15話 小物入れ
朝目覚めると机には書置きが一つと財布が置いてあった
おはようディレム
俺は護衛に行くのでここを外す
シフォンは朝方に来るだろうからノックしたら開けてな
どうやら出かけに行ったようだ
人が一人いなくなっただけでここまで静けさが増えるものなのか
まだ朝は始まったばかりで薄暗い部屋に日の光が入ってくる嫌いじゃない
一応いつ来てもいいように手袋だけはめておこう。
そう思いながらぬくぬく過ごしていると
コンコン
「お~い、ディレム?君~おきてる~?」
聞きなれない声が耳を通る
ドアを開けると前に見た魔法使いが立っていた
「・・・・おはよう」
はじめましてを言うか迷ったが、あったことはあるしギリギリ朝の挨拶が優先かな。
「おはよう、実は私ローズから"ディレムを見てて"って言われただけで何をするのかはよく知らないんだけど何するの?」
「いや特に何も決めてない。」
「あ、そうなんだ。昨日は何したの?」
「散歩してて迷子になった。」
「なんじゃそりゃw」
会って初めて笑顔を見せてくれた
「ん~じゃあ買い物に行こうか?たぶん財布ぐらい渡してるでしょ?」
そういえば机に財布が置いてあったな、使っていいのかな?
机に向かい財布を手に取る
・・・・まぁ紛らわしいとこに置いているのが悪いからな。ありがたく使わせてもらおう。
右手に握りシフォンのもとに戻る
「そうだな、そうしよう。」
「ん、了解。」
「じゃあついてきて。」
そういい背をむけその慣性でスカートも少し揺れる、建物といい服といい今まで見た中で一番作りがいい都市の技術の発展具合はこんなところにも表れるのだろう
寮を出て昨日と同じ道を進み、途中まで進んだところで左に曲がるそこに広がったのは随分な商店街の光景で、食べ物や服、小物などが道に見えるように店が構えられている
「私の一押しはここです!」
それから少し進み右手にある服屋を紹介された。他の店よりも登山などのアクティビティに力を入れている店らしい
「ここの良いとこは丈夫なのにデザインが悪くないのがホントに好き、よし、入るよ。」
止まったと思ったら早口でまた足を進めて店に入る
店に入るとシフォンが言ったとおりの服が並んでいる、頑丈さは触れないとわからないが線が太いものが多かったり細いにしても編まれている繊維を複数つかっていたりと見るからに丈夫そうである
今見るとたしかにシフォンも同様の作りをしている、よほど好きなんだろうな。
「そうだなぁ・・・・」
店に入るや否や何かを探し始めた
「これとかどうかな?」
そう言って差し出したのは肩にかけるようなポーチだ、触ってみると皮で作られ縫い目が太くその太い線の周りを細い線でさらに縫われている。
肩にかけると素材が素材なのでとても軽く動きやすい
「これいいな・・・・だけどあれが欲しいな、腰のタイプ巻きつける系」
「ふ~ん、なんで?」
自分の意見を否定されたような不満感とその意見の興味に挟まれたような調子で返事をする
「斜め掛けのタイプたと、ジャンプしたときにじゃかじゃかするから。」
そういいって飛び跳ねり、ポーチがふわふわ自分の体に遅れるようについてくる
それを見たとたん一つ隣のコーナーにシフォンは探しに行った
少し経つと別の形のものを持ってきた
そのポーチは腰掛のものでサイズ調整の穴も細かく調整したところピッタリとハマり飛び跳ねたとしても揺れずに動きやすく、割と収納量も多い。気にいったのが正直な感想だ。
「これいいな!」
跳ねながら答える
「でしょ!」
なぜか跳ねながら答える
「じゃあ買おっか。」
試着したポーチを外し財布とともに手渡す、
それを受け取ったのち会計を行い戻ってきた
「はい、そんなやわな素材じゃないからこれからの生活でも支障なく使えると思うよ。」
「じゃあ、次は・・・・」
そういい、だんだん自分よりもわくわくしているシフォンの姿がそこにあった




