあ、ありがたく。」
毒物の可能性は?
--ある程度であれば【修復】の応用で治癒可能です。--
ある程度の毒であることを期待して口にそれを運ぶ、硬いが食べられないほどではなく何回か咀嚼するとうま味が出てくる。香ばしい。その味とともに何の突っかかりもなく飲み込めた。
--大丈夫そうですね、20~30秒ほどで先ほどの戦いの中盤ほどの回復は見込めます。約2.5倍の量をさらに食べれば全回復が見込めます。--
「ありがと、うまかったよ。」
「そうか、よかった。」
「お前、北の方の帝都に行きたいか?」
「お、よくわかったな。」
「実は俺たちも見回りでこの森に来ているだけで、あの帝都で働いてるんですわ。どうせなら一緒に来いよ!」
まぁ守ってくれそうだし、食べ物くれたしなんかあったら燃やして逃げるか。
そうして何とかこの戦いは幕を閉じた




