12話 保護者
その後館内をローズに案内してもらい、途中でシフォンは別の棟へ戻り色々と説明を受けた。
それにしても掃除の行き届いた寮でありさすが帝都と言わんばかりの内装だ、
レンガ造りのその壁からはとても安心感を感じる土のにおいもしないことから長年使われるのも伺えた。
「よしここが俺の・・いや、俺たちの部屋だ。」
そう案内され扉を開けると、すぐ左手にはクローゼット、右手には洗面台・浴槽があり奥に進むとリビングそこから左が寝室、右がキッチンというように生活するのに申し分ない設備が存分に備えられておりいままできれいに使ってきたローズの生活も伺えた。
「ふぅ~疲れたな。風呂入るか一緒に入るか?」
「そっちがいいなら。」
こちらが了承すると二人分の荷物をリビングのテーブルに置き、右手の浴槽へと連れていった。
浴槽の手前の更衣室でローズは服を脱いだ、そこでようやく自分が服を着ていないことに気が付いた。
「あ、おれずっと全裸だったわ。」
「・・・・そうかw!たしかにな!」
笑いながら二人で浴槽へと足を踏み入れ、シャワーから水を出す。
「来週から君には魔法使い研修生として部隊で鍛えてもらう。」
「急だが、理解した。なにするんだ?あとどれがボディーソープ?」
「その棚の一番右のやつ。理解が早くて助かるな、魔法の免許を取ってもらいたくてね。」
「免許?」
「そう、この帝都での魔法の使用は指定の場所か免許保持者しか許されないんだ。」
「昨日の化け物との戦いで使いまくったぞ?」
「一応あそこは帝都の外でこの法規制も最近で導入してる所なんてここぐらいだしなw」
「体流すぞ~」
「は~い」
ちょっと目に染みる
「あと、免許を取る過程で魔法の勉強もすることになるから戦い方もそれ以外の魔法の使い方も必然と多く知ることができる、これからの旅に役立つだろう。」
時折見せる真剣なまなざしが、少しおちゃらけた性格の奥に潜む本性を隠しきれていない。
「OK、何から何まで助かるよ。とんとん拍子過ぎる。」
「・・・・任せとけ!まぁでも今週は特に用事ないからあと4日間ぐらいは自由に動けるぞ。どうする?」
「ん~・・・・」
初めての大きな都、とてもすべて周れるわけじゃないのは自明だ。ただ、見たところここには人間以外の他の種族?みたいなのもいて、間違いで殺されることもないだろうな・・・・まぁ外に出てから考えるか。
「特にはないが強いて言えば図書館かな。」
「それなんだが魔法使い研修生になったら研修生の身分証みたいなのが発行されるからそれもらった後の方が手続きとか図書館最大滞在時間とかかわるから。入隊した後の方がいい気がする。」
なるほど、たしかにそういう処置をとってても不思議ではないな・・・・
「じゃあ外出てから考えるわ。」
「そうだな。」
そう言って湯船に入り、あふれた水が俺の足にかかった。
つられるように入るととてもあたたかく今まで隠れていた疲れが表れだした。
「よし、今日からしばらく君は自由だ風呂出たら好きにしろ。」
「ただ部屋出るとき教えてな!」
「うい~」
正直この風呂の中ではもう何でもいいこちらこそ好きにしやがれってものだ。
幾分か風呂に浸かったのちに風呂場から出て体をふき、ソファーでゆっくりした後に外に出ることを決めローズに話しかけた。
「じゃあ行ってくる。」
「ん。机の上のネックレス付けてけ。あと発動できるか試して~」
発動?何のことだ?
疑問を持ちつつネックレスを首にかけてみる。
--このネックレスにはあの手袋のように魔法術式が刻まれているようです。--
--発動しますか?--
なるほどね。頼んだ!
--魔法補助プログラム起動--
--対象関数:空間族通信系統魔法--
--接続成功->実行します-
発動したと同時にネックレスが光り、ローズの中指についていたルビーのような宝石も共鳴するように赤い光を放った。
「ん。いってらっしゃい!」
様子から察するにうまくいったようだ。
「行ってきます!」
そう言い残してドアを開けた。




